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オウム豊田亨死刑囚 執行までの3週間に親友が見た苦悩 麻原執行後に筆記具を取り上げられた
 7月26日にオウム真理教の一連の事件で死刑が確定していた6人の死刑が執行され、教団の元代表の麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚ら7人は今月6日に刑が執行されていて、教団に対する強制捜査から23年余りがたって、13人の死刑囚全員に刑が執行されました。

◎オウム豊田亨死刑囚 執行までの3週間に親友が見た苦悩 麻原執行後に筆記具を取り上げられた
 (2018年07月28日 13:42 AERA dot.)

 極限状況の3週間を、拘置所でどう過ごしたか。麻原執行後、豊田亨死刑囚と面会を重ねた伊東乾氏が寄稿した。

* * *

 7月26日、先週の約束通り小菅の東京拘置所に向かった。特別交通許可者として日常的に接見するオウム事件の死刑確定者、豊田亨君と面会するためだ。

 書類を窓口に提出すると程なく年配の刑務官から「面会は出来ません」と告げられた。私が待合室にいる間に、彼を含む6人のオウム事犯の死刑が執行された。

 大学1年で知り合い東京大学理学部物理学科、同大学院で共に学んだ親友が突然行方知れずになったのは1992年3月。次に彼が私達の前に現れたときは地下鉄サリン事件の実行犯となっていた。

■筆記具を取り上げられ
 だが、弁護士から連絡があり私が接見するようになった1999年時点では、自らの罪を認識し、完全に正気に戻っていた。教祖の過ちを認め、深く悔いていたのだ。

 最高裁で死刑が確定した2009年以降は特別交通許可者として月に1度程度接見して様々な問題を共に考え、責任の所在や予防教育の必要を議論してきた。

 この夏もAIや機械学習の人道利用、あるいはロボット事故の責任所在など数理と倫理の境界、さらには古代バビロニアやエジプトの数学、ハンムラビ法典「復讐法」とそれを超える修復的正義などを話し合った。

 先週は時間がないとこぼしていた。手紙を書ききれないかもしれないと。夜間に筆記用具が使えなくなった。

 7月6日に麻原彰晃こと松本智津夫以下7名の死刑が執行された後、残された6名にその事実が告げられ、今の心境、特に自殺したいか問われるという信じがたいアンケートがあったらしい。

 以後は24時間常時監視、独房内から自殺に使われそうなもの、缶詰なども所持できなくなり、タオルは使用の度ごとに申請、夜間就寝後は筆記用具も取り上げられたと聞く(接見した弁護士による)。

■「命の限り贖罪を」
 そんな事情も知らず、分厚い本など差し入れても、豊田君は丹念に目を通し、正確な議論が記された端正な手紙を送り返してくれた。

 6日金曜朝の「麻原執行」後、ご家族等と予定がぶつからないよう確認の上、週明けの9日月曜朝に小菅を訪ねた。さすがにやつれきっていた。彼も彼を囲む人々、私自身も大変に焦燥して厳しい一週間になった。

 覚悟して迎えた13日金曜、生存を確認して訪れた時の彼の表情を私は生涯忘れない。

 この金曜を乗り越えて明らかに彼は強くなった。こんな拷問に人は適応してよいのか?という疑問。そしてこんな状況にすら気丈に立ち向かう豊田君の姿。

 「残された時間を精一杯生きる」と、落ち着いた表情で語る豊田君と、私はブロックチェーンや暗号の数理を考え、エジプト式分数を一緒に計算し、古代ハンムラビ法典の野蛮と中世イスラム法の寛容の差を議論した。

 今だから記すが、兵庫出身の豊田君は手元にあった現金にいくばくか足し、匿名で西日本水害被害者救済の義援金に全額寄付して身辺を整理した。

 3月にオウムの死刑確定者が各地の拘置所に移された際、豊田君も東京拘置所内で収監される階が変わり、昔長らく在房した階に戻った。

 彼は明らかに看守諸氏から一目以上置かれ、大切に遇されていた。9日に面会したときは「命の限り贖罪し、社会に役立ちたい」と語っていた。

 こんな人を亡きものにしてはいけない、今後も再発防止などもっともっと働いて貰わなければならなかった。最期の2回の接見で彼はこう繰り返した。

 「日本社会は誰かを悪者にして吊し上げて溜飲を下げると、また平気で同じミスを犯す。自分の責任は自分で取るけれど、それだけでは何も解決しない。ちゃんともとから断たなければ」

 大切な人を今日失った筈だが未だ全く実感ない。(作曲家・指揮者 伊東乾)

 ※AERA 2018年8月10日号
| 雑感 | 19:03 | comments(0) | trackbacks(0) |









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