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「肩書に執着する50代男」残酷な現実
 地位や肩書をモチベーションに働いてきた50代に待ち受ける残酷な現実とは?人生の1周目に大きな意味を持っていたこれらのことが、2周目から変わっていくということがポイントです。

◎「肩書に執着する50男」ほど心が折れやすい理由 誰もが直面する「人生の2周目」の残酷な現実
 (2019/11/24 07:50 東洋経済オンライン 齋藤 孝)

 多くのビジネスマンは、地位や役職、収入が仕事をするうえでの「モチベーション」になっています。

 ですが50歳を過ぎてからも、それらを維持することはとても困難です。人はなぜ地位を求めるのか? そうした生き方を続けた先には何があるのか? 明治大学教授の齋藤孝氏が解説します。

 人生の1周目のモチベーションは何だったでしょう? 50歳までの人生を生きるエネルギー源は何か? 1つは社会的な地位や肩書があります。会社で出世して課長や部長になり、さらに役員まで目指す。それがモチベーションになる。あるいはお金というものもあるでしょう。地位や役職が上がるにしたがって収入がアップする。それが大きなモチベーションになります。

 会社での肩書だけでなく、周囲の人に認められたいという承認欲求も大きい。他者から賞賛され評価されるということは、人間が社会的な動物であるがゆえに非常に大きな意味と価値を持ちます。家族も大きなモチベーションになります。結婚して子どもができ、家族を養い育てることも人生のエネルギーになる。

 いずれにしても、1周目に大きな意味を持っていたこれらのことが、2周目から変わっていくということがポイントです。1周目にモチベーションとなっていたものが一つひとつ失われたり、変質したりしていく。

◇50代で「シフトチェンジ」しなければ…
 地位や役職、お金、周囲の評価、家族……これらのことが変わっていくのが50代です。その変化を敏感に察知し、柔軟に対応できるかどうか? 状況の変化を受け入れ、自分自身のモチベーションをどこに置くか。 

 人生のシフトチェンジを迫られるのが50代だと思います。これまでトップギアで加速していた生き方を、シフトダウンし、ゆっくりながら力強く進んでいかねばなりません。

 ところがなかなかこれがうまくできない人がいます。するとモチベーションを失ったまま、自分の存在意義を見失ってしまう。いわゆるアイデンティティー・クライシスが起きがちです。それがひどくなると、うつ病などのメンタルの病に至ってしまう。

 人生1周目の原動力となっていたモチベーションやアイデンティティーを見失わないために、まず、地位や肩書に依存しそれに固執することからシフトチェンジしましょう。

 50代以降、職場環境は大きく変わります。役職定年になって役職から離れたり、再雇用となると、責任ある仕事から外されます。かつては組織のリーダーとしてスタッフを動かしていた立場から、書類作りなどの単純作業に回されると、プライドを傷つけられ目標を持てなくなり、モチベーションを失ってしまいがちです。

 個人としては酷な話ですが、組織としては致し方ない部分があります。ずっと同じ人物が課長なり部長なりで頑張っていては、次の世代が活躍する場所がありません。今の時代、役職定年や再雇用を迎えられるならいいほうかもしれません。会社が倒産したり、リストラされてしまえば、それこそ肩書どころか行き場所も、稼ぎ場所も失ってしまいます。

 地位や役職は50歳以降は一気に色あせるか、消えてしまう。それが2周目の現実です。ここで変化を受け入れられず、「どうしてこんな目に遭わないといけないんだ!」と被害者意識にとらわれてしまうと、思考が固まりどんどん悪いほうに流れてしまいます。

 若い頃からずっと頑張ってきた自分、それなりに成果を上げ評価されてきた自分もいるでしょう。しかし、それは人生の1周目での出来事。過去にとらわれることなく、2周目に入った新しい人生の現実を受け入れ、新しい価値観と基準を自分の中で作らねばなりません。

◇男性ほど地位や肩書に溺れやすい
 ビジネスパーソンである限り、一握りのエリートは別にして、ほとんどの人が50代でこの潮目の変化にさらされるのです。自分ばかりが不条理な思いをしていると考えるのではなく、皆同じ境遇の中で人生の2周目の目標やモチベーション、アイデンティティーを模索していると考えましょう。

 一般的には、男性に比べて、女性は社会的な地位や肩書にそれほどこだわりません。キャリアのある女性は、それほど地位や肩書に依存している感じがしない。男性のほうが組織のポジション、肩書や地位にこだわる傾向が強いのです。

 私は社会人相手の市民大学などでも講義をしていましたが、受講生が自己紹介などをする際、職場での自分の肩書や経歴を、とうとうと話す男性に遭遇します。そんなとき、ほかの女性受講生たちがどんどん「引いて」いくのが手に取るようにわかります。「そういう話はしないほうがいいんだけどなぁ」と思ってしまいます。

 一般に男性は2周目で肩書を外され、ラインから外れたときのショックが大きい。女性は比較的立ち直りやすい。ですから男性はとくに50歳少し前、40代後半から、会社などの属している組織での肩書やポジションがなくなったときのことをシミュレーションしておくことをお勧めします。

 会社の仕事は、続けたくてもやがて限界が来る。そこからの自分をどう方向づけ、マネジメントしていくか? 今の会社で専門職として身に付けたスキルを活かして、転職あるいは独立するのか? それとも本業に差し障りのない範囲で副業を始め、定年後はそちらにシフトするのか? 

 インターネットが発達した今の社会では、思わぬものが仕事に変わる可能性があります。趣味で始めたものが仕事になり、2周目の収入源になったりすることだってあるでしょう。

 そして50歳になったら具体的に準備を始めるのが理想です。その準備がないまま配置転換やリストラなど急な組織内の環境が変化すると、自分のモチベーションとアイデンティティーが保てなくなる。「アイデンティティー・クライシス」という、歓迎すべからざる客がやってきます。

◇「自分の存在を認めてほしい」
 実は地位や肩書はもちろんですが、お金にしても評判や名声にしても、あるいは家族との関係にしても、その背後に共通する欲求が「承認欲求」です。人間は社会的な動物ですから周囲の評価や評判、名声や名誉を求めます。

 会社の中で、能力があり必要な人材だと思われたい。お金を持っていて裕福に暮らしていると周囲から思われたい。家族の中でかけがえのない存在であり愛される存在でいたい……。

 結局は誰かから自分の存在を認めてほしい、重要で大切な存在だと思われたいという気持ちが、これらのモチベーションの根源にあるのです。

 ちなみに心理学者のアブラハム・マズローが提唱した有名な「欲求の5段階説」によると、この「承認欲求」は人間にとって重要な欲求であるとされています。彼は、人間の欲求は低次の段階から高次の段階まで5段階あります。

 崟限犬陵澣瓠廖疇以として命を保ち、生存したいという欲求

◆岼汰瓦陵澣瓠廖甦躙韻なく、安全に、安心して生活したいという欲求

「愛と所属の欲求」=集団に属したり、パートナーや仲間を求める欲求

ぁ崗鞠欲求」=他者から評価されたい、褒められ認められたいという欲求

ァ崋己実現欲求」=あるべき自分になりたい、成長したいという欲求

 ,らイ泙任修譴召譟△修涼奮をクリアしないと次に進めないとしています。つまり、命の危険がある△砲い訝奮では、趣味のサークルに入りたいとか友達が欲しいといったの欲求は出てこないということです。

 ちなみに「承認欲求」は細かく分けると「他者承認欲求」と「自己承認欲求」に分かれていて、マズローの言う「承認欲求」は「他者承認欲求」と考えてよいでしょう。

 「他者承認欲求」とはその字のごとく、他人からの承認ということ。「自己承認欲求」は自分で自分のことを認めることです。職場でもプライベートでも、私たちが社会生活の中で求めている承認欲求は、ほぼ「他者承認欲求」であると考えてよいと思います。

◇「名誉」を求めるのは人間の性
 いずれにしても、承認欲求は人間にとって非常に重要で強い欲求です。例えば名誉職という言葉があります。実質の地位や肩書ではなく、名誉職だからいくら報酬をもらえるというものではありませんが、一種のステータス、権威があります。

 長嶋茂雄さんはジャイアンツの終身名誉監督という称号を得ています。長嶋さんくらいになればそんな称号など必要ないほどすでに国民的スターですが……。

 印象深かったのは、ある大学の先生がお辞めになるときに、「やっぱり『名誉教授』でも、ないよりはあるほうがいい」と本音を漏らしていたことです。

 やはり、人間はいくつになっても名誉が欲しい動物なのです。名誉教授になったからといって、それが即収入につながるものではありません。お金よりも時には名誉、他者からの評価が価値を持つことがあるのです。
| 雑感 | 23:07 | comments(0) | trackbacks(0) |









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