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「負の感情」が増大、背景には
 満員電車に交通渋滞、たまっていく未読メール、高ストレス社会を生き延びる知恵はどこにあるのでしょうか?

◎日本人のイライラ増大 背景には“自己愛”と“不景気”
 (2018年10月10日 16:02 AERA dot.)

 怒りや嫉妬など、人々の「負の感情」が増大している昨今。駅や電車内では乗客同士や駅員への暴力、トラブルを見聞きすることも少なくない。「誰でも輝ける」というメッセージを浴び自己愛は肥大化したが、日本全体の衰退の中で輝ける場所はない。蓄積する不満の行方は。「縮む日本」に未来はあるのか。

*  *  *

 嫉妬と比べ、怒りは暴力といった短絡的な行動に直結する傾向が強く、表面化しやすい。このように人びとが怒りっぽくなったのには、どういう背景があるのだろうか。

 日本社会では、思ったことをはっきり言わない、感情をあらわにしないなど、「本音」と「建前」を使い分けながらお互い配慮し合ってうまくやってきた歴史がある。

 しかし、社会の価値観が変化し、悩みやすかったり傷つきやすかったりする点は変わらないのに、「感情を抑える必要はない」「言いたいことははっきり言う」といった考えが奨励されるようになった。

 精神科医の香山リカさん(58)は語る。

 「でも感情を出すには相手がいる。『この人になら言ってもいい』と思った相手に対して感情を爆発させると、その人はまた次の人に感情を爆発させる。キャッチボールではなく、感情の玉突き現象のようなものが起きている気がします」

 格差の拡大やパワハラの横行などで抑圧されている人が増える一方で、社会全体が自己愛的になっていることも一因ではないかと分析する。

 「『誰でも輝ける』とか『やればできる』とか、自分の無限の可能性のようなものを刺激される機会がいっぱいある。そういう中で、『こんなはずじゃなかった』と、今の自分の状態を不本意だと思っている人が多い。従来ならみんなも我慢していると思えたのが、『どうしてこの私が』という感情があるのではないでしょうか。自己愛が肥大化して持ち上げられても、社会の仕組みとしては一人ひとりが大事にされない状況になっている。ダブルスタンダードです」

 怒りを本来向けるべき相手ではなく弱い立場や筋違いの人に向けてしまうこともあり、いま自分が何に対して怒っているのか、怒るべきなのかを自分の中で仕分けする必要があると言う。

 「何に対して怒りの声をあげるべきかを見極めないと、ただの憂さ晴らしで終わってしまいます」

 一方、著書『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)が「イライラが一瞬にして消える」と好評で60万部を突破した田村耕太郎さん(55)は、経済的な背景を指摘する。「小さく、貧しく、老いていく」のが日本の現状であり問題で、それが「怒り」や「嫉妬」など負の感情が増大している原因でもあると分析する。

 「日本は急速に貧しくなっています。人口減少や高齢化で先行きに明るさが見えず、給料も昇進ポストも減り、終身雇用も揺らいでいます。一方で税や社会保険料はどんどん増え、生活や精神の余裕がなくなっていると推察します」

 日本の人口や経済が右肩上がりだった頃は、日本型組織も成長の原動力として機能してきたが、人口減少、高齢化、賃金減少、負担増加、大企業のグローバル競争の劣勢など敗色が濃厚になると、国民の不満は高まるばかりとなる。

 「ここから脱してクリエーティブに生きてもいいのですが、萎縮する人物をつくりだす教育のせいでそういう人はほとんど現れません。不満を持ちながらも同調圧力に屈し、その不満がさらに強い同調圧力を周囲にかけてしまう。結果的に自由に生きて成功する人、経済的に成功する人、空気を読まない人たちを引きずりおろそうとする力が社会で強まっているのではないでしょうか」(田村さん)

 すべてが低迷し窮屈になって、同じ組織の中でみんながイライラしている。怒ったり妬んだりしてもうまくいくことはほとんどないとわかっていても感情的に許せない──。

 「貧すれば鈍する、ではないですが、経済をよくしないとどうにもならないのではないでしょうか」(同)

 日本の人口は2100年に向けて減っていくと言われており、明治初期のころと同程度の約4千万〜5千万人になると予想されている。しかし、明治初期は64歳以下の人口が9割くらいだったが、2100年は高齢者が4割を超える推計だ。

 「安倍首相は、人口は1億人を割らないと言っていますが、日本の出生率では不可能なので外国人を受け入れるしかありません。若いアジアの人などに入ってきてもらい、ポジティブで、ある意味のんびりしているような新しい風を入れる必要があります」(同)

 多様な人が日本に来ることで、いろいろな考え方があることを知り、違っていていいんだと思えるようになる。それが日本人の考えをポジティブにすると田村さんは考える。

 「同調圧力がかからない人が増えれば、負の感情は減っていきます」

 人口増を前提としてきた日本のシステムが限界に来ており、それによって不安が増大し、それが怒りや妬みの感情に転化される。外国から新たな風が吹くなど環境が変われば、そんな状況も克服できるかもしれない。

 「子どもの頃から自由な感覚を身につけてもらうことが大事です。同調させない。先生が威嚇して同じことをさせる旧来の教育ではダメです」

 (編集部・小柳暁子、川口穣)

 ※AERA 2018年10月15日号より抜粋
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