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集団的自衛権の行使容認巡る論点
 憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認については、さまざまな立場から指摘があります。

 まず、憲法解釈の変更という手法の是非についての指摘です。

 これは、憲法9条の下、集団的自衛権の行使は許されないというのが歴代政権の立場だったのに国民投票などによって憲法を改正せず、解釈を変更して容認すれば憲法で政府の権力を制限する立憲主義が損なわれるという指摘です。

 次に、歴代政権が示した政府見解と整合性がとれているかという指摘です。

 今回の決定では、昭和47年の政府見解のうち、憲法前文の「国民の平和的生存権」や、憲法13条の「生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、国政の上で、最大の尊重を必要とする」という表現を、集団的自衛権の行使容認の根拠の一つとして挙げております。

 しかし、昭和47年の政府見解は、「しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」として、集団的自衛権の行使は、憲法上、許されないと、逆の結論となっており、整合性がとれないのではないかという指摘があります。

 そして、新たな3要件が歯止めになるかという指摘です。

 これまでは、自衛隊による武力行使の要件を、「日本に対する武力攻撃が発生した場合」に限定してきましたが、今回は、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」の場合も武力行使を可能としました。

 新たな3要件では、「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に限定しておりますが、解釈のしかたに幅があると歯止めがあいまいになると懸念する意見もあります。

◇行使容認で可能になる事例
 政府は、集団的自衛権の行使容認によって可能になる8つの事例を挙げております。

 具体的には、日本周辺で有事が起きた際、

▽海外にいる日本人などを輸送するアメリカ艦船を防護することや、

▽攻撃国に武器を運んでいる可能性がある不審な船舶を強制的に停船させ検査することなどです。

 また、▽日本の上空を横切りアメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃することや、

▽弾道ミサイル発射の警戒のため防御能力が低下しているアメリカ艦船の防護なども可能になるとしております。

 さらに、シーレーン(海上交通路)で武力攻撃が発生した際、

▽国際的な機雷の掃海活動に参加することや、

▽各国と共同で民間の船舶の護衛をすることなども可能になるとしております。

 政府は、これらの活動は集団的自衛権の行使に当たり実行できないとしてきました。

 今回の閣議決定は、こうした具体的な事例を挙げて可能になるとは明記しておりませんが、政府が、今後の国会審議などを想定して、まとめた見解案では、8つの事例すべてについて、武力行使の新たな3要件を満たせば行えるとしております。

 一方で、安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使を容認しても湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはないとしております。

◇憲法解釈と海外派遣の経緯
 政府は集団的自衛権について、「持っているが、使えない」という憲法解釈をとってきました。

 集団的自衛権とは、同盟国などに対する武力攻撃を、自分の国が攻撃されていなくても武力を使って阻止する権利で、自分の国が攻撃された場合に反撃する個別的自衛権とは異なります。

 「戦争の放棄」を定めた憲法9条に自衛権に関する規定はなく、どう解釈するのかが問われてきました。

 政府は、昭和47年、憲法9条の下、自衛権の行使が許されるのは、「必要最小限度」の範囲で「日本が侵害を受けた場合」に限るとして、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとする政府見解を出しました。

 こうした憲法解釈が確立され、歴代政権もこれを踏襲してきたのです。

 しかし、冷戦が終結して国際情勢は大きく変化し、政府は従来の憲法解釈を変えないまま自衛隊の活動を海外へと拡大させていきました。

 自衛隊が初めて海外に派遣されたのは平成3年、湾岸戦争のあと、ペルシャ湾で機雷掃海を行いました。

 翌年には、武器の使用などに厳しい条件をつけ、自衛隊を国連のPKO(平和維持活動)に派遣しました。

 平成13年に、アメリカで起きた同時多発テロ事件のあとには、同盟国であるアメリカの軍事行動に協力する姿勢を強め、インド洋での給油活動や、イラクの復興支援にも非戦闘地域であるとして自衛隊を派遣しました。

 この間、アメリカからは、日本に集団的自衛権の行使容認を求める声が上がっておりました。

 そして、北朝鮮による核やミサイルの開発、中国の海洋進出の活発化など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、安倍政権は、一国だけで平和を守れる時代ではなく抑止力を高める必要があるとして、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を目指してきました。
| 政策 | 08:21 | comments(0) | trackbacks(0) |









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