<< August 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 障害者雇用促進法の改正案 衆院を通過 | main | 昼食時間「15分」が9割 横浜市の中学校 >>
認知症の高齢者の割合 数値目標設け減らす 政府案
 認知症の人の増加が予測される中、政府は70代の認知症の人の割合を引き下げる初の数値目標を設けることになりました。認知症を発症する年齢を10年で1歳遅くするとしていて、今後、具体的な取り組みをどう進めていくかが課題となります。

 政府は4年前に認知症対策の計画「新オレンジプラン」をまとめていますが、対策をより強化させようと、来月をめどに具体的な施策を盛り込んだ「大綱」を新たにまとめることにしています。

 16日開かれた政府の有識者会議に示された「大綱」の案は、

▽認知症になるのを防ぐ「予防」と、

▽認知症になっても住み慣れた地域で暮らせる「共生」

の、2つを柱としています。

 このうち「予防」では、70代の認知症の人の割合を引き下げる初の数値目標を設ける方針で、認知症を発症する年齢を10年で1歳遅くするとしています。

 そのうえで、6年後の2025年までに、

▽70代前半で現在3.6%とされる認知症の人の割合を3.4%に引き下げ、

▽70代後半では現在の10.4%から9.8%に引き下げる、

ということです。

 この数値目標について、政府は、「6年間で相対的に6%低下させる」と表現していますが、有識者会議では「わかりにくい」として表現の見直しを求める意見が上がったということです。

 「予防」と「共生」に向けた施策については当事者や家族の意見を踏まえて進めるとしていて、高齢者が体操などに取り組む「通いの場」への参加率を引き上げることや、認知症の本人による活動を支援することなどを挙げています。

 厚生労働省によりますと、現在、65歳以上の7人に1人、およそ500万人が認知症とされていますが、2025年には5人に1人、およそ700万人に上ると推計され、今後、具体的な取り組みをどう進めていくかが課題となります。

◇体操と脳トレで認知症予防
 認知症「予防」の取り組みは各地で進められています。

 福岡県久山町は九州大学と協力して昭和36年から町民の健康診断を続け、生活習慣とさまざまな病気の関係について追跡調査しています。

 調査の結果、

▽高血圧や糖尿病など生活習慣病を抱えている人、

▽握力など筋力が弱い人、

▽たばこを吸う人、

▽自分は孤独だと感じている人、

などが認知症になりやすいことが分かりました。

 町はこれまでも、調査で得られたデータを基に病気を予防する対策を進めてきましたが、5年前の平成26年からは認知症予防の取り組みにも力を入れています。

 地域の公民館では65歳以上の人たちが参加できる通いの場が定期的に設けられ、多くの高齢者が交流しながら脳のトレーニングや体操などをして過ごします。

 14日、私たちが取材に訪れた公民館では78歳から94歳までの11人が参加して、脳によいとされる指遊びをしたり、思いついた野菜や山の名前を多く書き出すゲームなどに取り組んでいました。

 94歳の女性は、「長年畑仕事をしていましたが、今はここに来て皆で話をすることがいちばんの楽しみです。このような場があることがとても幸せです」と話していました。

 90歳の男性は、「今のところ物忘れをすることはあまりありません。ここに来て体操をしたり脳トレをしたりしているのが役立っているのだと思います」と話していました。

 久山町福祉課の稲永みき課長は、「外出しなくなって生活に張り合いがなくなると認知症になりやすいと言われているので、出かけるきっかけとなるような場を作ることを目指しています」と話していました。

◇「共生」認知症になっても働きたい
 認知症の人が暮らしやすい社会を作る「共生」の取り組みも始まっています。

 東京 町田市のデイサービス「DAYS BLG!」では、「認知症になっても働きたい」という当事者の声に応える取り組みを進めています。

 デイサービスには58歳から88歳までの22人が通っていて、ほとんどの人が認知症です。

 到着するとその日どんな活動に取り組むか本人が決めることになっています。

 この日、最も多い5人が参加したのは、近くの自動車販売店での洗車です。

 5年前から販売店の協力を得て行っています。

 店を訪れると慣れた手つきで準備を始め、店頭に並んでいる車にホースで水をかけ、30分ほどかけて1台1台丁寧に拭いていきます。

 販売店から毎月謝礼も支払われているということです。

 参加した男性は、「やりがいを持って働けるというのがいちばんよいことです。世の中でもっと広まればいいなと思います」と話していました。

 「ホンダカーズ東京中央町田東店」の小林栄作主任は、「認知症の方をどう受け入れたらよいのか最初はわかりませんでしたが、今では会社としてプラスになっています。働く場所があれば認知症の人も社会に関わっていけると思います」と話しています。

 デイサービスの前田隆行代表は、「最初に始めたことは認知症の人の声に真剣に耳を傾けたことです。今、認知症の人たちはいずれ認知症になるであろうわれわれの先を歩いてくれているのであって、こうした人たちの声を聞いて、認知症になっても暮らしやすいまちづくりを進めていくべきだと思います」と話していました。

◇専門家「予防は喫緊の課題」
 認知症に詳しい九州大学大学院の二宮利治教授は、「まだ特効薬がない認知症を予防することは患者や家族のためにも必要なことで、国の医療費を抑えるうえでも喫緊の課題だ。数値目標が入ったことは目標を共有するという意味でよいことだと思う」と話していました。

 そのうえで、今後の課題として、「予防や共生をめぐって、どんな対策が効果的なのかはまだあまり明確になっていない。まずは実態をしっかり把握したうえで、対策の効果を検証していく必要がある」と指摘しています。
| 福祉・医療と教育 | 03:00 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://blog.sato501.com/trackback/1090583