<< July 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 記者も騙された「偽Amazon」の手口 | main | 社員の幸福度を計測・分析 改善策を提案 日立が新会社設立へ >>
精神障害の労災申請 過去最多 “パワハラなどのストレス原因”
 長時間労働やパワハラなど仕事の強いストレスが原因で精神障害になったとして、昨年度に労災を申請した人は2060人と過去最多を更新したことが分かりました。

 厚生労働省によりますと、昨年度、長時間労働やパワハラなど仕事の強いストレスが原因でうつ病などの精神障害になったとして労災を申請した人は2060人に上りました。

 これは前の年度より240人多く、7年連続の増加で昭和58年度の調査開始以降、最も多くなりました。

 労災と認められたのは509人で前の年度に比べて44人増え、このうち、いわゆる「過労自殺」は未遂も含めて88人で12人増えました。

 一方、脳出血や心筋梗塞など脳・心臓疾患で労災を申請した人は936人で前の年度より59人増えて、5年連続の増加となりました。

 労災と認められたのは216人で、このうち過労死は86人と前の年度より4人多くなりました。

 厚生労働省は、「精神疾患では20代や40代で申請が増加していて、医療や福祉で働く人が多い。脳や心臓の疾患では中高年が増えており、女性や高齢者の労働者の増加も背景にある」としています。

◇遺族 “社員の命や健康を何が何でも守る体質に”
 過労自殺した人の遺族の中には、長時間労働やパワハラを防ぐ対策の重要性を企業が理解しなければ過労自殺はなくならないと訴える人もいます。

 大分市に住む佐藤久恵さんの息子、佐藤幸信さん(当時31)は4年前に自殺し、去年、労災、いわゆる過労自殺と認定されました。

 久恵さんは、「息子が亡くなったと聞いたときは信じられず、何が起きたか理解できないまま息子を迎えに行きました」と当時の心境を話しました。

 幸信さんはソフトウェア開発会社のグループ会社で、人工衛星の管制業務などを担当していましたが、久恵さんは業務量の多さや上司との折り合いの悪さについて聞いていました。

 しかし、幸信さんの死後、会社からは「長時間労働をさせていた訳でもないし、仕事も上司と相談しながらうまくすすめていた。特に悩むような状況はなく、会社として思い当たる節はない」と説明を受けたといいます。

 久恵さんは納得できず、会社の資料や同僚の証言を集め始めます。

 分かったのは、幸信さんが過剰な業務を任され、長時間のサービス残業をしていたこと、さらに、たびたび上司から厳しく当たられパワハラが疑われたことでした。

 幸信さんが亡くなって8か月後、久恵さんは労働基準監督署に労災申請し、調査の結果、残業時間が月に70時間を超えていたことや上司とトラブルがあったこと、それに夜勤を含む管制業務と同時にソフトウェアの開発という達成困難なノルマが課されていたことが認められ、労災と認定されました。

 ただし、上司のパワハラについては証拠が無いとして認められず、会社側も遺族に謝罪はしたもののパワハラや再発防止の具体策については示さなかったということです。

 今月から企業にパワハラ対策を義務づけた法律が施行されましたが、久恵さんは、「法律はできても過労死や過労自殺は減らず、泣き寝入りする遺族もいる。企業の利益ではなくて、社員の命や健康を何が何でも守るという体質に変えていかなければ過労死や過労自殺は防ぐことはできません。失われた命は戻ってきません。会社にも家族を失った者の気持ちを想像し、自分のこととして考えてほしい」と話していました。

◇専門家「経営者が真剣に対策進めるべきだが意識は変わらず」
 労働問題に詳しい龍谷大学の脇田滋名誉教授は、過労自殺が増加している要因について、「特に精神疾患の労災はここ数年増加が著しく、新入社員やそれに近い人たちが自殺に追い込まれている。上から強制する、命令する、長時間労働をいとわないといった働かせ方が企業に根強く残っており、それを反映している」と話しています。

 そのうえで、「働き方改革関連法が施行され、本来であれば経営者が真剣に対策を進めるべきところだが、意識は変わっていない。人間らしい労働時間で働くには、仕事量にあう人員を確保するといった考え方を広めていく必要がある」と指摘しています。
| 福祉・医療と教育 | 06:14 | comments(0) | - |