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鼻づまりないのに嗅覚に異常「新型コロナ感染を疑って」専門家

 新型コロナウイルスに感染することで、においを感じなくなる嗅覚障害のメカニズムが明らかになり、専門家は、「鼻づまりがないのに、突然、嗅覚に異常を感じた場合は、新型コロナウイルスに特有の症状として感染を疑う必要があり、発熱などの症状がなくても感染を前提に行動すべきだ」と呼びかけています。

 新型コロナウイルスに感染したことによる嗅覚の異常をめぐっては、ウイルスに感染したプロ野球・阪神の藤浪晋太郎投手が退院後の記者会見で、「鼻がすっきり通っているのに、においがしないという違和感があった」と語ったように、鼻水や鼻づまりがないのに嗅覚に異常を感じたという報告が国内外で相次ぎ、アメリカのCDC(疾病対策センター)も先月、新型コロナウイルスに感染した場合の症状の例として追加しています。

 嗅覚障害の治療に詳しい金沢医科大学の三輪高喜主任教授によりますと、嗅覚障害は、一般的なかぜやインフルエンザで鼻水や鼻づまりなどの症状を発症したあとに起こることがありますが、他の症状がないのに突然、嗅覚障害が多発したケースは他に例がないということです。

 この嗅覚障害について欧米のグループの最新の研究では、新型コロナウイルスが鼻の奥の特定の細胞から感染してにおいを感じる神経の働きを妨げることで、鼻づまりがなくても嗅覚障害が起きるメカニズムが明らかになっています。

 三輪主任教授は、「突然の嗅覚障害は、新型コロナウイルスに特有の症状として感染を疑う必要があり、発熱などの症状がなくても感染していることを前提に行動すべきだ。これまでの症例の報告などから、嗅覚障害があるからと言って直ちに重症化するということはないので自宅で安静にしたうえで、まずは電話などで医師に相談してほしい」と話しています。

◇新型コロナ感染で嗅覚障害になるメカニズム
 嗅覚障害の治療に詳しい金沢医科大学の三輪高喜主任教授が、去年6月までの過去10年間に大学病院の嗅覚外来を受診した1683人の患者を調べたところ、嗅覚障害の原因で最も多かったのは副鼻腔炎で39%、次いで、ウイルス感染と原因不明がそれぞれ21%などとなっています。

 このうち、副鼻腔炎による嗅覚障害は慢性的な鼻水や鼻づまりが原因とされ、ウイルス感染による嗅覚障害は一般的なかぜやインフルエンザなどで、鼻水や鼻づまりなどの症状を発症したあとに、においを感じる神経細胞がダメージを受けることで起こるとされています。

 では、新型コロナウイルスに感染した患者が鼻水や鼻づまりがないのに、においを感じなくなるのはなぜなのでしょうか。

 通常、人は鼻の奥にある「嗅細胞」と呼ばれる神経細胞でにおいの分子をとらえ、脳に信号を送ることでにおいを感じています。

 この「嗅細胞」を支えているのが「支持細胞」と呼ばれる別の細胞です。

 欧米などの研究グループの最新の報告では、「支持細胞」には新型コロナウイルスが人の細胞に入り込む際の受け皿となる「受容体」と呼ばれるたんぱく質があることが分かっています。

 三輪主任教授は、新型コロナウイルスに感染すると「支持細胞」が炎症で腫れ上がり、においの分子の通り道を塞ぐことで分子が「嗅細胞」に届かなくなることが嗅覚障害の原因ではないかと指摘しています。

 このため、感染症から回復して「支持細胞」の腫れがひくと、2週間から3週間ほどの比較的短い期間で、嗅覚障害も解消される可能性が高いとしています。

 三輪主任教授は、「この嗅覚障害は鼻づまりとは関係のないメカニズムで起こっており、こうしたメカニズムは一般的なかぜやインフルエンザでは確認されておらず、新型コロナウイルスの感染者に特有の症状と言える」と話しています。

◇欧州で感染患者の80%以上に嗅覚や味覚に障害
 先月、ヨーロッパの研究グループが発表した論文では、新型コロナウイルスに感染した患者の80%以上に嗅覚障害があったと報告されています。

 それによりますと、ベルギーやフランスなどヨーロッパの12の病院で治療を受けた軽症から中程度の症状の患者、417人のうち、85.6%にあたる357人に嗅覚障害が確認されたということです。

 また、研究グループは、味が分からなくなる味覚障害についても、同様に全体の88%で確認されたとしていて、「突然起こる嗅覚障害や味覚障害は新型コロナウイルス感染症の重要な症状として国際的に認識される必要がある」と結論付けています。
| 福祉・医療と教育 | 23:08 | comments(0) | - |