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児童虐待 昨年度約16万件で過去最多更新
 子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は、昨年度、およそ16万件で、過去最多を更新したことが厚生労働省のまとめで分かりました。

 厚生労働省が全国の児童相談所の所長会議で公表したまとめによりますと、昨年度、18歳未満の子どもが親などの保護者から虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は15万9850件に上りました。

 虐待の対応件数は、統計を取り始めた平成2年度以降増え続けていて、今回も前の年度より2万6000件余り増えて過去最多を更新したほか、前の年度からの増え幅はこれまでで最も大きくなりました。

 増えた要因としては父親が母親に暴力を振るっているところなどを子どもが目撃する「面前DV」について警察からの通告が増えたことなどが挙げられています。

 虐待の内容別では最も多かったのは、▽暴言を吐いたり、子どもの目の前で家族に暴力を振るったりする「心理的虐待」が半数を占め8万8389件でした。

 次いで、▽殴るなどの暴行を加える「身体的虐待」が4万256件、▽子どもの面倒をみない「ネグレクト」が2万9474件、▽「性的虐待」が1731件となっています。

 厚生労働省は、「子どもが亡くなる深刻な虐待が相次いでいることを重く受け止め、児童相談所の体制強化など子どもの命を守る対策を進めていく」としています。

◇平成29年度に虐待で死亡した子どもは52人
 厚生労働省が、このほど公表した児童虐待による死亡事例の検証結果によりますと、平成29年度、親などから虐待を受けて死亡した子どもは、無理心中を除いて全国で52人で、前の年度より3人増えました。

 死亡時の年齢は、0歳がもっとも多く28人で、このうち半数の14人が、生まれて1か月未満でした。

 次いで、1歳が7人、3歳が4人、2歳が2人と、3歳以下がおよそ8割を占めています。

 検証の中では、「実母の抱える問題」を指摘していて、死亡事例のうち、母親による「遺棄」が19事例で36.5%を占めたほか、予期しないまたは、計画していない妊娠が16例で30.8%を占めています。

 また、この中には、東京 目黒区で当時5歳の船戸結愛ちゃんが両親から十分な食事を与えられず死亡した事件も含まれています。

◇約8%が48時間以内に子どもに会えず 面会拒否などで
 厚生労働省は、去年、東京 目黒区で、5歳の女の子が十分に食事を与えられずに死亡した事件で、児童相談所が虐待に関する通告を受けながら一度も女の子に面会できていなかったことを踏まえ、去年7月、全国の児童相談所に、通告を受けてから48時間以内に子どもの安全を確認するというルールを徹底するよう指示しています。

 しかし、ことしに入って札幌市で、2歳の女の子が衰弱死した事件では、そのルールが守られていなかったことから、厚生労働省は、児童相談所に改めてルールの徹底を指示するとともに、どのくらいルールが守られているか緊急の調査を行い、結果を公表しました。

 それによりますと、去年7月にルールの徹底を指示して以降、ことし6月までのおよそ10か月間に通告を受けた、延べ15万3000人余りのうち、13万9000人余り、率にして90.9%で、ルールを守って48時間以内の安全確認ができていた一方、1万1984人、およそ8%は、48時間以内の面会ができていなかったことが分かりました。

 その理由としては、自宅を訪問しても面会を拒否されたり、不在が続いたりしたケースがあるとみられるということです。

 また、ルールが守られなかったケースのうち、児童相談所が緊急性が高いと判断していたものは415人に上り、厚生労働省によりますと、いずれもその後、立ち入り調査などを行って安全を確認したということです。

◇一部業務を民間へ委託は3割
 全国児童相談所長会の調査によりますと、全国に228か所ある児童相談所のうち、おととし10月時点で、業務の一部を民間に委託していたのは76か所で、およそ3割に上りました。

 業務を委託した児童相談所の9割近くが、負担軽減につながっていると感じています。

 しかし、委託している業務は、ほとんどの児童相談所において里親の支援や相談などで、児童虐待の通告を受けた後の安全確認を委託しているのは、7か所にとどまっているということです。

 一方、民間委託をしていない児童相談所にその理由を複数回答で尋ねたところ、「適当な民間機関が見当たらない」が72%、「個人情報保護の観点から適切ではない」が38%、「民間機関に委託することには、専門性の点から不安がある」が29%などとなっています。

◇専門家「低リスクは民間委託が有効」
 全国児童相談所長会の児童相談所の民間委託に関する調査を担当した、明星大学人文学部福祉実践学科の川松亮常勤教授は、「虐待事件の報道で、社会の関心がますます高まり、警察との連携も進むなかで、対応件数の増加傾向は今後も続くだろう。特に増えているのが比較的軽度のケースの通告で、児童相談所は子どもの安全確認に追われて、重症度の高いケースに十分、丁寧に対応しにくくなっている。職員を増やそうにも、高度な専門性が必要なだけに、人材の確保や育成は難しく、これまでにない取り組みが必要だ」と指摘しています。

 そのうえで、「児童相談所が一手に担ってきた子どもの安全確認について、リスクの低いケースについては、民間機関への委託を進めていくことも有効だ。児童相談所の訪問に強い抵抗感がある保護者も多く、民間機関のほうが受け入れてもらいやすいメリットもある。ただ、民間機関に任せきりにはせず、どのケースを委託するか十分に精査したうえで、虐待の見逃しがないよう、児童相談所が責任を持つ体制を作らなければならない。また、安全確認を任せられる民間機関が見つからない自治体も多く、国も民間機関の養成に補助金を出すなどの支援をしていくべきだ」と話しています。

◇大阪府
 虐待の対応件数が増え続けるなか、比較的、リスクが低いケースを民間に委託することで、緊急性の高いケースに職員を集中させようという児童相談所もあります。

 大阪府は、4年前から3つのNPO法人に業務の一部を委託しています。

 NPOが担当するのは、「子どもの激しい泣き声が聞こえる」などといった近所の人からの通告や、子どもの目の前で親が家族に暴力を振るう「面前DV」についての警察からの通告など、比較的リスクが低いと考えられるもので、3人1組の5チームの体制で子どもの安全を確認します。

 委託先の1つ「関西こども文化協会」は、枚方市や寝屋川市など7つの市を担当しています。

 おとといは、警察から「面前DV」の通告があった家庭と、1か月ほど不登校で連絡が取れない子どもがいるという学校から連絡があった家庭について、職員が安全確認に出かけていました。

 大阪府によりますと、緊急性の低い通告は年々増えていて、平成29年度に府の児童相談所が対応した11306件のうち、虐待のリスクが「軽度」や「中度」と判断されたケースは合わせて1万292件で全体の9割を占めるということです。

 この日は、親に拒否されたり、自宅から反応がなかったりして、2件とも子どもと会えなかったため、後日、改めて訪問することを検討することになりました。

 チームのマネージャーを務めるNPOの50代の女性は、「今回は、残念ながらうまくいかなかったが、実際には訪問すると、頑張って子育てをするなかで、つい大声を出してどなってしまい、子どもが泣いただけという、虐待にまで至っていないケースが多い。ただ、孤立した子育てが続くと親もしんどくなって、虐待に発展する危険もあるので、安全確認をするだけでなく、子育ての相談窓口につなぐなど、保護者に寄り添った支援も行っている」と話していました。

 大阪府によりますと、委託の件数は年々、増えていて、昨年度は虐待相談全体の2割近くにあたる2279件に上ったということです。

 大阪府家庭支援課の金森充宏参事は、「軽度の通告の対応に追われることが減って、リスクが高い家庭の対応により腰を据えて取り組めるようになった。委託の件数は伸びてきているが、今後、より重度のケースも対象とするかどうかは、虐待を見落とすリスクもあるため、より慎重に検討していきたい」と話していました。

◇児相「急増で対応に苦慮人材育成が課題」
 神奈川県中央児童相談所では、昨年度の対応件数が1926件とこの10年でおよそ2倍になり、過去最多を更新しました。

 この児童相談所では急増している「面前DV」など警察からの通告に対応するため、専従のグループを作っているほか、今年度からは体制強化のため児童福祉司を6人増やして39人にしました。

 それでも児童福祉司の多くは担当する家庭への訪問のほか虐待の通告への緊急対応などで、日中、出ずっぱりになることが多いということです。

 こうした状況の中で通告を受けてから48時間以内に子どもの安全を確認するよう心がけているものの、訪問しても不在が続くなどして結果的に確認できないケースもあるということです。

 神奈川県中央児童相談所子ども支援課の大澤弘美課長は、「安全確認ができずに子どもが亡くなってしまう事件も実際にあったので、できるかぎり速やかに対応したいが、結果的に会うことができないケースもあるのが実態です。学校などの関係機関と連携して何らかの方法で安全確認をしたり、立ち入り調査の必要性を判断したりと、1件1件、丁寧に対応していきたい」と話していました。

 また、国が2022年度までに児童福祉司を2000人増やすとしていることを踏まえて、「今後、各地の児童相談所で新たな人材が必要となるため、人が集まるのかという問題があります。専門性やスキルを磨くための人材育成をしなければいけないが、現場ではなかなか対応しきれないため、大きな課題だと感じています」と指摘しました。
| 福祉・医療と教育 | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0) |









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