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山本太郎議員、園遊会で陛下に文書
 10月31日、東京の赤坂御苑で開かれた秋の園遊会の会場で、両陛下や皇族方が招待者と歓談していた際、招待者の1人で山本太郎参議院議員が、天皇陛下に手紙を手渡す出来事がありました。

 天皇陛下が手紙を受け取って山本議員とことばを交わすと、山本議員は深々と頭を下げ、両陛下のそばにいた側近の侍従長が天皇陛下から手紙を受け取っておりました。

 山本議員は記者団に対し、「原発事故によって、このままだと子どもたちの被ばくが進み、健康被害が出てしまう。さらに現場で対応に当たっている作業員は劣悪な環境で搾取され、命を削りながらやっている。こうした実情をお伝えしようと、手紙にしたためた。自分の政治活動に役立てようという気持ちはなく、失礼に当たるかもしれないという思いもあったが、伝えたい気持ちが先立った」と述べました。

 この行為について1日、閣僚や与野党幹部から、「(天皇の)政治利用そのもので、議員辞職ものだ」(下村博文文部科学相)などと、批判が相次ぎました。

 自民党の脇雅史参院幹事長は党役員連絡会で、山本議員が辞職しない場合は辞職勧告決議案の提出を検討すべきだとの考えを示しました。

 参院議院運営委員会は1日午前の理事会で、山本議員に対する処分をめぐり対応を協議しました。

 岩城光英委員長が山本議員を国会内に呼び、事情を聴取しました。

 山本議員は、みずからの行動について、「東日本大震災による原発事故で、子どもたちに健康被害が出ていることや、原発の作業員がひどい労働環境で働かされている実情を訴えたかったのであり、このような騒ぎになるとは思っていなかった」と釈明しました。

 理事会では、山本議員の行動は、「『天皇の政治利用』に当たり、国会議員としてあるまじき行為で、参議院の品位をおとしめる」という認識で一致し、具体的な処分について、来週、協議することになりました。

 山本議員は、参議院議院運営委員会の岩城委員長らから事情を聴かれたあと、記者団に対して、「手紙を書いて天皇陛下に渡したという事実関係を岩城委員長に伝えた。マスコミが騒ぐから、政治利用と言われるが、原発事故の影響を伝えたかっただけだ。ルールを知らず、手紙を渡したのは事実なので、議院の沙汰を待ちたい」と述べ、自ら辞職する考えがないことを強調しました。

 古屋圭司国家公安委員長は記者会見で、「常軌を逸した行動だ。国民の多くが許されざる行為だと怒りをこめて思っているのではないか」と批判しました。

 新藤義孝総務相は、「皇室へのマナーとして極めて違和感を覚える。国会議員ならば、新人とはいえ自覚を持って振る舞ってほしい」と語り、安倍晋三首相も周囲に「あれはないよな」と不快感を示したと言う事です。

 与野党でも厳しい意見が上がり、自民党の石破茂幹事長は記者会見で「見過ごしてはならないことだ」と言明し、公明党の井上義久幹事長は「極めて配慮に欠けた行為だ」と指摘しました。

 日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は市役所で記者団に対して、「日本の国民であれば法律に書いていなくてもやってはいけないことは分かる。しかも国会議員だ。信じられない」と批判を強め、民主党の松原仁国対委員長も記者会見で「到底許されない」との認識を示しました。

 山本議員の行動は余りに不見識極まるもので、「マスコミが騒ぐから、政治利用」と語りましたが、呆れて開いた口が塞がりません。

 日本国憲法は第7条で、天皇陛下の国事行為を定めており、国事行為とは国会の召集や栄典の授与等の形式的・儀礼的な行為の事で、こうした国事行為を行なうにあたっては、天皇陛下は内閣の助言と承認が必要とされており、国政に直接関与する権能を有しておりません。

 したがって、立法府の議員が天皇陛下に直訴する事自体が全くの見当外れで、正しければ何をやっても良いと思っているのなら余りに稚拙で、こんな人が国会議員である事が日本国民として余りに恥ずかしいと言わざるを得ません。

 この問題について、詳しく解説した記事がありましたので、ご紹介させていただきます。

◎「山本太郎議員が陛下に手紙」何が問題なのか
 高崎経済大・八木教授に聞く
 (THE PAGE 11月1日(金)18時37分配信)

 山本太郎参院議員が秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した問題が波紋を広げています。山本議員は手紙の内容について、福島第1原発事故をめぐる現状を書いたものだと説明していますが、「皇室の政治利用だ」「非常識だ」などと批判する声もあります。山本議員の行動をどう見るか。皇室問題に詳しい高崎経済大学の八木秀次教授(憲法学)に聞きました。

・「直訴」をどう見る
――今回の山本議員の行為をどう見ますか。

 まず話を持っていく先を間違えています。天皇陛下はそういう存在ではありません。現在の天皇は「政治的中立」であるということが理解できていない。彼は国会議員なので国会の中で訴えていけばいいのです。田中正造(足尾銅山の鉱毒問題を天皇に直訴した明治時代の政治家)を気取ったのでしょうが、非常に滑稽に見えます。

 そして場所も間違えています。園遊会は政治的な事を言う場ではありません。実際、手紙を渡しても、天皇陛下から侍従長に手渡されスルーされてしまった。現行憲法における天皇陛下の位置付けが分かっていないのでしょう。天皇は国政に関与できません。まるで専制君主制のイメージを持っている印象を受けます。

 今の憲法における天皇は、政治に関与しないことで国民を統合していく。そこを期待されています。それを、無理に「反原発」という国民の間でも賛否が分かれている問題に引きずり込もうとした。憲法が分かっていないから、こんな失礼なことができたのでしょう。国会議員の取る行動ではありません。

 彼は国会議員だから、ちゃんと手続きを踏んで、信念を政策に実現できる立場が与えられています。例えば、福島の方がやむにやまれず、陛下に辛い現状を伝えるのとはわけが違います。質問主意書を出したり、メディアを使って訴えるとか、いろんな手法があるにも関わらず「直訴」するというところが理解できません。

・「政治利用」に当たるのか
――皇室の政治利用だとの見方もあります。

 皇室の政治利用とは、政治的主張などを「天皇の権威によって権威付ける」ことですが、そういう意味で、山本議員の行動は政治利用「未遂」と言えるかもしれません。

 明治憲法下で、昭和天皇は2回だけ政治的意思を示したといわれています。二・二六事件(1936年に起きた陸軍青年将校によるクーデター事件)と終戦のときです。しかし、今はその余地はありません。そこの部分が現行憲法では強められました。

 現行憲法下でも、例えば天皇は国会を召集します。しかし国政に関する権能はありません。天皇は国民統合の象徴で、いかなる政治的立場にもつかず、いかなる政治的意思も持たないことで、現在の天皇制は守られています。それは、国民が党派に分かれて対立していても、天皇はいかなる政治的立場にも立たないからこそ、国民を統合できるからです。

・「直訴」は請願なのか
――国や地方自治体に意見や要望を行うには「請願」というやり方があります。請願法では、天皇に対する請願書は内閣に提出しなければならない、と規定されています。

 今回の行為が「請願」だという考え方もあるようですが、請願とは一般国民が行うことです。国会議員は国民から請願を受ける立場であり、政府を飛ばして天皇にお願いするのはおかしな話です。
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