2018.05.28 Monday
特別養子縁組の対象年齢引き上げ 法務省が諮問へ
虐待や経済的な理由などで実の親と暮らせない子どもが血縁関係のない大人と法律上の親子関係を結ぶ「特別養子縁組」について、法務省は、対象年齢を今の原則6歳未満から引き上げる方向で検討するよう法制審議会に諮問することになりました。
特別養子縁組をめぐっては、実の親が反対したり受け入れ先が見つからなかったりして実現しないまま、子どもの年齢が原則6歳未満の対象年齢をすぎてしまうケースも多く、制度の見直しを求める声も出ています。
こうした中、法務省は、特別養子縁組の対象年齢を今の原則6歳未満から引き上げる方向で検討するよう、来月開かれる法制審議会に諮問することになりました。
対象年齢をめぐっては、法務省内の研究会でも12歳未満や15歳未満に引き上げる案が候補として挙がっています。
また、今の制度では特別養子縁組の成立の審判が確定するまでは、実の親が同意を撤回できることになっているため、育ての親が安心して養育できないという指摘もあることから、法務省は実の親による同意の撤回を制限することなども検討するよう求める方針です。
◇昭和62年に制度化 年間500件程度
「特別養子縁組制度」は、虐待や経済的な理由などで実の親と暮らせない子どものために昭和62年に設けられた制度で、血縁関係のない大人と法律上の親子関係を結ぶものです。
戸籍上も、「長男」「長女」など、血縁関係のある親子と同じように記載されます。
また、養子になる子どもは6歳未満であることや、養親となるのは夫婦でなければならないこと、それに裁判所の審判が必要なことなどの条件があります。
一方、「普通養子縁組制度」は、養子となる子どもが養親より年上でなければ何歳でも可能で、養子が未成年者でない場合は、裁判所の許可も必要ありません。
戸籍上も「養子」と記載され、実の親との法律上の親子関係も続きます。法務省によりますと、1年間で成立する件数は、特別養子が500件程度、普通養子がおよそ8万件だということです。
◎特別養子:年齢引き上げ検討へ 実親の同意撤回、制限も
(2018年05月26日 00:02 毎日新聞)
虐待や経済的事情などにより実親と暮らせない子どもを戸籍上、養父母の実子とする特別養子縁組について、上川陽子法相は25日の閣議後記者会見で対象年齢(原則6歳未満)の引き上げを検討すると明らかにした。来月4日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する。
特別養子縁組制度は、子どもに安定した家庭環境を与えるのが目的だ。しかし、児童福祉の現場からは「要件が厳しくて利用しにくい」と改善を求める声が上がっていた。
法務省が昨年7月に設置した有識者研究会の議論では、未就学児だけでなく小学生が対象に含まれるよう「12歳未満」とする案や、民法上本人の意思が尊重される「15歳」で線引きする案などが示された。
だが、対象年齢を上げすぎると新たな親子関係の構築が難しいという意見もある。法制審は慎重に議論したうえで、民法改正の可否を判断することになりそうだ。
現行制度では、実親は縁組に同意しても家裁の判断の確定前なら同意を撤回できる。
また、虐待など子どもの利益を著しく害する事情があれば実親の同意は不要となる。
しかし、試験養育中に同意を撤回される恐れがあったり、実際に同意が不要になるか見通せなかったりするため、養親が安心して縁組の申し立てや養育をできないとの指摘もある。
法制審の議論では、実親による撤回に制限を設けられるかや、同意権を喪失させる仕組みが創設できるかも焦点になりそうだ。
厚生労働省が実施した全国の児童相談所や民間のあっせん団体への調査によると、同意要件や年齢要件などが理由となり、制度を利用できなかったケースは2014〜15年度で計298件あった。
厚労省によると、国内で社会的な養護を受けている子どもは約4万5000人(2016年度)おり、うち6割超は児童養護施設や乳児院で暮らす。
特別養子縁組の成立件数は近年増加傾向にあるものの、616件(2017年)にとどまり、厚労省の有識者検討会は昨年8月、5年以内に年間1000件以上とする目標を掲げている。
◇「子ども第一」の機能充実不可欠
日本は他の先進国と比べ、親元で暮らせない子どもが施設で集団生活している割合が高い。2016年に改正された児童福祉法は子どもをより家庭に近い環境で養育する方針を掲げ、今年度からは特別養子縁組の民間あっせん団体への公的助成も始まった。対象年齢の引き上げは、その追い風になる。
ただし、特別養子縁組はあくまでも子どもの福祉のための制度であって、相続目的でも構わない普通養子縁組とは異なる。
あっせん団体の一般社団法人「命をつなぐゆりかご」(埼玉県)の大羽賀秀夫代表理事は、「対象年齢が上がると、子どもの資質で選ぶなど養親側の思惑が絡んでしまう」と懸念する。
また、養親希望者へつなぐ機能が充実していなければ、対象年齢が広がっても縁組の増加は望めない。大羽賀代表理事は、「子どもの養育に慣れている里親への情報提供や、養親の条件優先ではない子どもの側に立ったあっせんなどを児童相談所が進める必要がある」と指摘する。
※特別養子縁組
1988年に導入された。対象は原則として6歳未満だが、それまでに里親制度などを利用して養育が始まっていれば、例外として8歳未満まで縁組が認められる。
普通養子縁組とは異なり、実の両親との親子関係は消滅し、戸籍上も養親の実子と同じ扱いになる。養親となる人による半年以上の試験養育期間を経て、家庭裁判所が可否を判断する。
特別養子縁組をめぐっては、実の親が反対したり受け入れ先が見つからなかったりして実現しないまま、子どもの年齢が原則6歳未満の対象年齢をすぎてしまうケースも多く、制度の見直しを求める声も出ています。
こうした中、法務省は、特別養子縁組の対象年齢を今の原則6歳未満から引き上げる方向で検討するよう、来月開かれる法制審議会に諮問することになりました。
対象年齢をめぐっては、法務省内の研究会でも12歳未満や15歳未満に引き上げる案が候補として挙がっています。
また、今の制度では特別養子縁組の成立の審判が確定するまでは、実の親が同意を撤回できることになっているため、育ての親が安心して養育できないという指摘もあることから、法務省は実の親による同意の撤回を制限することなども検討するよう求める方針です。
◇昭和62年に制度化 年間500件程度
「特別養子縁組制度」は、虐待や経済的な理由などで実の親と暮らせない子どものために昭和62年に設けられた制度で、血縁関係のない大人と法律上の親子関係を結ぶものです。
戸籍上も、「長男」「長女」など、血縁関係のある親子と同じように記載されます。
また、養子になる子どもは6歳未満であることや、養親となるのは夫婦でなければならないこと、それに裁判所の審判が必要なことなどの条件があります。
一方、「普通養子縁組制度」は、養子となる子どもが養親より年上でなければ何歳でも可能で、養子が未成年者でない場合は、裁判所の許可も必要ありません。
戸籍上も「養子」と記載され、実の親との法律上の親子関係も続きます。法務省によりますと、1年間で成立する件数は、特別養子が500件程度、普通養子がおよそ8万件だということです。
◎特別養子:年齢引き上げ検討へ 実親の同意撤回、制限も
(2018年05月26日 00:02 毎日新聞)
虐待や経済的事情などにより実親と暮らせない子どもを戸籍上、養父母の実子とする特別養子縁組について、上川陽子法相は25日の閣議後記者会見で対象年齢(原則6歳未満)の引き上げを検討すると明らかにした。来月4日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する。
特別養子縁組制度は、子どもに安定した家庭環境を与えるのが目的だ。しかし、児童福祉の現場からは「要件が厳しくて利用しにくい」と改善を求める声が上がっていた。
法務省が昨年7月に設置した有識者研究会の議論では、未就学児だけでなく小学生が対象に含まれるよう「12歳未満」とする案や、民法上本人の意思が尊重される「15歳」で線引きする案などが示された。
だが、対象年齢を上げすぎると新たな親子関係の構築が難しいという意見もある。法制審は慎重に議論したうえで、民法改正の可否を判断することになりそうだ。
現行制度では、実親は縁組に同意しても家裁の判断の確定前なら同意を撤回できる。
また、虐待など子どもの利益を著しく害する事情があれば実親の同意は不要となる。
しかし、試験養育中に同意を撤回される恐れがあったり、実際に同意が不要になるか見通せなかったりするため、養親が安心して縁組の申し立てや養育をできないとの指摘もある。
法制審の議論では、実親による撤回に制限を設けられるかや、同意権を喪失させる仕組みが創設できるかも焦点になりそうだ。
厚生労働省が実施した全国の児童相談所や民間のあっせん団体への調査によると、同意要件や年齢要件などが理由となり、制度を利用できなかったケースは2014〜15年度で計298件あった。
厚労省によると、国内で社会的な養護を受けている子どもは約4万5000人(2016年度)おり、うち6割超は児童養護施設や乳児院で暮らす。
特別養子縁組の成立件数は近年増加傾向にあるものの、616件(2017年)にとどまり、厚労省の有識者検討会は昨年8月、5年以内に年間1000件以上とする目標を掲げている。
◇「子ども第一」の機能充実不可欠
日本は他の先進国と比べ、親元で暮らせない子どもが施設で集団生活している割合が高い。2016年に改正された児童福祉法は子どもをより家庭に近い環境で養育する方針を掲げ、今年度からは特別養子縁組の民間あっせん団体への公的助成も始まった。対象年齢の引き上げは、その追い風になる。
ただし、特別養子縁組はあくまでも子どもの福祉のための制度であって、相続目的でも構わない普通養子縁組とは異なる。
あっせん団体の一般社団法人「命をつなぐゆりかご」(埼玉県)の大羽賀秀夫代表理事は、「対象年齢が上がると、子どもの資質で選ぶなど養親側の思惑が絡んでしまう」と懸念する。
また、養親希望者へつなぐ機能が充実していなければ、対象年齢が広がっても縁組の増加は望めない。大羽賀代表理事は、「子どもの養育に慣れている里親への情報提供や、養親の条件優先ではない子どもの側に立ったあっせんなどを児童相談所が進める必要がある」と指摘する。
※特別養子縁組
1988年に導入された。対象は原則として6歳未満だが、それまでに里親制度などを利用して養育が始まっていれば、例外として8歳未満まで縁組が認められる。
普通養子縁組とは異なり、実の両親との親子関係は消滅し、戸籍上も養親の実子と同じ扱いになる。養親となる人による半年以上の試験養育期間を経て、家庭裁判所が可否を判断する。
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