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懐かしい「名車」復活の裏側
◎カローラは「車名で失敗」? “往年の名車”復活の裏側
 (2020年01月11日 11:30 AERA dot.)

 国内市場ではほぼ半世紀におよぶロングセラーで、シニアには懐かしい車がある。だれもが一度は耳にした覚えのある車たち。「往年の名車」とでも呼ぶべき車の最新モデルを追った。

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 国内自動車販売で2019年10月、首位に懐かしい車名が躍り出た。軽自動車を除く登録車販売でトヨタの「カローラ」が1万1千台超と、約11年ぶりの首位に返り咲いた。

 「カローラは大衆車と言われるが、自分が乗っている車が大衆車と言われるとうれしくないと思う」

 2019年9月の新型カローラ発売に際し、こう話した豊田章男社長は、「多くの人に愛される車だからこそ、絶対にコモディティー(汎用[はんよう]品)と言われる存在にしたくない」と強調した。

 1966年に登場したカローラは、今回で12代目。1969〜2001年に年間販売首位、1975年と1990年は30万台超を販売。世界累計販売は5千万台に迫る。

 開発担当の上田泰史チーフエンジニアによれば、新型カローラの特徴は、スポーティーなスタイリング、重心を下げた気持ち良い走り、予防安全システムの「トヨタ・セーフティセンス」の標準装備、スマートフォンなどとつながるコネクテッド機能の搭載……など。

 排気量は従来の1.5リッターから1.8リッターに拡大したガソリン車とハイブリッド車に加え、1.2リッターのターボエンジン車がある。最低価格は税抜き176万円と、先代に比べ約40万円も高くなった。

 自動車評論家の国沢光宏さんはこう話す。

 「新型はこれまでに比べてすごくいい。ただ、車名で失敗していると思います。30代後半から70代の中には、車名だけで嫌う人もいます」

 購入層は、従来カローラに乗っている人や、車名にアレルギーのない若者とみているが、値段はやや高めだ。トヨタがターゲットにしているのは「日本を支えて働く世代の30〜40代」(広報担当)。

 「うまく生まれ変わりました。以前の購入者はものすごく高齢化し、(車のデザインも)年配者向き、もしくは商用車のようで実用性重視でしたが、個人ユーザーに向き直りました」

 こう評価するのは自動車評論家の五味康隆さん。「トヨタの一番の狙いはプリウスユーザー」とも話し、旧型プリウスから新型カローラへ買い替え需要の取り込みをもくろんでいるという。ただ、カローラはプリウスに比べ、「ブランド意識で落ちる感じがあり、抵抗のある人は多い」とも指摘し、「トヨタの狙いどおりにいっていないのでは」とみている。

 「いつかはクラウン」と、1983年投入の7代目のキャッチコピーが懐かしいトヨタの「クラウン」。最新は2018年に発売された15代目で、スマホ連携などコネクテッドカーを標榜(ひょうぼう)し、「走る・曲がる・止まる」の車両性能を進化させた。最低価格は税抜き426.5万円。1955年登場の初代は101万円超だった。

 クラウンは2012年発売の14代目で外観を大幅に変更し、フロントグリルが革新的になっていたが、15代目はこれまでの「おやじくささ」を払拭するスタイリングとなった。

 前出の五味さんは、

 「おしゃれな感じで、スポーティーなイメージ。走行性能もいい。今までのユーザーに加えて新しい層を取り込むのが狙い。30代半ばから40代半ばで、輸入車に乗っている人がターゲットでしょう」

 と話す。

 クラウンは2008年の13代目から、主力はハイブリッド車になっている。15代目は2リッターのターボエンジン車と、2.5リッターと3.5リッターのハイブリッド車だ。

 クラウンの歴史は長く、国内高級車の象徴的な存在でもある。前出の国沢さんは「歴史があり、買う側の思い込みが激しい車」と指摘する。

 「新型車のデザインがクラウンらしくなく、洋風になっています。良くなったところがわかりにくい。乗り心地は硬いかもしれず、もう少し穏やかなほうがいいかもしれません」

 国沢さんはクラウンを評価しながらも、新しい層の取り込みには苦戦しているとみている。

■日産とホンダ 「らしさ」で勝負
 国沢さんが「これこそ往年の名車で、昔は憧れの車だった」と言うのが日産の「スカイライン」。

 「今まで沈みっぱなしでしたが、新型車はものが良く、往年の名車の雰囲気です。先端技術をつぎ込み、走りも素晴らしい。昔のお客さんが戻ってきているのではないでしょうか」

 スカイラインの最新13代目は2014年に登場して以来、最大級の改良をしたモデルが2019年9月に販売を開始。日産の車らしいフロントマスクを採用し、ハイブリッド車には高速道路で一部ハンズオフ走行が可能な先進運転支援技術「プロパイロット2.0」を標準採用した。

 海外向け一部車種に搭載し、日本では未設定だった最新の3リッター坑競張ぅ鵐拭璽椒┘鵐献鵑鬟ソリン車に搭載した。スカイライン史上で最高の400馬力となる「400R」もラインアップした。

 スカイラインは1957年に富士精密工業(後のプリンス自動車)が生産を開始し、1966年に日産がプリンス自動車を吸収合併した。最近は米国市場を意識して、2014年から日産の高級ブランド「インフィニティ」のバッジを付けていたこともあったが、2019年から日産バッジに戻った。最低価格は税抜き395.8万円。

 スカイラインについて、五味さんは「400Rで運動性能も突き詰めた」と評価する一方、今回はマイナーチェンジと指摘。

 「プラットフォーム(車台)を切り替える時期。ここ数年の技術進化は速く、多くのメーカーが入れ替えて車両性能を向上させています。スカイラインもフルモデルチェンジすると、もっと乗り味が良くなるでしょう」

 ホンダは軽自動車「N360」が1967年に軽自動車販売で首位に立った後、軽に続く小型車市場で足場を築くため、1972年に発売したのが「シビック」だ。「あらゆる人々の車」「世界市民のベーシックカー」を標榜し、世界販売を狙って開発された。

 8代目を最後に2010年に国内向け生産を終了した。それから7年。2017年9月に10代目を再び日本でも発売した。上質な走りを目指すセダンと、スポーティーなハッチバックには1.5リッターのターボエンジンを、スポーツ性能を大幅に向上させたタイプRには2リッターのターボエンジンを搭載した。

 シビックについて、国沢さんはこうみる。

 「昔のシビックは小さくて買いやすかったのですが、今は大きくて燃費もあまり良くありません。いったん米国市場にいってしまった車で、日本人のイメージとは違うという感じがします。多く売るのは厳しいのではないでしょうか」

 五味さんは、「ホンダの販売体制や販売力が伴っていないのではないでしょうか。日本での販売をいったん手放してしまっており、お客さんは簡単には戻ってきません」と指摘しつつ、こう評価する。

 「ホンダらしい車で、走りも裏切らない」

 ホンダは2020年1月にマイナーチェンジしたシビックを発売する。

 各社が往年の「名車」で国内販売の底上げを図る狙いのようだ。(本誌・浅井秀樹)

 ※週刊朝日  2020年1月17日号
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