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センバツ高校野球 開催中止に 新型コロナウイルス感染拡大受け
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、高野連(日本高校野球連盟)などは今月19日の開幕を予定していたセンバツ高校野球について、無観客での開催を断念し、中止することを決めました。センバツ高校野球はこれまで戦争の影響で中断した期間はありましたが、予定されていた大会が中止になるのは初めてです。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、高野連などは今月4日、甲子園球場で行われるセンバツ高校野球を初めて観客を入れずに開催する方針を示し、開催に向けた準備を進める一方で、その後の感染状況などの変化を踏まえて最終判断する意向を示していました。

 そして、11日午後から大阪市内で開かれた臨時の運営委員会で協議した結果、無観客での開催を断念し、大会の中止を決めました。

◇大会会長「安心してプレーできる環境 現段階で担保できない」
 大会会長を務める毎日新聞の丸山昌宏社長は会議後に記者会見し、「さまざまな角度から協議した結果、今も感染者が増え続け予断を許さない状況で、選手が安心してプレーできる環境を現段階では担保できない。多くの学校の大会に向けた準備は十分とはいえず、選手のけがの可能性もあることから苦渋の決断となった」と述べました。

◇出場選手たちは…「心と体バラバラ」「夏に向けて進む」
 3年ぶり4回目の出場をする予定だった群馬県高崎市の高崎健康福祉大高崎高校では、11日午後6時すぎ、監督とキャプテンが報道陣の取材に応じました。

 青柳博文監督は、「無念ですが、ほかのスポーツも中止が相次いでいるのでしかたがないと思う。この気持ちを切り替えて『夏の甲子園に向けてやっていくぞ』と選手たちに伝えていきたい」と話していました。

 キャプテンの戸丸秦吾選手は、「悔しい気持ちはあるが、この決断はしょうがないのかなと思う。今は気持ちが追いつかず心と体がバラバラな感じだが、気持ちを切り替えて夏の大会ではもう一度甲子園に健大高崎の名前をとどろかしたい」と話していました。

 3年ぶり13回目の出場を決めていた宮城県の仙台育英高校、須江航監督は、「以前から中止も十分にありえると私も選手たちも考えていた。ただ、激しい競争を勝ち抜いてセンバツのメンバーに選ばれた選手もいて、そのことを考えると悲しいという思いがある。この困難をみんなで乗り越えて、夏は甲子園に選手たちを連れていきたい」と悔しさをにじませながら話していました。

 新3年生となるキャプテンの田中祥都選手は、「ここまで、開催に向けて前向きに尽くしてくださった関係者の方には感謝しかない。そこを踏まえてみんなで話をして前に進んでいきたい。ここまで練習を重ねて準備をしてきたものは変わらないと思っているので、全員で競争して夏に向けて進んでいきたい」と前を向いていました。

◇「大会中止」 センバツは史上初 夏は戦争と米騒動の2度
 春と夏の甲子園で大会が中止になったことは夏は過去に2回ありますが、センバツでは初めてです。

 春と夏の甲子園は太平洋戦争の影響で昭和17年から終戦後まで大会が行われませんでしたが、高野連(日本高校野球連盟)はこの期間を「中断」としています。

 高野連では開催が予定されていた大会が途中で取りやめになった場合を「中止」と定義していて、去年までで91回を数えるセンバツの歴史で予定されていた大会が中止されたことはありませんでした。

 開幕直前に東日本大震災が発生した平成23年も開催されたセンバツですが、今大会は新型ウイルスの感染拡大のリスクを乗り越えることはできませんでした。

 一方、夏の甲子園は過去に中止となったことが2回あります。

 大正7年は米騒動のため、開会式前日に延期が発表され、その後、中止になりました。

 また、昭和16年の夏は一部地域で地方大会が始まったあとに戦局が緊迫したため中止に追い込まれました。

◇経済損失試算 289億円余り
 センバツ高校野球が中止された場合の経済損失は289億円あまりに上るという試算を大学の専門家がまとめました。

 試算を行ったのはスポーツ経済学などを専門にする関西大学の宮本勝浩名誉教授です。

 宮本名誉教授の試算では、ここ数年のセンバツ高校野球の平均入場者数から、通常どおり開催された場合は51万人余りが訪れると仮定し、大会が中止になることで観客の交通費や宿泊費、それにグッズ売り上げなどによるおよそ289億7000万円の経済効果が失われると推定しています。

◇「中止」判断の理由は
 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、センバツ高校野球の開催をめぐって高野連(日本高校野球連盟)など、大会の主催者は難しい判断を迫られていました。

 センバツ大会の開催について主催者は当初通常開催の方針を示していましたが、先月26日に政府から大規模イベントの自粛要請が出されたことを受けて「通常どおり開催することはできない」として、無観客での開催や開幕延期など具体的な検討を始めました。

 そして、今月4日に行われた大会の運営委員会では「球児の熱い思いをくみ、開催に向けて最大限の努力をしたい」として、感染予防対策にしっかり取り組んだ上で観客を入れずに開催する方針を明らかにし、準備を続けてきました。

 しかし、感染の拡大が続く中、高体連の加盟団体が今月開く予定だった25の全国大会がすべて中止になったほか、9日にはプロ野球、そしてサッカーのJリーグも、シーズンの開幕と公式戦再開の延期をそれぞれ決定しました。

 さらに、高野連が感染症の専門家と個別に協議を行ったところ、球場内の消毒や選手の宿泊先での予防対策などより厳しい対応をとるよう助言があったということで、センバツ開催をめぐる状況が厳しくなっていました。

 そして11日、臨時の運営委員会で最終判断を行い、大会の中止が決まりました。

◇専門家「対策の徹底 ハードル高かったか」
 センバツ高校野球の開催が中止されたことについて、感染症対策に詳しい近畿大学病院感染対策室の吉田耕一郎室長は、「新型コロナウイルスの感染拡大は現状では終息への道筋が見えていない段階だ。甲子園球場は屋外なので感染のリスクが高いとは言えないが、人が集まることは徹底的に避けようと思い切った決断をされたと思う」と受け止めていました。

 そのうえで、中止に至った背景について、「選手や大会の関係者は医療の専門家ではない。そういう人たちにどうやって対策を徹底させるかということは、ハードルが高かったのではないかと思う。予防対策を十分にとれないとなれば、中止という判断に至らざるを得なかったのではないか」と分析していました。

 さらに、今後のスポーツイベントの開催については、「感染の拡大が終息に向かっていく道筋がしっかり見えないと、通常どおり開催することはできない。それまで警戒を緩めてはいけないし、慎重に考える必要がある」と話していました。

◇高野連会長「何らかの形で甲子園に」救済措置も
 高野連の八田英二会長は、「選手の健康と安全が第一であることを最大限に重視して、開催中止という判断に至った。高野連として高校野球は学校教育の一環と考えている。教育関係者として選手の健康を第一に考えるというのが決断の原点。甲子園に出場したいという選手の希望と夢は理解しているが、教育の原点にかえって苦渋の決断をした」と厳しい表情で話しました。

 また、開催中止を11日決断した理由について、「きょうもう一度保留して、あす、あさってまでのばすことは選手の気持ちを考えれば、これ以上できない。また今後、感染状況がどうなるかわからない。そうしたことを考えればきょうが一番よかったと思う。専門家にも対策を聞いたが、100%の対策はできないので決断した」と説明しました。

 そのうえで、今大会の出場が決まっていた選手への救済措置として、「新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた段階で、出場校には何らかの形で甲子園に来て頂けたらと考えている。選手には甲子園の土を踏ませてあげたい」と話していました。

 これに関連して大会会長を務める毎日新聞の丸山昌宏社長も、「主催者として何ができるか出場校の要望も聞きながら考えたい」と話していました。
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