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無断キャンセルのしわ寄せは
◎飲食店の無断キャンセル客、被害額2000億円。弁護士が料金回収する方法とは
 (2019年10月25日 16:32 日刊SPA!)

 飲食業界にとって、最大の敵ともいわれる無断キャンセル。被害額は年間2000億円ともいわれる巨大な敵に立ち向かう秘策とは……

◆ドタキャン客を撲滅する方法
 全国各地の飲食店が賑わう週末、ほろ酔いの人々の笑顔とは対照的な悲鳴が、SNS上を駆け抜ける。

 「助けてください…本日18時半からの団体29名様が連絡ないままキャンセルとなってしまいました…もうコース料理も全部ご用意している状態でこのままだと…お料理のみコース、2000円で飲み放題付き3000円でお立ち寄りいただける方いらっしゃいませんでしょうか…」

 ドタキャン被害に遭った店主の叫びは、もはや日常の光景と言っていい。

 だが、そんな彼らもやられっぱなしではない。「無断キャンセル対策推進協議会」が設立され、本腰を入れているのだ。同協議会の理事長であり、飲食店経営の支援サービスを運営する「トレタ」社長の中村仁氏に聞いた。

 「まず、混同されがちですが、ドタキャンと無断キャンセルは、大違いです。ドタキャンは、たとえ1分前でも、『今日は行けない』という意思表示があるので、飲食店はその時点で予約席を他のお客に開放できます。一方で無断キャンセルの場合は、予約時間を過ぎても、来るかどうかわからないお客を待たなければなりません。お店の経営的にも現場スタッフの精神的にも、ダメージは甚大です」

 近年、無断キャンセルは、No show(ノーショー)とも呼ばれる。「No showは社会悪だ」と断じる中村氏が委員を務める経産省No show対策の勉強会では、被害額を年間2000億円と試算しており、経産省も大きな経済損失を招く社会問題と認識している。長らく飲食店経営に携わった経験のある中村氏は、当時自分が厨房で味わった悔しさをバネに、その撲滅に挑んでいるという。

◆無断キャンセルのしわ寄せは一般客に
 ただ、中村氏の分析によれば、悪意のNo showは少なく、「うっかり」によるものが大半だという。すなわちNo showを減らすには、予約情報をしっかり確認してもらうことが重要になる。

 「WEB予約が増えているとはいえ、今でも80%は電話予約です。電話だと時間や人数などの伝達ミスが起こりますし、キャンセル料の扱いなどについてお客に伝えづらいですよね。そこで、予約の日時と人数、キャンセル料について明示したショートメッセージをお客のスマホに送り、文面で確認してもらう『トレテル』というサービスを無料で提供しています」

 こうした予約の入り口での対策に加えて、同社では不測の事態への備えにも抜かりがない。

 「やむを得ない事情は誰にでもありますので、通常のキャンセルは仕方ありません。そこで万が一、急に空席ができたときの集客に使える新サービス『トレタ now』を始めました。お客の側も、『二次会行く? 誰か空いてる店知らない?』という状況はよくありますよね。その両者をつなげる、超直前予約サービスというわけです」

 ここで大切なのは、No show撲滅は、われわれ消費者の利益にもなるという視点だろう。

 「No showのしわ寄せは大多数の善意のお客にも及んでいます。料金の上乗せであったり、予約が取れなくなったり。No showがなくなれば、飲食店の収益は守られ、従業員の賃金が上がる。そしてお客もよりいいおもてなしを受けられるようになるでしょう」

 2000億円が社会に還元されれば、増税後に冷え込む消費の下支えになるかもしれない。

◆キャンセル料金を回収するサービス
 さらに飲食業界には、心強い援軍が出現している。今年7月、弁護士の北周士氏は、No show被害に遭った飲食店に代わって、弁護士が被害分を代行回収するサービス「ノーキャンドットコム」を立ち上げたのである。

 「このサービスへの会員登録は無料で、弁護士に依頼する際に通常だと必要になる着手金などが一切不要です。お店の被害分を回収できた場合に限って、その30%を手数料としていただく仕組みです。すでに着手した案件もあり、今のところ回収率は約40%です」

 つまりNo showに対してこれまでは泣き寝入りするしかなかった飲食店も、店舗情報、営業許可証、身分証のデータがあれば登録でき、極めて安価なコストで弁護士に損害の回収を依頼できるという仕組みだ。

 「もともと私は外食が趣味でして、家賃よりも多くのお金を飲食費に当てているほどです。飲食業界には大変お世話になっているので、自分が持っている資格で恩返しができたらと思い、このビジネスを始めました。現在までの会員店舗数は約50、依頼数も40件以上に達しています。No showが発生しやすい飲食店の傾向としては、客単価が3000〜5000円の比較的安いお店(居酒屋など)が中心になっています」

 もちろん、外食への愛を掲げるだけでなく、北氏はビジネスとしての展望もしっかり描く。このサービスはまさに“ブルーオーシャン”市場でもあり、前述のNo show損害額2000億円を抱える飲食業界全体のうち、仮に2割の飲食店が加入すれば損害額は400億円。その損害の回収率が40%なら160億円で、そこから30%の成功報酬を受け取れば48億円となる。

 いずれは二匹目のドジョウを狙った法曹関係者が続々と参入してきそうな気配だが、パイオニアの北氏は具体的にどのような形で回収代行を行うのだろうか。

 「まずはお店が予約時に聞いた客の電話番号に、SMSで『損害分をお支払いください』とメッセージを送ります。すると多くの人は、返信はないものの一応は払ってくれますが、なかには無視して払わない人も。その場合はお店が希望すれば、別途料金にて訴訟に発展させることもあります」

 店に知られているのは電話番号だけだとタカをくくっていては、痛い目に遭う。弁護士は電話番号から契約者情報を調べることが可能だからだ。一本のキャンセル電話でお互いに気持ちよくなれることを、胸に刻むべきなのだ。

【弁護士・北 周士氏】
 法律事務所ある支援パートナー。東京弁護士会所属。昨年、朝鮮学校への補助金交付に賛成したというデマが拡散され、多数のネトウヨから懲戒請求を受けたことで一躍有名に

<取材・文/村田孔明・岡田光雄・野中ツトム(清談社)>

―[ドタキャン客を撲滅する方法]―
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