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「骨太の方針」と成長戦略を閣議決定 社会のデジタル化加速へ
 政府は、17日、持ち回りの閣議で、ことしの「骨太の方針」と成長戦略を決定し、新型コロナウイルスの感染拡大で、社会全体のデジタル化の遅れが明らかになったとして、これからの1年を集中改革期間と位置づけて取り組みを加速することなどを盛り込んでいます。

 このうち、ことしの経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」では、社会全体のデジタル化を進めるため、これからの1年を集中改革期間と位置づけて、行政手続きをオンライン化するとともに、原則として書面や押印を不要とするよう見直しを進めるとしています。

 また、東京一極集中を是正して、地域の活性化を図る「多核連携型」の国づくりを目指すことや、国内外でサプライチェーンの多元化を進めることなども盛り込んでいます。

 さらに、新型コロナウイルス対策については、PCR検査の幅広い実施など検査体制を充実させるとともに、治療薬やワクチンの開発を加速させるなどとしています。

 このほか、財政再建については、基礎的財政収支を2025年度に黒字化するとした目標には触れず、「当面は、国民の雇用を守り抜くことを最優先とする」としたうえで、ことしの年末までに経済・財政一体改革の工程の具体化を図るとしています。

 一方、成長戦略では、新型コロナウイルスの影響で、兼業や副業など多様な働き方への期待が高まっているとして、兼業先での労働時間は自己申告制とし、本業の企業側が兼業などを認めやすいようルール整備を図ることなどを盛り込んでいます。

◇詳しい中身は
〈デジタル化・オンライン化を柱に〉
 ことしの「骨太の方針」では、新型コロナウイルスの感染拡大で、これまでの取り組みの遅れが浮き彫りとなったと指摘し、「社会全体のデジタル化」を柱に掲げています。

 そして、この1年を「集中改革期間」と位置づけ、行政手続きのデジタル化を進めるため、内閣官房に新たな司令塔機能を構築するほか、IT政策の基本方針を定めた「IT基本法」を全面的に見直し、基本理念などを定めるとしています。

 また、すべての行政手続きを対象に、原則として書面や押印、対面を不要とするよう見直しを進めるとしています。

 マイナンバーカードについては、

▽再来年をめどに、生涯にわたる健康データを把握できるようにすることや、

▽外国人の在留カードとの一体化などを検討し、来年中に結論を得るとしているほか、

▽給付金などの振り込みに使う口座の登録の在り方は、ことし中に結論を得るとしています。

 このほか、教育や医療の分野でもオンライン化を進めるため、

▽高校や大学での遠隔教育について、単位取得のルールの見直しを検討することや、

▽電子処方箋などによって、診察から薬の受け取りまでオンラインで完結する仕組みを構築すること

を盛り込んでいます。

〈一極集中是正・サプライチェーン〉
 新型コロナウイルスの影響でテレワークの活用が進んだことから、場所にとらわれず仕事ができるという認識が広まりつつあるとして、東京圏への一極集中の流れを変えて、地域の活性化を図る「多核連携型」の国づくりを目指すとしています。

 また、部品などの供給に影響が出たことから、生産拠点が1つの国に集中している製品は、国内外でサプライチェーンの多元化を進めるとしています。

〈新型コロナウイルス対策〉
 新型コロナウイルス対策については、PCR検査を幅広く実施するなど検査体制を充実させるとともに、治療薬やワクチンの開発の加速を図るとしています。

 また、患者に関する情報を関係者が迅速に共有できる体制の構築や、保健所の体制強化、それに接触確認アプリの普及を促進することなども盛り込んでいます。

〈就職氷河期世代支援・最低賃金〉
 いわゆる「就職氷河期世代」への支援をめぐっては、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす目標を堅持するとしています。

 また、最低賃金については、全国平均で時給1000円を早期に達成するとした目標は堅持するとした一方、ことしは、中小企業などが置かれている厳しい状況を考慮し、検討を進めるとしています。

(国土強じん化〉
 一連の豪雨災害を踏まえた与党側の意見を受けて、国土強じん化の記載も追加で盛り込まれ、今年度までの3か年緊急対策のあとも、中長期的な視点に立って取り組むため、必要・十分な予算を確保するとしています。

〈財政健全化〉
 財政再建については、「当面は、国民の雇用を守り抜くことを最優先とし、決してデフレに戻さない決意をもって経済財政運営を行う」としたうえで、ことしの年末までに経済・財政一体改革の工程の具体化を図るとしています。

 また、与党側との調整の結果、「次世代への責任の視点に立つ」という文言が追加されましたが、基礎的財政収支を2025年度に黒字化するとした目標は明記されていません。

◇新たな成長戦略の主な内容は
〈新しい働き方〉
 まず、働き方をめぐっては、人生100年時代を迎えるとともに、新型コロナウイルスの影響で、兼業や副業など多様な働き方への期待が高まっているとして、兼業先での労働時間は自己申告制とし、本業の企業側が超過勤務の責任を問われず、兼業や副業を認めやすいようルール整備を図るとしています。

 また、フリーランスとして安心して働ける環境整備に向けて、ガイドラインの案を年内をめどに作成し、

▽事業者から不利な扱いを受けないよう、契約書面を交わすことを定めるとともに、

▽実質的に事業者の指揮命令を受けて働いている場合などは、労働関係法令が適用されること

を明確化するとしています。

〈キャッシュレス決済の普及〉
  さらに、キャッシュレス決済のさらなる普及に向けて、決済事業者が店舗などに売り上げを入金する際に負担する銀行の振込手数料が妨げになっているとして、40年以上、見直されていない銀行間の送金手数料を合理的な水準へ引き下げるとしています。

〈デジタル市場・AI普及〉
 次に、デジタル市場への対応については、インターネット上の広告をめぐって、取り引き内容や個人情報の取り扱いが不透明だという課題が指摘されていることを踏まえ、公正さや透明性を確保するため、事業者に取り引き内容や、データの管理状況の開示を求めるなどのルール整備を行うとしています。

 また、AI(人工知能)などの技術の普及を見据えて、自動車検査へのAIの活用や、建物の外壁調査へのドローンの利用などについて、十分な精度があると確認できれば、関係する規制や制度を見直すとしています。

〈その他〉
 このほか、大企業とスタートアップ企業が共同研究をする際、特許権の独占など、偏った契約にならないよう、年内をめどにガイドラインの案を作成することや、新型コロナウイルスの影響で宅配の需要が増えたことを受けて、遠隔操作できる自動配送ロボットの公道での実験を、年内の早い時期に実現することなども盛り込んでいます。

 そして、今後は、未来投資会議を拡大し、新しい働き方の定着や、一極集中の是正などの課題を検討するとしています。

◇ことしの「骨太の方針」スリムに
 「骨太の方針」をめぐっては、次の年度の予算編成をにらんで、各省庁や与党などから個別の政策や事業を盛り込むよう求める声が年々強まり、記載される内容が増える傾向にありました。

 平成13年に当時の小泉政権が作成した最初の「骨太の方針」は33ページ、第2次安倍政権発足直後の平成25年は36ページでしたが、おととしは72ページ、去年は75ページにおよびました。

 ことしは、新型コロナウイルスへの対応を優先するため、西村経済再生担当大臣が、内容を絞り込む方針を示し、冒頭で、「去年の『骨太の方針』に記載されているもののうち、今回、記載が無い項目も着実に実施する」と明記したうえで、与党側にも理解を求め、去年の半分ほどの37ページとなりました。

◇経済財政運営と来年度予算
 ことしの「骨太の方針」では、今の経済の状況について、新型コロナウイルスの感染拡大で「これまで経験したことのない正に国難とも言うべき局面に直面した」としています。

 そのうえで、先行きについて、「直ちに経済や社会が元の姿に戻るというわけではなく、政府として経済の下支えを行いながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図っていく」として当面は、内需を中心とした回復を目指すとしました。

 アメリカを中心に海外では感染拡大が続き、外需の先行きが不透明になっているためです。

 具体的には、「Go Toキャンペーン」の実施や、マイナンバーカードを持っている人を対象にキャッシュレス決済で最大5000円分のポイントが還元される「マイナポイント」制度の実施によって消費を活性化することなどを挙げています。

 また、日銀に対しては厳しい経済状況に対応した適切な金融政策と、2%という物価安定目標のもとでの金融緩和の推進を期待するとしました。

 直近の消費者物価指数は、原油価格の低迷もあって2%の目標から遠ざかっていますが、日銀に対し、目標を維持するよう求めた形です。

 そして、来年度、令和3年度の予算編成は新型コロナウイルスの感染拡大への対応を優先し、各省庁の負担を軽減する必要があるとして各省庁からの概算要求の期限を例年より1か月遅らせて9月末とします。

 そのうえで、感染拡大の動向と経済への影響を見極めながら、今後示す「予算編成の基本方針」に基づいて編成を行うとしています。

◇金融分野の施策
 ことしの『骨太の方針』や『成長戦略』に盛り込まれた金融分野の施策です。

〈デジタル通貨検討〉
 このうち、『骨太の方針』には電子的な法定通貨(デジタル通貨)について、「日本銀行において技術的な検証をねらいとした実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」とし、デジタル通貨を検討する方針を初めて明記しました。

 デジタル通貨は各国で研究が進められていて、中国では「デジタル人民元」を発行する準備が進んでいます。

 日銀は「現時点では、法定通貨として発行する予定はない」としていますが、ヨーロッパ中央銀行などと共同研究を進めていて、今後、実証実験を通じて発行が技術的に可能なのか、研究を深めることにしています。

〈国際金融都市の確立目指す〉
 また、香港で中国の関与が強まり、現地に拠点を持つ海外の金融機関が拠点を移すのではないかという指摘も出る中、「世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立を目指す」という方針を盛り込み、海外の金融機関の受け入れに向けた環境整備を検討することにしています。

〈大手銀人材を中小に〉
 さらに、人手不足に悩む中小企業を支援するため官民ファンドの「地域経済活性化支援機構」が仲介役となって、大手銀行の人材を中小企業に紹介する仕組みを設ける方針も示しました。

〈銀行間手数料引き下げ〉
 一方、『成長戦略』では、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにキャッシュレス決済が一層進んだとして、今後より多くの事業者がこの分野に参入できるようにすべきだと指摘しています。

 ただ、事業者が銀行を通じてお金を振り込んだり送金したりする際の手数料負担が参入の妨げとなっているとして、年度内にも銀行業界などと手数料の引き下げに向けた方針を決めることにしています。

 具体的には、手数料を低く抑えた新しい送金システムを検討するほか、少額の送金を繰り返す場合は手数料を定額にして割安にするなど、料金体系の多様化を銀行に促すとしています。

◇安倍首相「未来志向の方針」
 安倍総理大臣は、持ち回りの閣議に先立って開かれた、経済財政諮問会議と未来投資会議の合同会議で、「新型コロナウイルスの流行という歴史的な危機に直面する中で、思い切った社会変革を果敢に実行することにより、未来を切りひらいていくという強い意志をもった未来志向の方針だ。国民の皆さんとともに力を合わせて、この困難を乗り越え、未来を見据えて進んでいくためにも、この骨太の方針を着実に実行していく」と述べました。

◇西村経済再生相「今は財政を考えている場合ではない」
 ことしの骨太の方針で、基礎的財政収支を2025年度に黒字化するという財政健全化目標に触れなかったことについて、西村経済再生担当大臣は記者会見で、「今は財政のことを気にしていたら、国民の生命や雇用や生活を守れない。苦しい思いをしている方々を守るために経済を最優先にするので、財政のことを考えている場合ではない」と述べました。

 そのうえで、西村大臣は、「ただし長い目で見れば財政再建、財政健全化をはかっていかなくてはならない。これまででもオンライン教育など将来に生きる予算もあり、すべてがすべて未来の世代のツケになっているわけではないが、『骨太の方針』にも『次世代への責任』ということをしっかり明記しており、中長期的に持続可能な財政を実現していきたい」と述べました。

◇自民 岸田政調会長「財政と経済のありようを議論を」
 自民党の岸田政務調査会長は記者会見で、「新型コロナウイルスとの闘いのさなかであり、先は見通せないが、この中身を実行し、来年の議論につなげることが大事だ。従来の財政健全化の目標は維持されているが、今後、新型コロナウイルスがある程度落ち着いた段階で、改めて財政と経済のありようをしっかり議論し、必要があれば、具体的な数字などについても見直さないといけない」と述べました。

◇公明 石田政調会長「国民の安全・安心へ予算編成の具体化を」
 公明党の石田政務調査会長は記者会見で、「熊本を中心に大変な水害が起きている時に、いわゆる防災・減災のための計画が終わることなどありえないというのが、与党の共通した考えだ。これから予算編成に向けて具体化していくことが私たちの大きな役割で、国民の安全・安心のためにしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。
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