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台湾総統選 現職 蔡英文総統が再選 過去最多得票を獲得
 11日投票が行われた台湾の総統選挙で、現職の与党・民進党の蔡英文総統が、直接投票による総統選挙が行われて以来、最も多い800万を超える票を獲得し、再選されました。蔡氏は勝利宣言の中で、中国に対して「武力による脅しを放棄すべきだ」と述べて、強い姿勢で臨む方針を示しました。

 台湾の総統選挙は、現職の与党・民進党の蔡英文総統(63)と、南部・高雄の市長で最大野党・国民党の韓国瑜氏の(62)、事実上、2人の争いとなりました。

 開票はさきほど終了し、中央選挙委員会は、

▽蔡総統が817万票余り、得票率およそ57%、

▽韓氏が552万2000票余り、得票率およそ38%などとして、

蔡氏が再選されたと発表しました。

 蔡総統の得票は、1996年に、台湾で初めて直接投票による総統選挙が行われて以来、最も多くなりました。

 蔡総統は、日本時間の11日午後10時すぎから記者会見を行い、「民進党の政権を選んでくれたことに感謝する。主権と民主主義が脅威にさらされる中、人々が大きな声をあげた結果だ」と述べ、勝利を宣言しました。

 また、中国に対して「武力による脅しを放棄すべきだ」と述べ、強い姿勢で臨む方針を示しました。

 一方、国民党側は、韓氏が敗北を認めるとともに、トップの呉敦義 主席が、選挙結果の責任をとって辞任する意向を明らかにしました。

 今回の選挙で、将来の台湾統一を目指す中国に対抗姿勢を示す蔡総統が再選されたことで、日本にも影響を与える中国と台湾の関係の今後の行方が焦点となります。

◇蔡総統 勝因は
 蔡英文氏は、中国との距離の取り方が最大の争点となった今回の選挙で中国に対抗姿勢を示すことで支持を広げてきました。

 4年前に蔡政権が発足して以降、中国側は、対話の基礎とする「1つの中国」の原則を受け入れない蔡政権に対し、外交や軍事、それに経済面で圧力を強めてきました。

 去年1月、中国の習近平国家主席が将来の台湾統一に向けて「一国二制度こそが最良の形だ」と発言した際には、蔡氏は即座に「絶対に受け入れられない」と激しく反発しました。

 さらに去年6月、「一国二制度」が導入されている香港で抗議活動が始まると、抗議活動に共感を示す幅広い世代の人たちに蔡氏への支持が広がり、低迷していた蔡氏の支持率が回復していきました。

 経済面では、米中の貿易摩擦を受けて、中国に進出している台湾企業がアメリカへの輸出に関税が上乗せされる中国から台湾に生産拠点を移す動きが活発化していることも蔡氏に有利に働きました。

 蔡政権は、新たに台湾に投資する企業に優遇策を打ち出し、投資の申請はこれまでに160社以上にのぼっています。

 蔡氏は、香港の一連の抗議活動や米中の貿易摩擦が追い風となり、民進党の支持層だけでなく、無党派層からも幅広い支持を得たことが再選につながったとみられます。

◇韓氏 敗因は
 韓国瑜氏は、蔡英文政権が中国との関係を悪化させ、経済を低迷させていると批判して中台関係の改善を訴えてきました。

 しかし、中国の影響力が強まる香港で自由や民主的な価値観が失われつつあるとして、抗議活動が続いていることを受けて、台湾でも中国への警戒感が高まり、中国に融和的な姿勢をとる韓氏には逆風となっていました。

 韓氏は、中国が高度な自治を認める「一国二制度」を通じて台湾統一を目指すことに反対すると強調しましたが、具体的な議論になると発言を避ける場面もあり、有権者の不安を払しょくすることができなかったとみられます。

 また、国民党内では一部の勢力が韓氏の立候補に反発し、挙党一致の選挙戦が行われなかったほか、中高年を中心に支持を集めたものの、若い世代や無党派層には支持が広がらなかったとみられます。

◇立法院選挙 与党・民進党が過半数維持
 総統選挙と同時に行われた議会にあたる立法院の選挙は、与党・民進党が過半数を維持しました。

 台湾の中央選挙委員会によりますと、民進党は113議席のうち、61議席を獲得して過半数を確保し、第一党となりました。

 民進党は前回、4年前の選挙で初めて過半数の議席を獲得し、今回も維持できるかが焦点となっていました。

◇香港 抗議活動リーダー「中国共産党の権威主義に『ノー』」
 香港で2014年に行われた民主的な選挙を求める抗議活動「雨傘運動」を率いたリーダーの1人、黄之鋒氏は台湾の総統選挙の結果についてSNS上に、「台湾の多くの人々が民主主義と自由を守るという運命を選び、中国共産党の権威主義に『ノー』と声をあげた。香港の人々にとっても貴重な瞬間だ」と投稿し、選挙結果を歓迎しました。

 そのうえで、「自由な世界の最前線である香港と台湾は最も緊密な同盟として、ともに中国の脅迫に対抗し続けるだろう」として台湾の人たちと連携して中国に対抗していく考えを示しました。

 また、「雨傘運動」の中心メンバーの1人、周庭氏もSNS上に、「民主主義と自由を重視している立候補者が当選されてよかった。台湾がこれからも引き続き民主的な場所でありますように」と日本語で投稿しました。

◇茂木外相「協力と交流のさらなる深化を」
 茂木外務大臣は、「民主的な選挙の円滑な実施と蔡英文氏の再選に祝意を表する。台湾は、わが国にとって、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーで大切な友人だ。政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していく立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく考えだ」という談話を発表しました。

 また、中国と台湾をめぐる問題については、「当事者間の直接の対話により平和的に解決され、地域の平和と安定に寄与することを期待する」としています。
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