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「足のつり」治療法と予防法
◎「足のつり」はどうやったら治る? 医師、鍼灸師に話を聞いた!
 (2019年12月29日 17:00 AERA dot)

 睡眠中に足がつり、その痛みで目が覚めてしまった、という経験はないだろうか。寒い時期に、中高年に多く見られる症状だ。たかが「こむら返り」(筋けいれん)と侮ってはいけない。悪化すると湿疹や潰瘍(かいよう)が生じる病の初期症状かもしれない。治療法と誰にでもできる予防法を紹介する。

*  *  *

 まずは北青山Dクリニック(東京都渋谷区)院長の阿保義久さんに話を聞こう。足の痛みやむくみなど足のお悩み解決の専門家だ。

 「毎晩毎晩、足がつって非常につらいという症状を訴えた方が、手術をしたその日から症状が消えました」

 阿保さんは、国内で初めて下肢静脈瘤(りゅう)の日帰り根治手術を発案したパイオニアだ。

 下肢静脈瘤とは、足の静脈がこぶのように膨らんでくる病気。足に血液がよどんでたまることから、だるさ、重さ、ほてり、むくみ、かゆみ、痛みだけでなく、足に潰瘍ができることもある。阿保さんによると、軽症例も含めれば10人に1人の割合でいるという。

 「毎日のように足がつる人はまず、下肢静脈瘤を疑ったほうが良いでしょう。こむら返りは、下肢静脈瘤の初期症状なのです。下肢静脈瘤を伴ってこむら返りを訴えてきた患者さんの8〜9割以上が、手術で完全に症状がなくなります」

 手術は最新のレーザー機器で行い、メスも使わず30分で終わる。治療後はすぐに帰宅できる。

 「こんなに楽になるのだったらもっと早くやっておけばよかった、と皆さんおっしゃるほどです」

 足がつる原因は、いろいろだという。

 「脱水や筋疲労など、非日常的な原因で起きることは多くあります。カルシウムやマグネシウムなど電解質のバランスが崩れることで筋肉の過収縮が起きれば、こむら返りになります。また、薬剤が原因のこともあります。薬を変えて数週間経ってから頻繁に起きるようなら医師に相談を。ほかにも糖尿病などが原因のこともあります。こむら返りは、筋肉の収縮時に働く『腱紡錘(ぼうすい)』の機能が落ちることで起きると考えられています」

 医療機関では、「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が処方されることもある。急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛を緩和する漢方薬だ。神経の栄養で重要なビタミンB群、電解質の調節作用がある。鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長の鳥居明さんはこう話す。

 「肩こりの治療薬としても知られる『リンラキサー』という処方薬もありますが、脱力が生じることもありますので、ご高齢の方には、漢方薬のほうが安心です」

 かかりつけ医がいれば、相談してみよう。

 予防法はあるのだろうか。前出の阿保さんは言う。

 「歩くこと。そしてストレッチなどで、筋肉の収縮と弛緩(しかん)を日常的に心掛けることです。そうすることで、腱紡錘に関わる筋肉の状態が整い、こむら返りの頻度が減るでしょう」

 就寝時の足のつりを防ぐには、就寝前と就寝中に血流が良くなるよう意識することが何よりも大事なようだ。具体的にはどうすべきか。

 「就寝時には、ふくらはぎが(敷布団に)接しないように足枕を入れたり、掛け布団を軽くしたりすること。ふくらはぎの接地面が圧迫されると、血流が遮断されるからです。就寝前には、ふくらはぎ伸ばしです。しっかり伸ばすためには、ひざを曲げて、かかとをつけるようにして伸ばすといいでしょう。就寝中に寝返りを打つのもいいです」

 東京医療専門学校(東京都新宿区)の鍼灸(しんきゅう)師、船水隆広さんは、「冷え対策」もポイントに挙げる。

 「足のつりは、秋から冬にかけて多くなります。原因はいろいろありますが、冷えによる血行不良のことが多いのです。ですから、今から冷えない体にすることが大切なのです。眠る前に布団を温めておき、夜10時に眠るなら、8時とか9時ぐらいになったら、ふくらはぎ、足の裏、向こうずね(弁慶の泣きどころ)を軽くさするのもお勧めです」

 中でも、すねの骨の上やふくらはぎの内側をよくさするのがいいという。圧は強くかけず、軽くやるので十分。眠る1、2時間ほど前の入浴も効果的だ。入浴できない日は足湯でもいいだろう。

 船水さんは、お灸も勧める。最近は薬局でも普通に手に入る。

 「足の裏にあてれば、血行促進になり、東洋医学でいうところの『腎』が高まります。お灸が無理なら、ぬらしたタオルを電子レンジなどで温めて蒸しタオルを作り、それで足の裏を包むだけでも良いです。蒸しタオルでふくらはぎも包んで、タオルの上から軽く押してください」

 「手足ぶらぶら体操」も予防に役立つようだ。介護予防体操としても有効な、あおむけで手と足をぶらぶらと動かす運動で、全身の血行を促進させる効果がある。布団に入ったら、この体操をしてみよう。

 「(足つりの予防のためには)睡眠1時間ほど前の水分補給もいいですが、夜間頻尿が心配な人もいると思います。まずは体を温めるほうを優先させましょう」

 前出の鳥居さんも、冷え対策として、部屋を暖めたり入浴したりするなどして血液の流れを良くすることを推奨する。そのほか、こうも語る。

 「血中にカリウムが不足する『低カリウム血症』で足がつることもあります。そういう方の場合は生の果物を積極的に。バナナなどはいいですね。マラソン時にバナナを食べるのも、カロリー補給だけでなく、足のつり予防のためというのもあるのだと思います」

 腎臓が悪い人は逆にカリウムを多く取ることは良くないため、血液検査をして血中のカリウム濃度を調べてからのほうがよさそうだ。

 また、前出の船水さんは酸味のある食べ物も効果的だと言う。

 「もずく酢とか、グレープフルーツとか、酸っぱいものを食べると、『肝』(肝臓とその周りに関連する組織、器官)を強めます。『肝』は筋と関係があるので、筋肉も引き締まります。いつ食べてもいいですが、3食のうちのどれかの食卓に並べてみましょう」

 それでも足がつったときの注意点を、船水さんに聞いてみた。

 「慌てず落ち着いて呼吸しながら、ふくらはぎを両手で包むようにして温めて、足の親指を手でつかみ、そり返すようにゆっくり伸ばしましょう」

 足つり予防法は、健康法そのものだ。今晩から血行促進を心がけ、安心して布団に入ろう。(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日  2020年1月3‐10日合併号
| 福祉・医療と教育 | 09:30 | comments(0) | - |