<< February 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 >>
<< 安倍内閣 「支持する」45%「支持しない」37% NHK世論調査 | main | 1月の企業倒産 5か月連続で前年同月上回る >>
アカデミー賞 韓国の「パラサイト」作品賞 外国語映画受賞は初

 アメリカ映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞の授賞式がハリウッドで行われ、韓国の格差社会をテーマにした「パラサイト 半地下の家族」が最も重要とされる作品賞を受賞しました。外国語の映画が作品賞を受賞するのはこれが初めてです。

 ことしで92回目となるアカデミー賞の授賞式は、9日、日本時間の10日、ロサンゼルス近郊のハリウッドで行われました。

 この中では、6つの部門でノミネートされていた「パラサイト 半地下の家族」が、最も重要とされる作品賞を受賞しました。

 外国語の映画が作品賞を受賞するのは初めてです。

 この作品は、韓国の格差社会をテーマに、半地下の住宅に住む貧しい一家と高台の豪邸に住む社長一家が予期せぬ出来事に巻き込まれていく様子を描いたものです。

 このほか、監督賞、国際長編映画賞、脚本賞も受賞し、合わせて4つの部門で最高の評価を受けました。

 一方、メーキャップ・ヘアスタイリング賞では、アメリカのテレビ局のセクシュアルハラスメントをめぐる問題を描いた映画「スキャンダル」で特殊メークを担当したカズ・ヒロさんが選ばれました。

 カズ・ヒロさんがこの賞を受賞するのは、おととしに続き2度目です。

 京都市出身のカズ・ヒロさんは、主演を務めた俳優のシャーリーズ・セロンさんから指名を受けて、作品での特殊メークを担当しました。

 カズ・ヒロさんは、「大変名誉なことです。俳優として、あるいはプロデューサーとしてこの映画を実現させたセロンさんに感謝したいです」と謝辞を述べました。

◇「パラサイト」とは
 ことしのアカデミー賞で作品賞や監督賞など4つの賞を受賞したポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」は、貧しい家族が、本来なら関わるはずのなかった裕福なIT企業経営者の一家と出会うことで、予期せぬ出来事が次々と起きるストーリーで、韓国の格差社会がテーマの1つになっています。

 この映画は、世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭の最優秀賞「パルムドール」をはじめ、各国の映画祭で160を超える賞を受賞するなど、これまでも高い評価を受けてきました。

 韓国では、すでに観客が1000万人を超える大ヒットとなっています。

 国内でも先月公開されたあと、現在およそ190の映画館で上映されていて、観客動員数も100万人を突破し、興行収入が15億円を超えるヒットとなっています。

◇監督「字幕の壁乗り越えた」
 アカデミー賞の授賞式の会場に設けられた記者会見場では、作品賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督が姿を現すと大きな拍手がわき起こり、立ち上がって出迎える記者もいました。

 各国の記者からは「歴史的な瞬間だ。どう受け止めているか」といった質問が相次ぎ、ポン・ジュノ監督は、「現実とは思えません。頭をたたかれて、夢から覚めてしまわないかと思っています。外国語の作品には字幕の壁があると思っていましたが、人々はそれを乗り越えました。外国語の作品であるかどうかはもはや関係ないのです」と喜びを語っていました。

◇映画評論家は
 「パラサイト 半地下の家族」が外国語の映画として初めてアカデミー賞の作品賞を受賞したことについて、映画評論家の渡辺祥子さんは、「アカデミー賞には外国語映画賞があるため、これまで、結果として、作品賞は英語のものに限られてきました。しかし、去年、ノミネートされた『ローマ』をきっかけに、『ハリウッドの映画がいちばん』という選考委員の考えが変わってきたのではないか」と分析しています。

 理由として渡辺さんは、映画作りがグローバル化していることなどを挙げたうえで、「どこで映画を作るかではなく、よい作品を選ぼうという風潮に変わってきたこと、それに韓国の人たちが、自分の国の映画が候補になったのだからとそれを支援しようとしたことも受賞の後押しになったのではないか」と話していました。

 そのうえで、「何よりもストーリーが二転三転する作り込まれた脚本と、細かい人物描写が相まった作品のおもしろさが評価されたのだと思います」と話していました。

◇韓国では祝福の声
 「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞の作品賞を受賞したことについて、映画の撮影地となったソウル市内の飲食店では、祝福する声が挙がっていました。

 この飲食店の店内には、ポン・ジュノ監督のサインや写真、さらに実際に撮影に使われたピザを入れる紙の箱などが飾られていました。

 また、この店は、映画の公開後、韓国のみならず、日本や台湾、アルゼンチンなど各国から撮影現場をひとめ見ようという人たちでにぎわっているということです。

 店の近くに住む60代の韓国人女性客は、ポン・ジュノ監督について、「こんなに立派な監督が韓国にいてくれて誇らしい。これからもいい映画をつくってもらいたい」と話していました。

 ピザ屋の店長は、「監督は気さくな方で、私にも『撮影をさせてもらいありがとう』と言ってくれた。映画をきっかけに海外からも客が来るようになり、ありがたいです」と話していました。

 また、ムン・ジェイン(文在寅)大統領もフェイスブックにコメントを投稿し、「国民とともにお祝いする。世界の人々の心を動かし、個性的で細かい演出と的確な台詞、俳優の演技など、その力量を世界に証明した」として、受賞をたたえています。

◇韓国メディア「歴史を新しく作った」
 「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞で最も重要とされる作品賞を受賞したことについて、韓国メディアは、「歴史を新しく作った」などと大きく報じる一方、映画のテーマである、格差社会の広がりに対するポン・ジュノ監督の思いも伝えています。

 韓国のメディアは、外国語の映画としての初の作品賞の受賞であることを強調したうえで、「新しい歴史を作った」と一斉に報じたほか、作品賞のほかに監督賞など合わせて4つの部門で受賞したことについて「4冠王快挙」などという見出しで伝えています。

 一方、韓国の通信社、連合ニュースは「シナリオ誕生秘話」と題して、格差社会をテーマにした作品を手がけることになったポン監督の思いを伝えています。

 それによりますと、ポン監督は大学生のとき、映画の設定と同じく富裕層の家で家庭教師をした経験があると話していたことを紹介し、映画を構想する際に「金持ちと貧しい者の話をより日常的に、現実に引きつけながら、最も基本的な単位である家族を通じて描いてみたかった」と話していたということで、韓国の格差社会をかいま見たみずからの原体験が作品に大きく影響を与えたと分析しています。

 また、有力紙「朝鮮日報」は、「現代社会の階級構造を鋭く照らしたという評価を受けた。専門家は『極めて韓国的な映画だが、貧富の両極化という世界的な社会問題を洞察力で浮かび上がらせた』と分析している」として、韓国の格差社会を普遍的な問題として捉え、発信した意義を伝えています。

◇英語以外の映画 受賞に注目
 「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞で最も重要とされる作品賞を外国語の映画として初めて受賞したことについて、欧米のメディアは、「歴史を作った」などと大きく伝えています。

 このうち、アメリカのCNNテレビは、「『パラサイト』は今回のアカデミー賞で歴史を作った。英語ではない言語の映画が初めて作品賞に選ばれた。驚くべき結果だ。監督は華麗に仲間と共に受賞したが、結果に圧倒されていた」と受賞の意義を強調しています。

 また、イギリスの公共放送、BBCも、「アカデミー賞の92年の歴史のなかで字幕が付いた映画は作品賞を受賞していなかったが、今回初めて成し遂げた」と大きく伝えており、欧米のメディアの関心の高さがうかがえます。
| 雑感 | 12:48 | comments(0) | - |