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地球温暖化で食料供給不安定に IPCCが初の報告書
 世界各国の科学者で作る国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、地球温暖化によって食料供給が不安定になり、2050年には穀物価格が最大で23%上昇する可能性もあるなどとする報告書をまとめました。温室効果ガスの削減が遅れれば重大な影響を招くと警鐘を鳴らしています。

 IPCCは今月2日から7日にかけてスイスのジュネーブで総会を行い、日本を含む世界52か国の100人以上の科学者が参加して、地球温暖化が土地に与える影響などをまとめた初めての報告書を承認しました。

 この中で、陸上の平均気温は海面水温などを含む世界全体の平均気温よりも産業革命前に比べて2倍近く上昇していると指摘し、ほとんどの地域で熱波といった異常気象の頻度や強さ、期間が増したのは、温暖化の影響による可能性が非常に高いとしています。

 また、地中海や西アジア南米の多くの地域などで、干ばつの頻度や強さが増え、世界的な規模で豪雨の頻度が増えたことについても、温暖化の影響の可能性が高いと指摘しています。

 そして、異常気象によって食料供給が不安定になり人口が今世紀末に90億人に達するような場合、2050年には穀物価格が最大で23%上昇する可能性もあるとしています。

 温暖化による被害を抑えるためには、異常気象に対する早期の警戒システムを整備するなどの対策や暑さや乾燥に強い品種の活用などが欠かせないと指摘しています。

 そのうえで、報告書は温室効果ガスの削減が遅れれば、多くの国で経済的に重大な影響を招くと警鐘を鳴らしていて、各国で削減対策が十分に進まないなか改めて対策の強化を迫る内容となりました。

◇ヨーロッパを襲った猛暑
 ことしヨーロッパは6月と7月に記録的な熱波に襲われWMO(世界気象機関)はそれぞれ過去、最も暑い6月と7月になるという見通しを示しています。

 このうち7月についてはフランスの首都パリで25日、最高気温が42度6分に達し、1947年に記録した40度4分を超えて観測史上最高となりました。

 パリの中心部では多くの観光客が噴水に入って水遊びをする姿や日陰で暑さをしのぐ姿が見られました。

 同じ日にはドイツやベルギー、オランダでも40度を超えヨーロッパの5か国で観測史上、最も高い気温を記録しました。

 WMO(世界気象機関)は、「こうした厳しく広範囲にわたる熱波は地球温暖化の証しだ」と指摘しています。

◇対応迫られるフランスの農業
 世界でも有数の農業大国フランスは、ことし、熱波に加え、記録的な干ばつにも見舞われました。

 フランス中央部を流れる国内で最も長いロアール川では雨不足から水位が大幅に下がり完全に干上がる場所も出ています。

 この水不足の直撃を受けたのがロアール川沿いに広がるトウモロコシ畑です。

 乳牛や豚など家畜の飼料として広く栽培されていますが、葉が枯れたり、真っ白で栄養のない実に育ったりする被害が相次いでいます。

 西部のアンジェ近郊でトウモロコシを栽培するジョエル・リムザンさんはことしの収穫量が半分近くに減るとみていて、不安を感じています。

 リムザンさんは、「熱波の発生時期がどんどん早くなっている上に気温が急激に上昇して植物が対応しきれない」と話していました。

 また、異常な暑さは、乳牛などの家畜にも影響を与えています。

 乳牛は気温が高くなると体温の上昇を抑えるため呼吸の回数が増え食欲もなくなるなどして牛乳の生産量や質が下がるということです。

 西部のアンジェ近郊で酪農を営むドニ・マランジュさんは、120頭の乳牛を飼育していますが、熱波によって生産量が20%程度、減少したということです。

 マランジュさんは暑さ対策として牛舎に新たに水をまく設備を設置したということで、「40度を超えるといったことは経験したことがなかった。われわれにとっても牛にとっても厳しい暑さで適応していかないといけない」と話していました。

 また、マランジュさんは家畜の飼料としてトウモロコシを栽培していますが熱波の頻度が増えているとして3年前から一部の畑では少ない水でも育つアフリカ産の穀物「ソルガム」の栽培を飼料用に始めました。

 ソルガムは今回の熱波や干ばつの被害をまぬがれたということでマランジュさんは、「牛に与える飼料を変えていく必要がある」と話し栽培面積を増やすといった対策を検討しています。

◇専門家「農業生産が難しく」
 フランス各地で農業指導にあたる専門家で、地球温暖化の問題にも詳しいフレデリック・レブロ氏は、温暖化によるとみられる農業への影響はすでにさまざまな形で出ていると指摘します。

 レブロ氏によりますとフランスでは春や夏に年々、乾燥が強くなっていてことしは熱波と干ばつが重なったことで、トウモロコシなど家畜の飼料の栽培が厳しい状況になっているということです。

 また、熱波によって牛ややぎが体調を崩し、ミルクの生産量も減っているということです。

 こうした状況を受け、トウモロコシの代わりにアフリカ産の穀物などを試験的に栽培する農家が出始めていることについてレブロ氏は、「将来、さまざまな飼料を取り入れるようなことになればフランスの伝統的なチーズの味や質にも影響が出てくる」と懸念していました。

 また、レブロ氏は、「赤ワインは20年前に比べて2度近くアルコール度数があがっているのではないか」とも述べ、平均気温の上昇がワインにも影響を与えているのではないかと懸念を示していました。

 レブロ氏は現状では農業は変化に対応できるとしながらも、「21世紀末にはフランスの気候のもとで今のような農業生産を行うのが難しくなりかねない」と心配していて、温暖化の進行を防ぐため温室効果ガスの削減を進める必要があると強調していました。

◇チーズ店も温暖化懸念
 温暖化はフランスの伝統の食文化にも影響するのではという懸念も出ています。

 パリ中心部にある老舗のチーズ専門店によりますと、今回の熱波と干ばつによって牛乳などの生産量が減ることで秋にかけてチーズの品ぞろえに影響が出るおそれがあるといいます。

 専門店の店員は、「チーズの選択が限られ種類が減ることは間違いない。少なくともチーズ全体の量がこれまでないほど減りかねない」と話していました。

 そのうえで、取り引きのある小規模なチーズの生産者について、「気候が大きく変化するようなことになれば保管のしかたをはじめ新たな技術の導入が欠かせなくなる」として、伝統の食文化を守るためには温暖化への対応が必要になると話していました。
| 環境とまちづくり | 06:55 | comments(0) | trackbacks(0) |









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