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ゴーン被告 出国か “レバノン到着”報道 保釈条件は渡航禁止
 金融商品取引法違反などの罪に問われ、ことし4月に保釈された日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン被告が、海外への渡航を禁じられているにも関わらず日本を出国して、中東のレバノンに到着したと欧米の複数のメディアが伝えました。レバノンの治安当局者はNHKの取材に対して、ゴーン被告とみられる人物が別の名前を使ってレバノンに入国したことを明らかにしました。

 日産自動車のカルロス・ゴーン被告は、みずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪と日産の資金を不正に支出させるなどした特別背任の罪で起訴され、ことし4月に保釈されました。

 東京地方裁判所が、保釈の際に示した条件では、海外への渡航は禁止されています。欧米などの複数のメディアは、日本時間の31日午前6時半過ぎにゴーン元会長がレバノンの首都ベイルートに到着したと一斉に伝えました。

 これについてレバノンの治安当局者はNHKの取材に対して、ゴーン被告と見られる人物がプライベートジェットを利用してベイルートに到着し入国する際の手続きについては、「彼は別の名前で入国した。カルロス・ゴーンという名前ではなかった」と話しています。

 また、フランスの経済紙レゼコーは、「ゴーン元会長はトルコを経由して30日夜にレバノンの首都に到着した」と報じるなど、各国のメディアが大きく伝えています。

◇東京地裁「保釈条件は変更していない」
 これについて東京地方裁判所は31日、ゴーン元会長の海外への渡航を禁じた保釈条件は変更していないと明らかにしたうえで、実際に出国したのかどうかゴーン元会長の弁護団や検察に連絡を取るなど確認を進めるとしています。

 また、保釈を取り消すかどうかや今後の裁判の進め方などについては現時点で未定だとしています。

◇弁護団「何も知らない」
 ゴーン元会長の弁護団の1人はNHKの取材に対し、「何も知らない。これから確認する」と述べました。

◇政府関係者「レバノン政府に協力要請も」
 政府関係者は、31日午前、NHKの取材に対し、「ゴーン被告の出国が事実であれば、日本国内の司法手続きが適正に進むよう、外交ルートを通じて、レバノン政府に協力を要請することもあり得る」と述べました。

◇検察幹部「把握していない」
 複数の検察幹部はNHKの取材に対し「把握していない。事実関係を確認している」と話しています。

◇法務省幹部「確認中」
 複数の法務省幹部は、NHKの取材に対し、「現在、確認している」と話しています。

外務省幹部「把握していない」
 外務省幹部は、31日午前、NHKの取材に対し、「把握していない。本来、出国してはいけない状況であり、われわれが事前に知っていたら、法執行機関に通報するべき話だ。この件が、もし事実だとすれば、両国の法務当局どうしのやり取りになる」と話しています。

◇別の外務省幹部「保釈中の逃亡にあたるのではないか」
 別の外務省幹部は、31日午前、NHKの取材に対し、「ゴーン被告の出国が事実であれば、保釈中の逃亡にあたるのではないか。その場合、レバノン政府に対して、ゴーン被告の身柄がどうなっているのか、外交ルートを通じて確認するなど、詳細な情報収集を進めることになる」と述べました。

◇日産幹部「驚いた」
 日産の幹部の1人は、「報道で初めて知り、驚いている。ゴーン元会長はすでに日産のすべての役職を外れているのでわれわれは新体制のもとで、経営改革に向けてやるべきことをやるだけだ」と話しています。

 日産は、今月1日に内田誠新社長を中心とする新たな経営体制を発足させていて、ゴーン元会長に対しては、過去の不正をめぐる損害賠償請求を検討しています。

◎【声明全文】ゴーン被告「私はレバノンにいる」渡航禁止も出国
 金融商品取引法違反などの罪に問われ、ことし4月に保釈された日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が「私はいまレバノンにいる」とする声明を発表し、海外への渡航を禁じられているにもかかわらずすでに日本を出国したことを明らかにしました。

 日産自動車のカルロス・ゴーン被告は、みずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪と日産の資金を不正に支出させるなどした特別背任の罪で起訴され、ことし4月に保釈されました。

 東京地方裁判所が保釈の際に示した条件では、海外への渡航は禁止されています。

 しかし、ゴーン元会長は日本時間の31日正午すぎ、アメリカの広報担当者を通じて声明を発表し、この中で、「私はいまレバノンにいます。もはや私は有罪が前提とされ、差別がまん延し、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなります」と述べ、すでに日本を出国したことを明らかにするとともに日本の司法制度を批判しました。

 そして、「私は不公正と政治的迫害から逃れました。ようやくメディアと自由にコミュニケーションできるようになりました。来週から始めるのを楽しみにしています」と述べ、近くメディアなどへの何らかの対応を行うことを示唆しました。

 ゴーン元会長のレバノンへの入国に関連してレバノンの治安当局者はNHKの取材に対して、ゴーン元会長と見られる人物がプライベートジェットを利用してベイルートに到着し入国する際の手続きについては「彼は別の名前で入国した。カルロス・ゴーンという名前ではなかった」と話しています。

◇ゴーン被告 声明全文
 カルロス・ゴーンからの声明。

私はいまレバノンにいます。

もはや私は有罪が前提とされ、差別がまん延し、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなります。

日本の司法制度は、国際法や条約のもとで守らなくてはいけない法的な義務を目に余るほど無視しています。

私は正義から逃げたわけではありません。

不公正と政治的迫害から逃れたのです。

いま私はようやくメディアと自由にコミュニケーションできるようになりました。

来週から始めるのを楽しみにしています。

◇ゴーン被告とレバノン
 レバノンは、ゴーン元会長の祖父の出身国です。

 ゴーン元会長はブラジルで生まれ幼少期を過ごしましたが、6歳の時にレバノンに移住し、レバノンの高校を卒業しました。

 ゴーン元会長はフランス、ブラジルのほかにレバノンの国籍も持っています。

 日産の会長になってからもたびたびレバノンを訪れ、社会奉仕活動に寄付をするなど強い結び付きを保ってきました。東京拘置所に勾留されていた際にはレバノンの大使館の関係者がたびたび面会に訪れました。

 こうしたことから、レバノンでは、ゴーン元会長はビジネスで大きな成功を収めた人物として尊敬を集めていて、日本の検察に逮捕された際にも、レバノンの人々からは「何かの間違いだ」などとゴーン元会長を擁護する声が多く聞かれました。

 また、「私たちは皆、カルロス・ゴーンだ」というスローガンとともに、ゴーン元会長への支援を訴えるキャンペーンも行われています。

 さらに、レバノン政府としても去年11月には、レバノンの外相が、ベイルートに駐在する日本の大使を外務省に呼び出し、逮捕について説明を求めたり、政府から弁護士を派遣する考えを示したりするなど、ゴーン元会長を支援する立場を取っています。

 関係者によりますと、ゴーン元会長が中東のオマーンの販売代理店に日産の資金を支出させ私的に流用したとされる事件では、みずからに資金を還流させる際に使ったとみられるペーパーカンパニーの設立に前会長と親しく同じ学校の出身だったレバノン人の弁護士が関わっていました。

 また、日産が投資の名目でおよそ60億円を出資したオランダの子会社を通じて前会長のレバノンの高級住宅が購入されていたことも日産の内部調査などで明らかになっています。

 このほか、ゴーン元会長がレバノンの3つの大学に対してゴーン前会長の指示で正式の社内手続きを経ずに寄付を行っていた疑いも明らかになり、このうち、1つの大学には5年間で合わせて100万ドル=1億800万円を寄付していたということです。

 ゴーン前会長は去年11月19日、レバノンから到着したジェット機を降りた直後に羽田空港で逮捕されていました。
| 事件・事故 | 14:15 | comments(0) | - |