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修学旅行が高額化、親子葛藤
◎修学旅行が高すぎる…30万超もザラ、葛藤する親と子
 (2019年11月28日 11:30 AERA dot.)

 高校生活を締めくくる修学旅行が高額化している。海外に行った場合、1人あたりの平均額は公立校が約14万円、私立校で約25万円。経済的な事情で参加できない生徒も少なくない。AERA 2019年12月2日号から。

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 大分県の会社員男性(46)の長男(16)は、県立高校の1年生だ。今年6月、長男が持ち帰ったアンケートを見て、男性は言葉を失った。修学旅行の行き先の希望をとるものだった。

 「オーストラリアとベトナムが候補で、値段にびっくりでした。どちらに行っても、20年前に妻とマレーシアに行った2人分の新婚旅行代と同じくらいです」

 オーストラリアは23万円、ベトナムは18万円、国内を含めて希望地を申請できる「その他」を入れて3択だった。オーストラリアとベトナムが拮抗したため、後日、あらためて2択のアンケートがあり、8月になってベトナムに決まった。

 高校は地元では名の知れた進学校で、最近は修学旅行で海外に行くことを特色の一つにしている。

 男性は6月以降、3度にわたり学校側と話し合いの場を持ち、「10万円程度の行き先を選択肢に入れてほしい」と訴えたが、聞き入れられることはなかった。男性は、長男を旅行に参加させられない場合、高校で自習させることまで想定した。

 「家庭の経済状況を伝えることは恥ずかしいと感じましたが、今後の家計を考えると余裕があるとも思えないので、意見せざるを得ませんでした」

 結局、長男を旅行に参加させるため、月々の積み立てを始めた。だが、心のモヤモヤは晴れない。この金額でなければだめなのか、ほかに悩む保護者はいなかったのか。

 修学旅行の高額化が進んでいる。全国修学旅行研究協会(東京)は毎年、主に全国の自治体を通じて高校の海外修学旅行の状況調査を行っている。

 2017年度は、公立私立合わせ全国で895校が実施、15万6千人以上の高校生が海外修学旅行に出た。

 1人あたりの平均額は公立校で14万3872円、私立校で25万4414円。高額なケースでは、公立でアメリカ38万7千円、オーストラリア31万4090円、私立でハワイ120万円、イギリスやイタリアで69万8千円という例もある。

 一方、子どもの貧困率は13.9%(2015年)で7人に1人が貧困状態にあり、ひとり親世帯の貧困率は50.8%に上る。経済的な事情で修学旅行に参加できないケースは決して少なくない。

 中学卒業後、大阪府の定時制高校に進学した飲食店従業員の女性(23)も、修学旅行に参加できなかった一人だ。3人きょうだいの末っ子。母子家庭で、母親は病気がち。生活保護でなんとか生活が成り立っていた。修学旅行の行き先は北海道で7万円ほど。月々数千円の積立金は、払えたり払えなかったりだったから、母親はなんとか行かせようとしていたはずだ。

 「行きたい気持ちはありましたが、母はしんどいやろなと思って、私から『もういいよ』と言いました。無理して払っても、旅先で遊ぶお金のことも考えると私も気持ちがしんどかったので、行かないことにしました」

 日本修学旅行協会(東京)も毎年、修学旅行に関する抽出調査を実施している。

 2017年度の高校の調査では、全国の国公私立から3048校にアンケートし、1078校が回答。うち、修学旅行を実施していたのは1042校で、国内が917校、海外は125校。実施しない高校も36校あった。

 国内で修学旅行を行った高校917校のうち、77.3%にあたる709校に不参加の生徒がいた。内訳は、健康上の理由が24.1%、部活や試合への参加は21.7%、経済的な事情は20.4%に上った。

 経済格差が、修学旅行の行き先に表れる例もある。神奈川県立高校の男性教諭(60)は、かつて勤務していた高校で、参加できない生徒が毎年数人はいたのを記憶している。いくつかの行き先から生徒が選んで旅行するスタイルで、ある年の行き先はグアムと沖縄、群馬県の水上温泉。群馬県は、家庭に経済的な事情のある生徒に配慮した行き先だった。旅費は5万円足らずだ。

 それでも、母子家庭のある女子生徒は母親が旅費を支払えずに参加できなかった。教諭は旅行の1カ月前まで母親と連絡を取り、参加への道を探った。自分が立て替える提案をしようとしたが、校長に止められた。返ってこなかった場合に誰も責任をとることができない、というのが理由だ。

 「旅行中、彼女はずっと学校で自習でした。しばらくしょんぼりした様子が続きました」

 (編集部・小田健司)

 ※AERA 2019年12月2日号より抜粋
| 福祉・医療と教育 | 14:32 | comments(0) | trackbacks(0) |









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