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大規模ビル 全国1700棟が耐震性不足 震度6強以上で倒壊も
 多くの人が利用する大規模な商業ビルなど耐震診断が義務づけられた全国の建物のうち17%にあたるおよそ1700棟の建物で耐震性が不足し、震度6強以上の激しい揺れで倒壊するおそれがあることが国土交通省のまとめでわかりました。

 古い耐震基準で建てられた大規模な建物のうち、不特定多数の人が利用する商業施設やホテル、病院などは平成25年の法改正で耐震診断の実施が義務づけられ、報告を受けた自治体が結果を公表することになっています。

 先月までに和歌山県を除く全国46の都道府県の自治体が公表した結果を国土交通省が集計したところ、震度6強や7の地震で倒壊や崩壊の危険性が「高い」または「ある」建物は、全国1万棟余りのうち、およそ1700棟に上ることがわかりました。

 このうち、東京都は先月末都内にある398棟の大規模な建物の耐震診断の結果を公表し、危険性が「高い」のは商業施設の渋谷109が入る「道玄坂共同ビル」や、港区の「ニュー新橋ビル」など15棟、危険性が「ある」のが北区役所第一庁舎など27棟で、合わせて42棟で耐震性が不足しているということです。

 このうち、耐震改修工事に関して日程を含めた具体的な計画がある建物は13棟にとどまり、残る29棟は計画が決まっていないか検討中だということです。

 NHKがビルの所有者などに工事計画が決まらない理由について複数回答で尋ねたところ、「テナントなど関係者との調整に時間がかかっている」と、「事業を継続しながら耐震工事を行う方法を探っているため」が8棟ずつで最も多くなりました。

 耐震化の問題に詳しい名古屋大学の福和伸夫教授は、「大規模な建物は、災害時には多くの人が同時に被災する可能性があり速やかに耐震化を進めるべきだ。行政は費用の補助だけでなくスムーズな合意形成の支援などにも取り組み、後押しする必要がある」と指摘しています。

◇都内 震度6強以上で倒壊の危険性は249棟
 東京都は、古い耐震基準で建てられた大規模な建物や幹線道路沿いの建物の耐震診断結果について先月末、初めて公表し、全体のおよそ3割にあたる249棟が震度6強以上の地震で倒壊や崩壊の危険性が「高い」または「ある」とされました。

 今回、都が公表したのは、古い耐震基準の建物のうち、不特定多数の人が利用する病院や劇場などの大規模な建物と、大震災が発生した際に緊急車両などが通行する幹線道路沿いの建物、合わせておよそ850棟の耐震診断の結果です。

 不特定多数の人が利用する大規模な建物は398棟あり、このうち震度6強から7の地震で倒壊や崩壊の危険性が「高い」が15棟、「ある」が27棟でした。

 危険性が「高い」とされた建物は、商業施設では若い世代に人気の「渋谷109」が入る渋谷区の「道玄坂共同ビル」、「紀伊國屋書店」が入る新宿区の「紀伊國屋ビルディング」、JR新橋駅前にあり仕事帰りのビジネスマンが立ち寄る居酒屋などが軒を連ねる港区の「ニュー新橋ビル」、老舗のスーパーマーケットが展開する台東区の「アブアブ赤札堂上野店」などが含まれています。

 病院や診療所では、目黒区の「東京共済病院2号館(西館)」、大田区の「東邦大学医療センター大森病院1号館」、板橋区の「日本大学医学部付属板橋病院」などが含まれています。

 危険性が「ある」とされたのは、中野区の中野ブロードウェイ、北区役所第一庁舎の東側棟と中央棟などでした。

 一方、大地震が発生した際に緊急車両などが通行する幹線道路沿いの建物449棟のうち、倒壊や崩壊の危険性が「高い」が139棟、「ある」が68棟でした。

 また、耐震診断の結果を都に報告していない建物が5棟ありました。

 都は幹線道路沿いの建物が耐震改修を行う際に経費を補助する制度を設け、「所有者には震災のリスクを把握してもらい耐震化を行ってもらえるよう働きかけていきたい」としています。

 今回の耐震診断の結果はインターネットのサイト「東京都耐震ポータルサイト」で公表しています。
URL:http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/seismic_index.html

◇中野ブロードウェイ 所有者の意見集約進まず
 建物の区分所有者が多く、耐震改修工事に向けた意見の集約が進んでいない建物があります。

 マンガやアニメなどを扱う店が多く入り、“サブカルの聖地”とも呼ばれる東京・中野区の「中野ブロードウェイ」は耐震診断の結果、震度6強以上の揺れで倒壊や崩壊の危険性が「ある」と判定されました。

 中野ブロードウェイ商店街振興組合によりますと、地下1階から4階までの商業スペースと、5階から10階までの住居スペース、合わせておよそ520人の区分所有者がいるということです。

 耐震工事を行う場合、所有者の意見を集約する必要がありますが、中には費用がかかることから工事に消極的な人や、海外などにいて簡単に連絡が取れない人がいて意見の集約が進んでいないということです。

 中野ブロードウェイ商店街振興組合の青木武理事長は「海外からの観光客も多く、万が一を考えれば対策を先延ばしにはできない。今回の公表をきかっけに関係者の意識を変えて、合意形成につなげたい」と話していました。

◇道後温泉 老舗ホテル 耐震化で11億円以上の出費
 耐震診断が義務化され、四国有数の観光地、松山市の道後温泉のホテルでも耐震化が進められています。

 道後温泉には年間およそ90万人が宿泊し、外国人観光客も多く訪れます。しかし、古い旅館やホテルも多く、3年前の耐震診断で8軒の大型ホテルが耐震基準を満たしていなかったことがわかりました。

 昭和28年創業の「宝荘ホテル」もその一つで、昭和50年に建設された建物の耐震診断を行ったところ、震度6強から7の揺れで倒壊するおそれがあることがわかりました。

 このため、宿泊客の安全を最優先におととし12月から営業を休止して建て替え工事を行っています。

 工事では、震度7の揺れにも耐えられるよう太いくいを打ち込んだうえで、揺れに強いシンプルな構造にしました。

 また、災害時に一時的な避難場所となるロビーや食堂は天井をボルトで固定し、落下防止の対策を施しました。

 全面的に建て替えたため費用が膨らみ、松山市と国から2億5000万円ほど補助金が出たものの、自己負担はおよそ11億5000万円に上ったということです。

 また、1年半近く営業休止を余儀なくされるなど大きなリスクを伴いましたが、この機会に間取りを見直し、宴会場をなくして客室の面積を広くとったり、すべての部屋に展望露天風呂を備えたりして、以前よりもホテルの魅力を高め多くの顧客を呼び込みたい考えです。

 宮崎光彦社長は、「まだ使える施設を壊して耐震工事に踏み切るハードルは高かったが、宿泊客の命を守ることが第一だと考えた。安全性の確保はホテルにとって大きな訴求力になるので、多くの宿泊客に安全に楽しんでもらえるホテルを目指したい」と話しています。

 このホテルは来月営業を再開する予定で、すでに予約も入っているということです。

◇専門家「速やかに耐震化を」
 今回の結果について、耐震化の問題に詳しい名古屋大学の福和伸夫教授は、「今回公表された不特定多数が利用する大規模な建物は、災害時には多くの人が同時に被災する可能性があり、安否確認も困難になることが予想される。個人の住宅とは異なり多くの人の命に関わるので速やかに耐震化を進めるべきだ」と指摘しました。

 工事を行う際に関係者の合意形成に時間がかかることが課題になっていることについて、意見を調整するコーディネーター役を国や自治体が派遣したり、工事による営業への影響を抑えるため技術的なアドバイスができる業者や専門家を紹介する仕組みを整備したりして「耐震化を進めやすい環境整備を進める必要がある」と指摘しています。

 現在の耐震診断の結果の公表のしかたについても、「自治体ごとに情報がバラバラに掲載され、どこに掲載されているかもわかりにくいなど、簡単にはわからないのはよくない。行政は建物の所有者に対し、遠慮があるのかもしれないが、私たちは自分が使っている建物の安全性を知る権利があり、情報をまとめて掲載するウェブサイトを作るなど、多くの人が情報を簡単に得られるような環境を行政は整える必要がある」と話していました。

◇和歌山県と東京19区は情報公開せず
 23年前の阪神・淡路大震災では、昭和56年以前の古い耐震基準で建てられた建物の倒壊が相次いだことから、国は「耐震改修促進法」を作り、耐震診断や耐震改修を積極的に進めるよう求めてきました。

 しかし、耐震改修が思ったように進まなかったことから、国は平成25年に法律を改正します。

 そのポイントは、旧耐震基準で建てられた規模の大きな建物のうち多くの人が利用する病院やホテル、デパートなどに対して耐震診断を行い、平成27年までに結果を自治体に報告するよう義務づけたことです。

 さらに、自治体には結果を公表するよう義務づけました。

 そのうえで、国はこうした建物が耐震改修を行う場合の支援策を強化し、改修工事を行う際の費用の補助率を引き上げたほか、商業施設やマンションなど所有者が多い建物では一定の条件を満たせば、過半数の同意で工事ができるよう要件を緩和しました。

 国土交通省によりますと、先月までに全国46都道府県で大規模建物の耐震診断結果が公表されましたが、和歌山県と、東京都内の19の区が管轄する建物は依然、未公表となっています。

 和歌山県の担当者は、「公表の予定は決まっていない。耐震性が足りない建物を公表することで、事業者に影響が出ないか見極めている段階だ」と話しています。
| 環境とまちづくり | 12:20 | comments(0) | trackbacks(0) |









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