2013.10.29 Tuesday
阪急阪神ホテルズ社長、辞任へ
大阪の「阪急阪神ホテルズ」がメニューの表示と異なる食材を使っていた問題で、出崎弘社長は28日夜に会見し、「お客様への裏切り行為にほかならず、偽装と受け取られてもしかたがない」と述べて謝罪し、信頼失墜の責任を取って来月1日付けで社長を辞任する一方、会社として追加の再調査を行う方針であることを明らかにしました。
この問題で、「阪急阪神ホテルズ」は、メニューの表示と異なる食材を使っていた47件のうち6件で従業員の意図や経緯などについて再調査を進めてきました。
出崎社長は28日夜に会見し、再調査で従業員の意図的な偽装はなかったことが確認できたとする一方で「、多くのお客様への裏切り行為にほかならず、表示の誤りを超えており、偽装と受け取られてもしかたがない」と述べ、改めて謝罪しました。
そのうえで、信用失墜が阪急阪神グループ全体に及んでいる責任を取るとして、来月1日付けで社長を辞任することを明らかにしました。
一連の問題が起きた要因については、正確な表示の意識に欠けていたことや、部門間での情報伝達が不足していたなどとしたうえで、「客の視点に立ったチェックが不足していた」と述べました。
さらに、背景として、経営統合を繰り返して今の会社ができたため、社内の融和を図ることが重視され、「従業員が過ちを犯すことを前提にした審査やチェックの態勢が欠けていた」と述べました。
一方、出崎社長は、再調査の対象とならなかった41件のうち、経緯が不明確なものについて、今後、会社として追加の再調査を行う方針であることを明らかにしました。
◇問題が浮き彫りに
今回、6件のメニューを対象に行われた再調査では、業界の習わしにとらわれた思い込みや、部門間の情報伝達の不足といった問題が浮き彫りになりました。
「芝エビ」を使ったとする中国料理のコースメニューの1品には、「バナメイエビ」という安いエビが使われておりました。
今月24日の記者会見で「偽装ではないのか」という質問が相次ぎ、会社側は、再調査の実施を余儀なくされました。
再調査で、調理担当者は、「バナメイエビであることは認識していたが、小さなエビは芝エビと呼ぶものと思い込んでいた」と話したということです。
28日夜の会見では、中国料理を担当する調理部門の責任者が登場し、「芝エビは小エビの総称という認識でおりました」と、ひと言だけ説明する場面もありました。
京野菜の1つ、「九条ねぎ」を鶏料理に添えたパーティー料理の1品では、一般的な別のねぎを使っておりました。
再調査では、仕入れの関係で九条ねぎが手に入らない場合、別のねぎを使うことを調理の担当者がサービスの担当者に伝えていたものの、サービス担当者が添えものの野菜の変更までは客に伝えなくても問題ないだろうと判断したとしております。
大阪市内の公立病院のレストランで提供されていた「天ぷらそば」は、メニューでは信州産のそばを使っているとしておりましたが、実際には、ほかの地域や中国産のそばを使っておりました。
再調査によりますと、調理担当者が交代してそばを変えたのにメニューの表示を確認せず、信州という表示がそのまま残ったとしております。
「手作りチョコソース」をうたったデザートには、実際には既製品のチョコレートソースが使われておりました。
再調査によりますと、当初は既製品にひと手間かけていたため、メニュー表示の担当者が「手作り」と書きましたが、その後、既製品をかけるだけになっても、表示に反映されなかったということです。
このほか、2種類の豚肉では、業者が偽って納入したり勘違いで別の種類の豚肉に変更したりしていたということです。
メニューの表示と異なる食材を使っていた問題は、他にも広がりを見せております。
その背景には、「多少のごまかしOK」と言う風潮がある様で、10月26日付けの産経新聞が取り上げておりましたので、ご紹介させていただきます。
◎「多少のごまかしOK」の風潮 メニュー表記に厳格な法規制なく
(産経新聞 2013.10.26 16:17)
阪急阪神ホテルズ系列のレストランでメニューと異なる食材が使われた問題は、満を持して行ったはずの社長会見も説得力を欠き、事態収拾の兆しが見えてこない。安価なバナメイエビをシバエビとして提供しながら「偽装ではなく誤表示」と強調する姿勢は、少なくとも消費者感覚とはかけ離れている。ザ・リッツ・カールトン大阪でも同様の虚偽表示が発覚するなど、問題はほかのホテルにも波及しているが、メニュー表記には厳格な法規制がないのが現状だ。
◇「船場吉兆」との違い
産地偽装をめぐっては不正競争防止法に罰則規定がある。みそ漬けの牛肉産地を偽った料亭「船場吉兆」も、中国産ウナギを国産とした水産物販売会社「魚秀」も同法違反罪で関係者に刑事罰が科されている。
今回、阪急阪神が問題を公表した47品目のうち、こうした産地偽装などで同法に抵触する可能性があるのは25品目。代表的なのは「霧島ポーク」「沖縄まーさん豚」「九条ねぎ」「信州そば」と表示しながら他県産のものを使用していたケースだ。
ただ同法の対象は、市場に流通している「商品」の場合が多く、レストランで提供される「料理」に適用された例はほとんどないとみられる。先の船場吉兆も事件になったのは贈答品のみそ漬けだった。
◇JAS法は対象外
産地偽装でないとしても、冷凍保存した魚を解凍して「鮮魚のムニエル」などと提供していたのは、消費者からすれば違和感は強い。しかし食品表示を規定したJAS法に鮮魚の定義はなく、ただちに違法とはいえない。逆に同法が言う「生鮮食品」には解凍した魚が含まれ、食品衛生法上も冷凍の魚は「鮮魚介類」に分類されているほど。
JAS法の対象は主に容器・包装の状態でスーパーなどで小売される食材、加工食品。レストランメニューは詳細な表示基準を定めた同法の枠外にある。
結局、適用されるのは、不当表示から消費者の利益を保護する景品表示法。実際よりも著しく優良であるかのように装い、不当に客を誘導する「優良誤認」があったか否か。消費者庁はこの観点から事実関係を調査中。違反があれば措置命令を出すことも検討する。
◇早期の法整備訴え
食品偽装問題に詳しい関西大の郷原信郎特任教授も「鮮魚」については「発達した今の冷凍技術を考えれば、解凍した魚に鮮度がないとは言い切れない」と不当表示にはならないとの見解。ただ、ブランド食材をうたいながら産地が違う品目は「優良誤認」にあたる可能性が高いとする。
一方、「飲食店のメニューに厳格なルールがないのが問題」と話すのは食品表示に精通する石川直基弁護士(大阪弁護士会)。「飲食業界では『多少のごまかしはOK』との風潮がはびこっている」と早期の法整備を訴える。
阪急阪神の出崎弘社長らホテル側の責任者は「誤表示」と主張。利益優先の意図的な偽装ではないと譲らなかった。ただ、そもそも不正競争防止法、JAS法、景品表示法のいずれも誤表示と偽装を区別しているわけではなく、事実関係を問題としている。誤表示と言い張ることは、法的には意味がない。石川弁護士は「阪急阪神に商道徳の問題があったのは明らか。『誤表示』と強弁するところに、食品表示の軽視が透けて見える」と批判した。
この問題で、「阪急阪神ホテルズ」は、メニューの表示と異なる食材を使っていた47件のうち6件で従業員の意図や経緯などについて再調査を進めてきました。
出崎社長は28日夜に会見し、再調査で従業員の意図的な偽装はなかったことが確認できたとする一方で「、多くのお客様への裏切り行為にほかならず、表示の誤りを超えており、偽装と受け取られてもしかたがない」と述べ、改めて謝罪しました。
そのうえで、信用失墜が阪急阪神グループ全体に及んでいる責任を取るとして、来月1日付けで社長を辞任することを明らかにしました。
一連の問題が起きた要因については、正確な表示の意識に欠けていたことや、部門間での情報伝達が不足していたなどとしたうえで、「客の視点に立ったチェックが不足していた」と述べました。
さらに、背景として、経営統合を繰り返して今の会社ができたため、社内の融和を図ることが重視され、「従業員が過ちを犯すことを前提にした審査やチェックの態勢が欠けていた」と述べました。
一方、出崎社長は、再調査の対象とならなかった41件のうち、経緯が不明確なものについて、今後、会社として追加の再調査を行う方針であることを明らかにしました。
◇問題が浮き彫りに
今回、6件のメニューを対象に行われた再調査では、業界の習わしにとらわれた思い込みや、部門間の情報伝達の不足といった問題が浮き彫りになりました。
「芝エビ」を使ったとする中国料理のコースメニューの1品には、「バナメイエビ」という安いエビが使われておりました。
今月24日の記者会見で「偽装ではないのか」という質問が相次ぎ、会社側は、再調査の実施を余儀なくされました。
再調査で、調理担当者は、「バナメイエビであることは認識していたが、小さなエビは芝エビと呼ぶものと思い込んでいた」と話したということです。
28日夜の会見では、中国料理を担当する調理部門の責任者が登場し、「芝エビは小エビの総称という認識でおりました」と、ひと言だけ説明する場面もありました。
京野菜の1つ、「九条ねぎ」を鶏料理に添えたパーティー料理の1品では、一般的な別のねぎを使っておりました。
再調査では、仕入れの関係で九条ねぎが手に入らない場合、別のねぎを使うことを調理の担当者がサービスの担当者に伝えていたものの、サービス担当者が添えものの野菜の変更までは客に伝えなくても問題ないだろうと判断したとしております。
大阪市内の公立病院のレストランで提供されていた「天ぷらそば」は、メニューでは信州産のそばを使っているとしておりましたが、実際には、ほかの地域や中国産のそばを使っておりました。
再調査によりますと、調理担当者が交代してそばを変えたのにメニューの表示を確認せず、信州という表示がそのまま残ったとしております。
「手作りチョコソース」をうたったデザートには、実際には既製品のチョコレートソースが使われておりました。
再調査によりますと、当初は既製品にひと手間かけていたため、メニュー表示の担当者が「手作り」と書きましたが、その後、既製品をかけるだけになっても、表示に反映されなかったということです。
このほか、2種類の豚肉では、業者が偽って納入したり勘違いで別の種類の豚肉に変更したりしていたということです。
メニューの表示と異なる食材を使っていた問題は、他にも広がりを見せております。
その背景には、「多少のごまかしOK」と言う風潮がある様で、10月26日付けの産経新聞が取り上げておりましたので、ご紹介させていただきます。
◎「多少のごまかしOK」の風潮 メニュー表記に厳格な法規制なく
(産経新聞 2013.10.26 16:17)
阪急阪神ホテルズ系列のレストランでメニューと異なる食材が使われた問題は、満を持して行ったはずの社長会見も説得力を欠き、事態収拾の兆しが見えてこない。安価なバナメイエビをシバエビとして提供しながら「偽装ではなく誤表示」と強調する姿勢は、少なくとも消費者感覚とはかけ離れている。ザ・リッツ・カールトン大阪でも同様の虚偽表示が発覚するなど、問題はほかのホテルにも波及しているが、メニュー表記には厳格な法規制がないのが現状だ。
◇「船場吉兆」との違い
産地偽装をめぐっては不正競争防止法に罰則規定がある。みそ漬けの牛肉産地を偽った料亭「船場吉兆」も、中国産ウナギを国産とした水産物販売会社「魚秀」も同法違反罪で関係者に刑事罰が科されている。
今回、阪急阪神が問題を公表した47品目のうち、こうした産地偽装などで同法に抵触する可能性があるのは25品目。代表的なのは「霧島ポーク」「沖縄まーさん豚」「九条ねぎ」「信州そば」と表示しながら他県産のものを使用していたケースだ。
ただ同法の対象は、市場に流通している「商品」の場合が多く、レストランで提供される「料理」に適用された例はほとんどないとみられる。先の船場吉兆も事件になったのは贈答品のみそ漬けだった。
◇JAS法は対象外
産地偽装でないとしても、冷凍保存した魚を解凍して「鮮魚のムニエル」などと提供していたのは、消費者からすれば違和感は強い。しかし食品表示を規定したJAS法に鮮魚の定義はなく、ただちに違法とはいえない。逆に同法が言う「生鮮食品」には解凍した魚が含まれ、食品衛生法上も冷凍の魚は「鮮魚介類」に分類されているほど。
JAS法の対象は主に容器・包装の状態でスーパーなどで小売される食材、加工食品。レストランメニューは詳細な表示基準を定めた同法の枠外にある。
結局、適用されるのは、不当表示から消費者の利益を保護する景品表示法。実際よりも著しく優良であるかのように装い、不当に客を誘導する「優良誤認」があったか否か。消費者庁はこの観点から事実関係を調査中。違反があれば措置命令を出すことも検討する。
◇早期の法整備訴え
食品偽装問題に詳しい関西大の郷原信郎特任教授も「鮮魚」については「発達した今の冷凍技術を考えれば、解凍した魚に鮮度がないとは言い切れない」と不当表示にはならないとの見解。ただ、ブランド食材をうたいながら産地が違う品目は「優良誤認」にあたる可能性が高いとする。
一方、「飲食店のメニューに厳格なルールがないのが問題」と話すのは食品表示に精通する石川直基弁護士(大阪弁護士会)。「飲食業界では『多少のごまかしはOK』との風潮がはびこっている」と早期の法整備を訴える。
阪急阪神の出崎弘社長らホテル側の責任者は「誤表示」と主張。利益優先の意図的な偽装ではないと譲らなかった。ただ、そもそも不正競争防止法、JAS法、景品表示法のいずれも誤表示と偽装を区別しているわけではなく、事実関係を問題としている。誤表示と言い張ることは、法的には意味がない。石川弁護士は「阪急阪神に商道徳の問題があったのは明らか。『誤表示』と強弁するところに、食品表示の軽視が透けて見える」と批判した。
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