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データで見る“巣ごもり消費”の実態は
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でイベントの中止が相次ぎ、外出を控える人が増えるなか、国内の消費は急激に冷え込んでいます。

 ただ、自宅で過ごす時間が増えたことで、一時的に売り上げが伸びている商品やサービスもあるようです。

 宅配のトラックやバイクが忙しそうに街を走るのをよく見かけますが、いわゆる“巣ごもり消費”の実態はどうなっているのか。公表されているデータをもとに探りました。(経済部記者 新井俊毅)

◇新型コロナ、業種・時期で明暗も
 まずはドラッグストアを展開する企業のデータを見てみましょう。

 2月は品薄となったマスクや消毒液、トイレットペーパーなどを買い求めるたくさんの人が店に押し寄せました。紙おむつやティッシュペーパー、食品などにもまとめ買いの動きがあったといいます。この結果、各社の売り上げは、前の年の同じ月と比べて大きく伸びました。

▽スギ薬局 +20.9%
▽ウエルシア +20.6%
▽薬王堂 +19.6%
(いずれも既存店での比較)

 一方、外出自粛の広がりで経営環境が厳しさを増しているのが娯楽関係の企業です。

 ボウリングやカラオケなどの娯楽施設を運営するラウンドワン。休日が多かった2月の売り上げは、前の年の同じ月と比べると+5.3%と増加しましたが、政府が小中学校などの臨時休校を要請してからは環境が一変。

 その翌日の2月28日から3月4日にかけての売り上げは前の年の同じ時期と比べて−15%程度と大きく落ち込んだことを明らかにしています。

 在宅勤務の広がりや外出の自粛で、自宅でアルコール飲料を飲む機会が増えそうですが、これをデータで見てみます。

 酒類販売のカクヤスが公表している3月1日から15日にかけての売り上げ(速報値)では、家庭向けが前の年の同じ期間と比べて+5.3%となりました。酒類と一緒に缶詰や水などを買い込む行動が数字を押し上げたようです。

 一方で居酒屋や飲食店向けなど業務用の売り上げは−24.6%と大幅な減少となりました。“巣ごもり”の影響で、販売先によって明暗が大きく分かれた形です。

 “巣ごもり消費”が逆風を跳ね返したケースもあります。

 ディスカウントスーパーのドン・キホーテ、去年7月から12月までの免税品の販売が全体の8.8%を占め、店舗によっては免税売り上げの割合が80%以上のところがあるなど、外国人旅行者によるインバウンド消費が業績を支えていました。

 この会社では、今回の事態で外国人旅行者の消費が落ち込む一方で、週を追うごとに“巣ごもり消費”が増加。カップ麺や冷凍食品などの販売が伸び、2月の売り上げは、前年同月比+1.2%で着地しました。

◇巣ごもりで追い風
 モスバーガーを展開するモスフードサービスも、巣ごもり消費の盛り上がりを感じている企業の1つ。

 消費税率の引き上げ後は、テイクアウトの割合が6割前後でしたが、ここに来て、ドライブスルーでの利用が増加。足元ではテイクアウトの割合はさらに増えているのではないかと分析しています。

 2月の売り上げも+15.9%と大きく伸びました。さらに、平日の会計ごとの単価も伸びているということで、会社では「在宅勤務や休校措置で、家族の分をまとめて買っているという人が多いのではないか」と話しています。

 “巣ごもり”は、消費のスタイルも変えつつあります。衣料品については店を訪れて買いたいという人も多いと思いますが、この分野でもネット通販のニーズが高まっています。

 セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは、2月の売り上げが前の年の同じ月と比べ+1.8%とプラスになりました。

 内訳をみると、店舗の売り上げは−5.7%と減少する一方、ネット通販では+18.7%と急増。ネット通販の売り上げが全体を押し上げた形です。

 この会社では、「営業時間の短縮などで、都心の店舗を中心に来店客が減る一方で、ネットショッピングへの移行が進んでいる」と話しています。

◇持続的に消費を盛り上げる効果は限定的だが…
 今回、企業が発表している売り上げなどのデータをもとに取材を進めましたが、すべての企業がこうしたデータを公表しているわけではないので、“巣ごもり消費”には、まだ見えない部分もあります。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平研究員は、「まとめ買いのような行動が一時的に消費の下支えにはなっているが、“需要の先食い”に過ぎず、経済全体からみると、持続的に消費を盛り上げるという効果は限定的だろう。一方、“巣ごもり”によってネット通販のほか、動画やゲームなどの定額利用、いわゆるサブスクリプションのサービスへの関心が高まり、利用のハードルが高かったこうした新しい消費への移行が進む可能性もある。感染拡大がおさまって消費者が“巣立ち”したあと、こうした新しいスタイルの消費が定着すれば経済へのプラス効果も見込める」と指摘しています。

 “巣ごもり消費”の盛り上がりは、厳しい状況にある小売業を下支えできる数少ない材料ではありますが、それがどこまで持続性のあるものか、そして私たちの消費のスタイルを変えるきっかけとなるのか、注目したいと思います。
| 政策 | 03:16 | comments(0) | - |