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イラン 米軍に弾道ミサイル 革命防衛隊“司令官殺害への報復”
 イランは精鋭部隊の司令官殺害への報復だとしてイラクに駐留するアメリカ軍の拠点を弾道ミサイルで攻撃し、最高指導者ハメネイ師は「平手打ちを食らわせた」と述べて、アメリカに一撃を与えたと主張しました。アメリカのトランプ大統領は、現段階で大きな被害は出ていないという認識を示し、日本時間の8日夜にも声明を出すとしています。

 アメリカ国防総省は、イランが現地時間の8日未明に十数発の弾道ミサイルを発射し、アメリカ軍などが駐留するイラク西部のアサド空軍基地と北部のアルビルの基地の少なくとも2か所が狙われたと明らかにしました。

 アメリカの複数のメディアは、政府関係者の話としてミサイルは合わせて15発で、このうち10発がアサド空軍基地に、1発がアルビルの基地に着弾したと伝えています。

 また、アメリカ軍はミサイルの発射を探知し、現地の部隊に警報を発して兵士らを安全な場所に避難させたということで、これまでのところアメリカ軍の死傷者は確認されていないとしています。

 これに対し、イランの革命防衛隊は8日、声明で攻撃を認めたうえで、ソレイマニ司令官を殺害されたことへの報復だと表明しました。

 イランの最高指導者ハメネイ師は8日、首都テヘランで演説し、このなかで「昨夜はアメリカに平手打ちを食らわせた」と述べ、アメリカに一撃を与えたと主張しました。

 そして、「今回の軍事行動では十分ではなく、この地域におけるアメリカの存在を消し去ることが重要だ」として、アメリカ軍を中東地域から撤退させる必要があると訴えました。

 ハメネイ師直轄の革命防衛隊は、「アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく破壊的な報復に直面することになる」として、反撃をけん制する一方、ザリーフ外相は、ツイッターで緊張のさらなる激化や戦争は望まないという考えも示しています。

 アメリカのトランプ大統領は、攻撃のあとツイッターに、「すべて順調だ。被害の状況を確認している。今のところ非常によい」と投稿して、現段階で大きな被害は出ていないという認識を示し、8日朝、日本時間の8日夜にも何らかの声明を出すとしていて、その内容に高い関心が集まっています。

◇攻撃作戦名は「殉教者ソレイマニ」
 イランの精鋭部隊、革命防衛隊は8日、声明を国営テレビを通じて発表しました。声明では、「8日朝、英雄であるソレイマニ司令官の殺害への報復措置として、革命防衛隊の航空部隊が、多くのミサイルでアサド基地を爆撃した」としています。また攻撃の作戦名は「殉教者ソレイマニ」だとしています。

 そのうえで、「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」としてアメリカをけん制したほか、「われわれは、シオニスト政府と犯罪者のアメリカ政府を区別しない」として、イランと敵対し、アメリカの後ろ盾を受けるイスラエルも軍事攻撃の対象となるとしています。

 さらに、「アメリカの同盟国にある拠点からイランへの攻撃が行われれば、その同盟国も標的となる」として、アメリカの軍事行動に協力しないよう警告しています。

 イラク国内のアメリカ軍施設への攻撃が明らかになったあと、今月初めにアメリカ軍に殺害されたソレイマニ司令官の遺体の埋葬が、出身地のイラン南東部ケルマン州で、イラン時間の午前5時すぎから行われました。埋葬は午前6時半ごろに終わったということです。

◇米民主党 下院議長「戦争している余裕はない」
 アメリカの野党・民主党のペロシ下院議長は7日、「アメリカ軍を標的にしたイラクでの攻撃の状況を注視している。われわれは、アメリカ軍関係者を守るためにイランに攻撃の中止を求めると同時に、トランプ政権にも不必要な挑発をやめさせなければならない。戦争をしている余裕は、アメリカにも世界にもない」という声明を出しました。

◇イランの弾道ミサイルとは…
 イランは、中東地域のアメリカ軍基地やイスラエルを射程圏内におさめる弾道ミサイルを保有しています。

 精鋭部隊・革命防衛隊が開発や運用を担い、アメリカのメディアによりますと去年7月には、中距離弾道ミサイル「シャハブ3」1発の発射実験を行ったということです。

 「シャハブ3」は、北朝鮮のミサイル「ノドン」の技術を応用して開発されたとされる比較的古いタイプで、アメリカのメディアは、「射程や精密さの改良が目的ではないか」と分析していました。

 イランのミサイル開発は、核合意をめぐる協議でも「自衛のためで、外国からの干渉は許さない」と主張し開発を続けていた経緯があります。

 これに対してアメリカは、大陸間弾道ミサイルの開発につながりかねないとして、イランに対して追加の制裁を科してきました。

◇中東に展開するアメリカ軍
 アメリカ軍は中東のバーレーンやカタール、クウェートなどに拠点を構え、陸海空海兵隊の部隊を展開させています。

 アメリカ海軍は中東地域を管轄する第5艦隊の拠点をバーレーンのマナマに置き、ペルシャ湾などに艦艇部隊を派遣していて、先月下旬からは原子力空母「ハリー・トルーマン」を中心とする空母打撃群がアラビア海の北部に展開しています。

 空軍はカタールのドーハ近郊のウデイド空軍基地に前線本部を構えていて、去年5月には「イランによる攻撃の兆候が強まった」として、B52爆撃機の部隊の中東地域への派遣を発表しました。

 また、アメリカ軍はクウェートにも拠点を築いていて、アリ・アル・サレム空軍基地などに部隊を配置しています。

 そして、イラクでは

▽首都バグダッド北方のバラド空軍基地

▽北部のキルクーク近郊のK1空軍基地

▽北西部のカイヤラ空軍基地

▽西部のアサド空軍基地などに

合わせておよそ5200人の兵士を展開させています。

 さらに、去年7月以降はイランの脅威に対応するためとして、サウジアラビアに迎撃ミサイル「パトリオット」を運用する部隊を派遣し、10月には2つの戦闘機部隊と迎撃ミサイルシステム「THAAD」を運用する部隊などを追加で配置して、展開兵力を3000人規模に増強しています。

 また、アメリカ軍は過激派組織IS(イスラミックステート)の掃討作戦を受けて、トルコ南部のインジルリク空軍基地やヨルダン北部のアズラックにある空軍基地をシリアなどでの空爆作戦の拠点として使っています。

◇アサド空軍基地、アルビルの基地とは
 アサド空軍基地は、イラク西部、アンバール県の中心都市ラマディの西にあり、主にアメリカ空軍が使用しています。

 フセイン政権時代からイラクの空軍基地として使われ、2003年のイラク戦争以降はアメリカ軍が接収して使っていました。

 その後、アメリカ軍主導の有志連合が過激派組織IS(イスラミックステート)の掃討作戦の拠点としていました。

 トランプ大統領はおととし、イラクを電撃訪問した際にこの基地を視察していて、「シリアで何かをしたい場合、ここを拠点にすることができる」と述べ、必要であればイラクに駐留するアメリカ軍がシリアでの作戦に参加できると強調していました。

 一方、イラク北部のクルド人自治区の中心都市アルビル近郊にはアメリカ軍が駐留する空軍基地があり、アメリカのメディアはこの基地もイランの攻撃の標的となったとしています。

 この基地は、アメリカ軍の特殊作戦の拠点としての機能を果たしてきたといわれ、去年10月にアメリカ軍の特殊部隊が、シリアで過激派組織IS(イスラミックステート)のリーダー、バグダディ容疑者を殺害した際にも、この基地が使用されたということです。

◇イラク軍 軍の死傷者なしと発表
 イラク軍は8日、イランから受けた攻撃について発表し、合わせて22発のミサイルが撃ち込まれたものの、イラク軍に死者は出なかったとしています。

 発表によりますと、22発のミサイルのうち、17発はイラク西部のアサド空軍基地を狙ったもので、このうち2つは不発だったとしています。

 また、ほかの5発はイラク北部のアルビルにある基地を狙ったものだったとしています。
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