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政府、過去最大規模の新年度予算案を決定
 政府は29日、一般会計の総額で92兆6115億円と、当初予算案としては、過去最大の規模となる新年度予算案を決定しました。

 厳しい財政事情のなか、公共事業費を4年ぶりに増額するなど、景気てこ入れのため、積極的な財政出動を図る安倍政権の姿勢が鮮明になっております。

 政府は29日夕方、臨時の閣議を開き、新年度予算案を正式に決定しました。

 一般会計の総額は92兆6115億円に上り、当初予算案としては、最も大きかった平成23年度を上回り、過去最大の規模になりました。

 歳出は、国や地方の政策に充てる「政策的経費」が今年度に比べて1兆9803億円多い70兆3700億円、国債の償還や利払いのための「国債費」が2973億円増えて22兆2415億円です。

 政策的経費では、4年ぶりに増額した5兆2000億円の公共事業費や、基礎年金の国の負担を維持するための経費2兆6000億円が全体を押し上げました。

 一方、先の民主党政権のときの1兆円近い予備費は計上せず、地方交付税も減額しました。

 また、国債費は、想定する金利を過去最低の1.8%に下げ、伸びを抑制しております。

 歳入は、税収が今年度より7500億円多い43兆960億円です。

 借金に当たる国債の新規発行額は、1兆3930億円減って42兆8510億円などとなっております。

 さらに、年金の国の負担を維持するため、2兆6110億円の国債が発行されますが、将来の消費税率引き上げを財源に充てるとして国債発行額から除外したため、税収が国債発行額を4年ぶりに上回る形になりました。

 このほか、特別会計に計上される震災復興予算は、今年度より6086億円多い4兆3840億円となりました。

 新年度予算案は、先の緊急経済対策と合わせ、15か月予算という位置づけで、政権の発足からほぼ1か月で編成されましたが、先の民主党政権が掲げた「国債発行額44兆円以下」の枠組みを維持し、新政権としても財政再建に取り組む姿勢を示しました。

 一方、歳入の国債への依存度は、過去4番目に高い46.3%に達し、厳しい財政事情でも公共事業の増額など積極的な財政出動を図る安倍政権の姿勢が鮮明になっております。

 政府は、新年度予算案を来月末をめどに、国会に提出することにしております。

◇歳出の主な内訳
 社会保障費は29兆1224億円と、今年度より10.4%、金額では2兆7323億円増えました。

 これは、基礎年金の国の負担を2分の1に維持するための経費が計上されたことや、高齢化の進展に伴う医療費の増加などが主な要因です。

 また、公共事業費は5兆2853億円と、今年度より15.6%、金額で7119億円増加します。
老朽化した橋やトンネルの改修や、地震への備えなどを強化するためで、公共事業費が増額するのは4年ぶりのことです。

 さらに、防衛費は4兆7538億円となり、0.8%増えました。
アメリカ軍関係の経費を除けば、11年ぶりの増額となります。

 自治体に交付される地方交付税は16兆3927億円となり、今年度より1.2%、金額で2013億円の減少となりました。

 これは、麻生副総理兼財務大臣と新藤総務大臣による27日の折衝で、ことし7月から地方公務員の給与を国家公務員並みに削減することを念頭に減額されたものです。

 この地方交付税はいったん特別会計に入れられ、実際には今年度より3921億円少ない17兆624億円が自治体に交付されます。

 一方で、自治体が行う防災・減災事業や地域経済の活性化に充てる事業を新たに創設し、合わせて7600億円が計上されました。

 また、文化と教育関連、それに科学技術関連予算が5兆3687億円と、今年度より0.8%減ったほか、ODA(政府開発援助)も5573億円と、0.7%少なくなっております。

◇膨張する国債発行残高750兆円に
 新年度予算案は、借金に当たる国債の発行額が4年ぶりに税収を下回ったものの、依然として歳入の半分近くを借金に頼った結果、国の財政状況は一段と悪化することになります。

 政府は新年度予算案で、財政再建に取り組む姿勢を明確にするため、国債の新規発行額を42兆8510億円に抑え、民主党政権が編成した今年度当初予算に比べ、およそ1兆4000億円減らしました。

 その結果、国債の発行額は4年ぶりに税収を下回りましたが、歳入のうち国債に依存する割合は46.3%に上り、借金頼みの厳しい財政状況に変わりありません。

 これに加えて、基礎年金の国の負担分を2分の1に維持するための財源として2兆6000億円余りの国債が発行されるほか、緊急経済対策を実施するために今年度に組まれた補正予算案の財源となる国債の多くが、新年度に発行されることになっております。

 その結果、国の借金は一段と膨らんで、新年度末の国債発行残高は750兆円に達する見通しになりました。

 これは、国の税収のおよそ17年分に当たり、国民1人当たりでおよそ589万円の借金を抱える計算です。

 さらに国と地方を含めた長期債務残高は、977兆円に達する見通しです。

◇財政再建への取り組み大きな課題に
 国の財政が一段と悪化するなか、安倍内閣にとっては、増え続ける社会保障費の扱いなど、財政再建にどう取り組むかが今後の大きな課題となります。

 政府の新年度予算案では、少子高齢化に伴って年金や医療、介護などに充てる社会保障費が今年度より10%以上増えて29兆円余りに上り、増加が続いております。

 この社会保障費に、国債の返済などに充てる費用や、自治体への仕送りに当たる地方交付税を加えた3つの経費の割合は、歳出全体の73.1%を占めるまでになりました。

 その結果、ほかの政策に十分な予算を充てられず、政策の自由度が小さくなる「財政の硬直化」が一段と進んでおります。

 安倍内閣は、財政の悪化を食い止めるため、経済財政諮問会議がことし6月にまとめる「骨太の方針」に新たな財政再建策を盛り込む方針で、歳出削減の道筋をどう示すかが注目されます。

 特に、社会保障費は毎年およそ1兆円ずつ増えることが見込まれているため、新たに設置された「社会保障制度改革国民会議」の議論を踏まえながら、給付の抑制などにどこまで踏み込めるかが焦点となります。

◇“超大型予算は疑問持続的成長考える必要”
 新年度予算案について、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐敬喜調査本部長は、「予算は本来、補正予算も含めて考えるべきで、両方合わせると100兆円を超える超大型の予算だ。日本の景気は去年の終わりごろに底を打って、今は再び回復局面に戻っており、このタイミングで超大型予算を組んで、景気を刺激する必要があるのか疑問だ」と指摘しております。

 そのうえで、五十嵐さんは、「このようなカンフル剤は一時的な効果しかなく、どうやって持続的に成長していくかを考える必要があり、民間の活動を政府がどうやってサポートしていくかを考えなければいけない」と話しております。

 政府は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度までに黒字化する目標堅持を2013年度予算の基本方針として閣議決定しております。

 2013年度予算のプライマリーバランスは23兆2206億円の赤字ですが、24兆8968億円の赤字だった2012年度当初予算からは改善しました。プライマリーバランスの改善は2011年度以来、2年ぶりとなります。

 また、生活保護は2015年度まで3年かけて生活扶助基準の適正化を進めますが、2013年度予算では見直しに伴い、合計で前年度から740億円の削減効果を見込んでおります。

 すでに10兆円の財政支出を伴う2012年度補正予算を編成したこともあって、経済危機対応・地域活性化予備費は廃止しました。

 また、増える経費で目立つのは公共事業関係費で、2012年度から15.6%増の5兆2853億円となっております。

 トンネルや橋梁など道路の維持管理を充実させるほか、河川の管理施設も同様に取り組みますが、民主党政権が導入した地方への交付金を廃止することで公共事業関係費の財源にします。

 地方への交付金を加味した公共事業関係費は2012年度で5兆2285億円となり、2013年度予算では実質的に公共事業関係費が微増となります。

 社会保障関係費も29兆1224億円に拡大しました。

 基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げる分を含んでおり、東日本大震災からの復興事業は一般会計とは別に特別会計で予算編成しました。

 2015年までの事業費は民主党政権時代の19兆円を超え、25兆円程度に拡充します。財源は日本郵政株の売却収入や剰余金を充てます。

 2013年度予算案の国会提出は早くても2月末になる見通しで、3000ページに及ぶという予算書の作成に時間を取られることが響くとの事です。

 政府が29日に閣議決定した2013年度予算案について、経済3団体のトップからは、経済成長の加速と財政再建への配慮のバランスがとれていると評価する声が相次ぐとともに、規制緩和など成長戦略の実行を求める意見も出ました。

 経団連の米倉弘昌会長は、「経済再生を目指し、成長と富の創出の好循環を生み出す方向への大胆な転換を歓迎する。歳出抑制に取り組み、4年ぶりに税収が新規国債発行額を上回ったことも評価したい」とのコメントを発表しました。

 日本商工会議所の岡村正会頭も、「メリハリの効いた編成」と評価しました。

 経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事は、「財政出動はあくまで当面の経済対策で、抜本的な経済対策は規制・制度改革を含めた成長戦略の実行」と注文を付けました。
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