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「はだしのゲン」閲覧制限、賛否両論
 漫画「はだしのゲン」の一部に過激な表現があるとして、松江市教育委員会が、小中学校の図書室で自由に読むことができない措置をとるよう学校側に要請していた問題で、松江市教育委員会は、26日開いた臨時会議で、「要請が事務局だけで決定されるなど手続きに不備がある」として、要請を撤回するのが妥当だとする結論をまとめました。

 この問題は、中沢啓治さんの漫画、「はだしのゲン」について、松江市教育委員会の前の教育長が、「一部に過激な描写がある」として、去年12月に開かれた小・中学校の校長会で、子どもが図書室などで、自由に読むことができない「閉架」の措置をとるよう要請していたものです。

 この要請は、市教育委員会の事務局だけで決定されていたことなどから、大学の名誉教授など5人で構成する教育委員会は、26日、臨時の会議を開き、対応を協議しました。

 この中では、要請が事務局だけで決定され、教育委員に報告されていなかったことは、「慎重さに欠けていた」と委員全員から指摘されました。

 また、「閲覧の制限を行うかどうかは、それぞれの学校が決めるべきだ」という意見が出されました。

 そのうえで、会議では、「要請が事務局だけで決定されるなど手続きに不備がある」として、要請を撤回するのが妥当だとする結論をまとめました。

 また、今後の取り扱いについては「各学校の自主性を尊重する」としております。

 教育委員会会議のあと、記者会見した松江市の清水伸夫教育長は、「今回の件で、混乱を生じさせたことを改めておわびします」と述べました。

 そのうえで、清水教育長は、「学校の自主性を尊重するという結論に至ったので、今後は、児童や保護者にどう説明するかを、学校としっかりと協議していきたい」と述べました。

 また、松江市教育委員会の内藤富夫委員長は、「手続きには不備があったが、当時の担当者が十分に考えて行った措置であったので、間違っていないと思う」と述べたうえで、「今後、学校の対応について、しっかりと見守っていきたい」と話しました。

 漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さんの妻のミサヨさん(70)は、「松江市教育委員会の要請が撤回されて、本当によかったです。夫は『ゲン』を通して、戦争や原爆のことを知ってほしいと、子どもたちにも分かるように、絵やストーリーを考えて作品を描きました。これからも、子どもたちに自由に手にとって読んでもらいたい」と話しました。

 「はだしのゲン」の閲覧制限は撤回されましたが、それでも賛否は両論ある様です。産経新聞がその背景を伝えておりますので、ご紹介させていただきます。

◎「はだしのゲン」閲覧制限撤回
 賛否渦巻く「反天皇」記述に学習指導要領違反の指摘も
 (産経新聞 2013.8.26 22:20)

 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」をめぐり、松江市教委が閲覧制限の要請を撤回した26日、関係者の間で市教委の決定への支持が広がったものの、作品に流れる思想や暴力描写から「学校図書として問題」との指摘も根強く、賛否はいまだ渦巻く。一方、作中には昭和天皇をあしざまに罵(ののし)る表現が目立つ。有識者からは「『天皇に対する理解と敬愛の念を深める』とうたう学習指導要領を逸脱している」として、改めて議論を求める声も上がった。

◇問題ある図書」
 26日の教育委員会会議は前回会議を上回る約40人の傍聴人が席を埋めた。会議後の会見で、内藤富夫委員長(島根大名誉教授)は事務局が要請の理由とした作中の表現について「過激な描写の問題はあるが、どう教育に使うかは学校の自主性に任せればいい」と指摘した。

 しかし有識者からは異論が上がった。政治学者の岩田温(あつし)・秀明大専任講師(29)は作品について「特定の思想傾向が強い漫画で、歴史学的に間違いがある」と指摘。市教委が当初、過激で不適切として閲覧制限を決めた、旧日本軍の兵士が首を刀で切り落とし、女性に乱暴して惨殺する−という描写を問題視した。

 岩田講師は「旧日本軍の一部に逸脱した行為があった可能性はあるが、まるで軍全体の方針であったかのように描かれている。児童生徒に積極的に読ませる書物なのか」と話した。

 閲覧制限を支持してきた被爆者や被爆2世らでつくる「平和と安全を求める被爆者たちの会」(広島市)の池中美平(びへい)副代表(63)は「原爆の悲惨さを強調するのはいい」と前置きした上で、「作品は非道な原爆投下を日本人の責任にする偏った思想の宣伝道具だ。学校図書とするのは問題だ」と指摘した。

◇決定に安堵の声
 閲覧制限要請の撤回を支持する声も聞かれた。

 東京工芸大芸術学部マンガ学科の細萱(ほそがや)敦教授(50)は「忘れてはならない歴史を扱った名作で、小説などよりも戦争や原爆投下への理解を深める入り口になる」と指摘。社団法人・日本図書館協会「図書館の自由委員会」の西河内靖泰(にしごうち・やすひろ)委員長(59)は「知る自由を保障するのが図書館の役割。撤回は賢明な判断だ」と評価した。

 作者、中沢啓治さんの妻、ミサヨさん(70)も「うれしい。早く子供たちが読みたいときに読めるようにしてほしい」と安堵(あんど)。元中学の教員で広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長(88)は「撤回は評価できる」とし、現場の校長や教員に対し「これを機会に作品を読み込み、原爆や平和についての理解を深め、今回のような圧力に負けないようにすべきだ」と求めた。

◇「もっと議論を」
 一方、作中で「いまだに戦争責任をとらずにふんぞりかえっとる天皇」「殺人罪で永久に刑務所に入らんといけん奴はこの日本にはいっぱい、いっぱいおるよ。まずは最高の殺人者天皇じゃ」「あの貧相なつらをしたじいさん」といった表現があることについて、学習指導要領に照らして問題とする意見が上がる。

 藤岡信勝・拓殖大客員教授(教育学)は「天皇についての理解と敬愛の念を深めると明記する学習指導要領に明確に違反する。『表現の自由』の観点から慎重さは必要だが、このような本を子供が利用する学校図書館に置くことの是非についてもっと議論がわき起こっていい」と話した。
| 福祉・医療と教育 | 04:46 | comments(0) | trackbacks(0) |









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