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愛媛 伊方原発3号機の運転停止命じる 広島高裁
 愛媛県にある伊方原子力発電所3号機について、広島高等裁判所は「熊本県の阿蘇山で、巨大噴火が起きて原発に影響が出る可能性が小さいとは言えず、新しい規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は、不合理だ」と指摘し、運転の停止を命じる仮処分の決定をしました。

 伊方原発3号機は、定期検査のため運転を停止中ですが、仮処分の効力は、決定が覆されない限り続くため、定期検査が終了する来年2月以降も運転できない状態が続く可能性が高くなりました。

 愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機について、広島県などの住民4人は「重大事故の危険がある」として、運転の停止を求める仮処分を申し立て、広島地方裁判所は、ことし3月退ける決定をしました。

 住民側は、決定を不服として抗告し、広島高等裁判所では、四国電力が想定する地震の最大の揺れや周辺の火山の噴火の危険性をどのように評価するかなどが争われました。

 13日の決定で、広島高裁の野々上友之裁判長は、熊本県にある阿蘇山が噴火しても火砕流が原発に到達しないと主張する四国電力の根拠となった噴火のシミュレーションについて、「過去に阿蘇山で実際に起きた火砕流とは異なる前提で行われており、原発に火砕流が到達していないと判断することはできないため、原発の立地は不適切だ」などと指摘しました。

 そのうえで、「阿蘇山の地下にはマグマだまりが存在し、原発の運用期間中に、巨大噴火が起きて原発に影響を及ぼす可能性が小さいとはいえない。巨大噴火が起きた場合、四国電力が想定した火山灰などの量は少なすぎる」と述べました。

 そして、「火山の危険性について、伊方原発が新しい規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理で、住民の生命、身体に対する具体的な危険が存在する」として、運転の停止を命じました。

 一方、運転停止の期間については、広島地方裁判所で並行して進められている裁判で異なる結論が出る可能性があるとして、来年9月30日までとしました。

 伊方原発3号機は、去年8月に再稼働し、ことし10月から定期検査のため運転を停止していますが、仮処分の効力は、決定が覆されない限り続くため、定期検査が終了する来年2月以降も運転できない状態が続く可能性が高くなりました。

 高裁が、原発の運転停止を命じるのは初めてです。

◇住民の弁護団「歴史的な転換点」
 広島高裁が伊方原発3号機の運転の停止を命じる仮処分の決定をしたことを受け、弁護士らが裁判所の前で、「被爆地ヒロシマ 原発を止める」などと書かれた旗を掲げると、集まった支援者などからは歓声が上がりました。

 住民の弁護団の河合弘之弁護士は、「われわれの思いが通じ、主張のほとんどが認められた。高等裁判所で差し止めの決定が下ったのは初めてで、被爆地の広島でこのような決定が出たのは意義が大きく、歴史的な転換点だと思う」と話していました。

◇申立人「重要な一歩」
 広島高裁の決定について、仮処分の申立人のひとりで広島市中区に住む綱崎健太さん(37)は、「被爆者を中心に立ち上がり、被爆地の裁判所で訴えが認められたことは、72年前に始まった被爆の歴史を止めるための重要な一歩だと受け止めている」と話していました。

 また、同じ仮処分の申立人で松山市に住む小倉正さん(56)は、「広島の被爆者など、立ち上がってくれた方に感謝したい。裁判はむだではないかと思っていたが、いい意味で期待を裏切るうれしい勝利だ」と話していました。

◇四国電力「到底承服できない」
 広島高裁が伊方原発3号機の運転の停止を命じる仮処分の決定をしたことを受け、四国電力は、「3号機の基準地震動の合理性や火山事象に対する安全性の確保などについて裁判所に丁寧に主張や立証を行い、抗告を退けるよう求めてきた。当社の主張が認められなかったことは極めて残念であり、到底承服できない。内容を確認のうえ、速やかに異議申し立ての手続きを行います」とコメントしています。

◇原子力規制委員長「審査に影響ない」
 原子力規制委員会の更田豊志委員長は、伊方原子力発電所3号機の運転の停止を命じる仮処分の決定が出されたことについて、「規制委員会は、当事者ではなく、個別の民事訴訟についてコメントはできない」としたうえで、「私たちは、福島の原発事故と国内外の知見や経験を踏まえて基準やガイドなどを策定し、許認可を行っている。その基準も常に改善している」と述べ、審査は最新の知見に基づいて行われていると説明しました。

 また、今回の決定が、今後の審査で火山の想定に与える影響については、「私たちは状況にかかわらず、科学的、技術的な知見、理解を基に判断していくだけで、審査への影響はない」と述べました。

◇今後の手続きは
 仮処分の手続きは、正式な裁判をしていると時間がかかって間に合わない緊急の場合などに使われるもので、今回の決定は直ちに効力が生じます。

 四国電力は、異議を申し立ててさらに争うことができ、仮処分の効力を一時的に止める「執行停止の申し立て」を行うこともできます。

 これらの申し立ては、広島高等裁判所で改めて審理されることになります。さらにこの決定に不服があれば、最高裁判所まで争うことができますが、今回の決定では運転停止の効力は来年9月30日までとされました。

◇仮処分や裁判 全国で相次ぐ
 原子力発電所を運転させないよう求める仮処分や裁判は、6年前の原発事故をきっかけに全国で相次いでいます。

 原子力発電所をめぐる裁判は、昭和40年代後半から起こされていますが、6年前に福島第一原発の事故が起きると、改めて安全性を問う動きが広がりました。

 このうち、原子力規制委員会が新しい規制基準に適合していると認めた原発に対しては、運転停止の効力が直ちに生じる仮処分を住民が申し立てるケースが相次いでいます。

 高浜原発3号機と4号機については、おととし、福井地方裁判所が再稼働を認めない仮処分の決定を出しましたが、福井地裁の別の裁判長に取り消されました。

 これとは別に、滋賀県の住民が大津地方裁判所に仮処分を申し立て、去年、再び運転の停止を命じる決定が出されましたが、ことし3月、大阪高等裁判所はこの決定を取り消し、再稼働を認めました。

 九州電力の川内原発1号機と2号機に対する仮処分では、おととし、鹿児島地方裁判所が住民の申し立てを退け、福岡高等裁判所宮崎支部も抗告を退けました。

 また、ことし6月には、九州電力の玄海原発3号機と4号機について、佐賀地方裁判所が住民の申し立てを退け、福岡高等裁判所で争われています。

 伊方原発をめぐっては、広島高等裁判所のほか、3か所で仮処分が申し立てられていて、松山地方裁判所ではことし7月に住民の申し立てが退けられ、今回の決定とは判断が分かれました。

 このほか、裁判も各地で起こされていて、弁護団によりますと、現在、全国の裁判所で審理されている仮処分や集団訴訟は少なくとも37件に上っているということで、今後の動向が注目されます。

◇運転停止で1か月に約35億円の損失
 伊方原発3号機は現在、定期検査のため運転を停止していますが、仮処分の決定で運転できない期間が続くと、1か月でおよそ35億円の損失が出るということです。

 伊方原発3号機は福島第一原発事故のあと、定期検査のため平成23年4月に運転を停止し、2年余りあと、再稼働の前提となる新たな規制基準の審査を申請しました。

 その後、重大事故や自然災害への対策の審査を経て、おととし7月、審査に合格し、地元の同意を得るなどして去年8月に再稼働しました。

 ことし10月に定期検査のため運転を停止し、設備の点検が進められていますが、四国電力は検査が順調に進めば来年1月20日ごろ、原子炉を起動し、2月20日ごろ営業運転を始める計画でした。

 四国電力によりますと、伊方原発3号機の運転ができないと、代わりとなる火力発電所の運転に必要な燃料費などで、1か月およそ35億円の損失が出るということで、運転の停止が長引くと経営に影響が出るとしています。
| 環境とまちづくり | 03:29 | comments(0) | trackbacks(0) |









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