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国民栄誉賞 “ヒーロー”の選ばれ方
◎国民栄誉賞 “ヒーロー”の選ばれ方
 (12月13日 NHK News Up)

 世界のホームラン王、「男はつらいよ」の寅さん、なでしこジャパン、この3者に共通すること、わかりますか? 国民栄誉賞の受賞者です。

 政府は13日、将棋の永世七冠を達成した羽生善治さんと囲碁の七冠、井山裕太さんに国民栄誉賞を授与する方向で検討していることを明らかにしました。

 国民栄誉賞については、その授与に世の中が沸いた一方で選定基準のあいまいさや授与のタイミングが話題になったこともたびたびあります。

 “時代のヒーロー”国民栄誉賞の受賞者はどのように選ばれてきたのか、取材しました。(ネットワーク報道部記者 戸田有紀 後藤岳彦 伊賀亮人)

◇そもそも国民栄誉賞って?
 国民栄誉賞は時の内閣総理大臣が決めることができますが、選ぶ基準などは実は、あまり明確ではありません。

 規程によりますと、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉をたたえること」を目的とし、内閣総理大臣が「適当と認めるものに対して」「随時」、表彰することとされています。

 同じように、顕著な業績があった人に贈られるものとしては、文化勲章や叙勲などがありますが、例えば文化勲章は、有識者による審議会や文部科学大臣の推薦などを経て閣議決定されるなど、審査や手続きがより複雑です。

 国民栄誉賞の第1号はプロ野球でホームラン通算756号という世界記録を達成した王貞治さん。

 国民栄誉賞の規程が定められてからわずか6日後の受賞で、世界的な偉業にぎりぎりで間に合った形となりました。その時の「国民的ヒーロー」をたたえる制度、それが国民栄誉賞とも言えます。

◇どんな人が受賞?
 国民栄誉賞はこれまで23人の個人と1つの団体が受賞しています。

 分野別にみますと、第1号の王さんのほか、柔道の山下泰裕さん、大相撲の元横綱で、大鵬の納谷幸喜さんと千代の富士の秋元貢さん、マラソンの高橋尚子さんなど10人がスポーツです。

 同じスポーツでは、平成23年に、サッカーのワールドカップで優勝した日本代表チームの「なでしこジャパン」が唯一、団体で受賞しています。

 また、寅さんこと渥美清さんや森繁久彌さんら俳優と、古賀政男さんら作曲家がそれぞれ4人ずつ、さらに、歌手の美空ひばりさん、映画監督の黒澤明さん、漫画家の長谷川町子さん、冒険家の植村直己さんなどが選ばれています。

 受賞者には、表彰状と盾が贈られるほか、記念品が贈られることもあります。

 なでしこジャパンには、広島県熊野町の化粧筆のセット、レスリングの吉田沙保里さんにはオリンピックと世界選手権の13連覇にちなんで直径13ミリの金色の真珠と聖火のモチーフがあしらわれたネックレスが贈られました。

◇過去には辞退も
 国民栄誉賞をめぐっては、これまでに3人が辞退したことも明らかになっています。

 このうち、野球のイチロー選手には平成13年に、日米両国にまたがり8年連続で首位打者になったことをたたえて、授与が検討されました。

 しかし、イチロー選手は、「自分は大リーグに入ったばかりでまだ発展途上だ」などとして、辞退しています。

 平成16年にも、イチロー選手は262本のヒットを放ち、84年ぶりに大リーグのシーズン最多安打記録を塗り替え国民栄誉賞の授与を打診されましたが、再び辞退しました。

 当時、イチロー選手は、「国民栄誉賞は日本国民として最高の賞と考えており、大変光栄である。ただ、自分としてはまだまだこれからやらなければいけないことがあり、プレーを続けている間はもらう立場にはないと思う。野球生活が終わり、本当にやりきったという時に仮に頂けるのであれば、大変ありがたい」というコメントを発表しています。

 時代のヒーローに贈りたいがヒーローである間は受け取れない、なんとも贈るタイミングが難しい賞です。

 福島市出身の大作曲家、古関裕而さんも同じく受賞を辞退した1人です。

 「長崎の鐘」や「栄冠は君に輝く」など、昭和の名曲を次々と生み出したほか、昭和39年の東京オリンピックでは、開会式の入場行進曲「オリンピック・マーチ」を作曲しました。

 古関さんは平成元年8月に80歳で亡くなりましたが、長男の正裕さんによりますと、その年の秋ごろ、「裕而さんを国民栄誉賞に推挙したい」という連絡があったということです。

 正裕さんは、「元気に活動している時ならともかく亡くなったあとに授与することに意味があるのか」と疑問を持ったため、国民栄誉賞を辞退したということです。

 今回の取材の最中、羽生善治さんのことに話が及ぶと、正裕さんが小学生の羽生さんと将棋を指し、あっさり敗れた経験を話してくれました。

 そのうえで、正裕さんは、「将棋を指して以来、羽生さんのファンなので、国民栄誉賞を受賞するのであれば、とてもうれしいことです」と話していました。

 また、オリックスの前身の阪急の選手で、プロ野球史上最多の通算1065個の盗塁記録を持っている福本豊さんも国民栄誉賞の授与を辞退しています。

◇選考やタイミングも議論に
 国民栄誉賞をめぐっては、選考基準のあいまいさや授与のタイミングもしばしば議論になっています。

 漫画の世界では、「サザエさん」を生み出した長谷川町子さんが受賞している一方で、「鉄腕アトム」の手塚治虫さん、「ドラえもん」の藤子・F・不二雄さんなどは受賞していません。

 スポーツ界でも、オリンピックの柔道で3連覇している野村忠宏さんをはじめ、あの人が受賞したならこの人も、という声は少なくありません。

 授与のタイミングをめぐりとりわけ話題になったのは、平成25年の長嶋茂雄さんと松井秀喜さんのダブル受賞。

 すでに受賞していた王貞治さんは、「これまで長嶋さんに授与されていなかったこと自体不思議に思っていた」、同じく受賞者の衣笠祥雄さんは、「『やっときたか』という感じだ」などと話していて、ネット上でも「なぜ今なのか?」といった声が上がりました。

 菅官房長官自身、授与の方針を明らかにした記者会見の中で、「『長嶋氏に授与して欲しい』という数多くの意見があったので賞の授与を検討することを指示した」と話していて、どのタイミングで授与するのか判断の難しさをうかがわせています。

◇国民栄誉賞が名前負け?
 今回話題になっている将棋・囲碁界の2人についても、ネット上の反応はさまざまです。

 まずは、祝福するツイート。「同時にもらえるのはとてもいいこと。現役の2度目の七冠と永世七冠の同時達成は空前絶後」、「一手一手に魂を削りたどり着いた金字塔に拍手を送りたい」。

 一方で、「現役バリバリの人に国民栄誉賞を与えるのは、その後のキャリアに悪影響を残しかねないと思う」と、タイミングを疑問視する声もあります。

 さらには、「国民栄誉賞が永世七冠に名前負けしているのでは」、「永世七冠になった人に国民栄誉賞て…なんか賞が小さくて失礼な気さえする」といった声もありました。

◇問われるのは贈る側のセンス
 世界のホームラン王から将棋の永世七冠まで、いずれの方も人々の心を沸き立たせてきた時代のヒーローであることを疑う余地はありません。

 だからこそ、ファンである私たちは、授与のタイミングやバランス感覚に注目するのです。そう、贈る側のセンスが問われる表彰、それが国民栄誉賞なのではないでしょうか。
| 政策 | 02:16 | comments(0) | trackbacks(0) |









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