2011.07.11 Monday
ストレステストの影響
菅直人首相が指示した、原子力発電所の安全性を確認する「ストレステスト」ですが、東日本大震災発生後の日本経済の下振れリスクに、電力の安定供給問題がある事は明らかです。
日本経済に与える深刻な影響をについて、産経新聞に詳しく伝える記事がありましたので、ご紹介させていただきます。
◎日本経済沈没の危機 原発ストレステスト、産業空洞化加速の恐れ(産経新聞 2011.7.8 21:52)
菅直人首相が打ち出した全国の原子力発電所へのストレステスト(耐性検査)は、大幅な電力不足につながり、心配されてきた産業空洞化を加速させる恐れがある。8日には、ストレステストの実施を受けて、四国電力伊方原発や九州電力川内原発が当面の再稼働を断念した。
電力不足で企業は節電を強いられ、徐々に回復に向かいつつあった生産活動は落ち込む。脱原発による火力発電への依存は電気料金を引き上げ、世界市場で競争する企業にとっては重荷だ。企業は海外脱出を検討し始めており、産業空洞化が雇用の悪化や消費の低迷に拍車をかければ、「日本経済沈没」の危機も現実味を帯びてくる。
・生産を直撃
「天災で止まった茨城の工場とは事情が違う。熊本の工場が止まれば、明らかな人災だ」。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの担当者は憤る。
東日本大震災で那珂工場(茨城県)が停止したルネサスは、熊本川尻工場(熊本市)をはじめ、九州に多くの工場を集積している。九電管内に電力の使用制限がかかれば大きな打撃だ。
ストレステストの影響は、どこまで広がるか見通せなくなっている。九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市の市長が、「何をどうしていいか分からなくなった」と1号機の再稼働に消極的になり、四国電力が10日に予定していた定期点検中の伊方原発3号機の再稼働を延期したのも、不安が現実化した形だ。
「シリコンアイランド」と呼ばれる九州には、東芝やソニーも生産拠点を構える。「半導体生産は24時間の電力供給が前提」(ソニー)だけに、電力不足は国際競争力の低下に直結する。関東地方に主力工場を抱え、九州での代替生産に期待をかけている日産自動車も、九州での電力不足を不安視する。
「電力制限が長期化すれば、製品供給に影響が出る可能性がある」。関西や九州などで牛乳や乳製品を生産する雪印メグミルクの担当者は、こう打ち明ける。鉄スクラップを原料に鉄鋼を生産する電炉メーカーも原発依存度の高い関西に集中し、原発停止が広がれば生産はままならない。
・揺らぐ輸出
製造業への逆風は、日本の産業構造そのものを揺るがす。財務省が8日に発表した5月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字額が前年同月比51.7%減で、3カ月連続減少した。東日本大震災で自動車や半導体の製造、輸出が落ち込んだうえ、原発停止にともなう火力発電所へのシフトで、原油や液化天然ガス(LNG)などの燃料の輸入が増えたのも原因だ。
定期検査終了後の原発が再稼働できなかった場合、来春にはすべての原発が止まり、電力不足がさらに生産の足を引っ張る。少ない電力しか使えなければ「生産量を落とさざるをえない」という企業も多く、SMBC日興証券は、来年8月には節電で生産が約4%落ち込むと試算する。
エネルギー資源に乏しい日本は燃料を輸入に頼らざるをえないが、全原発が停止すれば平成24年度の燃料費は今年度よりも3.5兆円増えるとされ、経済産業省幹部は「それだけの国富が海外に流出するということ。穴埋めは国民負担になる」と指摘する。
火力発電シフトは二酸化炭素(CO2)の排出量も増やす。日本エネルギー経済研究所は、国内で原発が新設されなければ、同62(2050)年の年間CO2排出量は原発推進のケースよりも2.5億トン多くなるという。1トン当たり9.7万円の削減コストも国民負担だ。
・負の悪循環
こうした負担増の行き着く先は、消費の冷え込みや失業率の悪化だ。5月の消費者物価指数は、電気料金の値上げなどで前年同月比0.6%増と2カ月連続上昇し、消費の冷え込みにつながる恐れがある。
一方、5月の完全失業率は、岩手、宮城、福島の被災3県を除き、前月比0.2ポイント下がって4.5%になったが、被災3県を含めれば震災で急増した求職者に求人が追い付かず、「恒久的な雇用を生む産業振興が急務」(厚生労働省)になっている。雇用の落ち込みを放置すれば、個人消費をさらに冷え込ませ、景気を落とし込む悪循環に陥る。
「原発推進は国策だったはずだが、全国どこでも電力不足。『海外に出て行け』ということか、これでは雇用など守れない」。大手自動車メーカー幹部はこう吐き捨てる。21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹は「工場が国内に残っても生産の多くは海外に移り、国内の関連企業の受注は減る。産業空洞化はすぐそこにある危機だ」と訴える。
◇
■原発のストレステスト(耐性検査)
地震や津波などへの耐性と安全性を机上で実験する。欧州連合(EU)が域内で6月から実施し、最終報告まで7カ月かかる見込み。日本の自治体には、テスト結果が出なければ再稼働を認めないとの動きもある。
日本経済に与える深刻な影響をについて、産経新聞に詳しく伝える記事がありましたので、ご紹介させていただきます。
◎日本経済沈没の危機 原発ストレステスト、産業空洞化加速の恐れ(産経新聞 2011.7.8 21:52)
菅直人首相が打ち出した全国の原子力発電所へのストレステスト(耐性検査)は、大幅な電力不足につながり、心配されてきた産業空洞化を加速させる恐れがある。8日には、ストレステストの実施を受けて、四国電力伊方原発や九州電力川内原発が当面の再稼働を断念した。
電力不足で企業は節電を強いられ、徐々に回復に向かいつつあった生産活動は落ち込む。脱原発による火力発電への依存は電気料金を引き上げ、世界市場で競争する企業にとっては重荷だ。企業は海外脱出を検討し始めており、産業空洞化が雇用の悪化や消費の低迷に拍車をかければ、「日本経済沈没」の危機も現実味を帯びてくる。
・生産を直撃
「天災で止まった茨城の工場とは事情が違う。熊本の工場が止まれば、明らかな人災だ」。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの担当者は憤る。
東日本大震災で那珂工場(茨城県)が停止したルネサスは、熊本川尻工場(熊本市)をはじめ、九州に多くの工場を集積している。九電管内に電力の使用制限がかかれば大きな打撃だ。
ストレステストの影響は、どこまで広がるか見通せなくなっている。九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市の市長が、「何をどうしていいか分からなくなった」と1号機の再稼働に消極的になり、四国電力が10日に予定していた定期点検中の伊方原発3号機の再稼働を延期したのも、不安が現実化した形だ。
「シリコンアイランド」と呼ばれる九州には、東芝やソニーも生産拠点を構える。「半導体生産は24時間の電力供給が前提」(ソニー)だけに、電力不足は国際競争力の低下に直結する。関東地方に主力工場を抱え、九州での代替生産に期待をかけている日産自動車も、九州での電力不足を不安視する。
「電力制限が長期化すれば、製品供給に影響が出る可能性がある」。関西や九州などで牛乳や乳製品を生産する雪印メグミルクの担当者は、こう打ち明ける。鉄スクラップを原料に鉄鋼を生産する電炉メーカーも原発依存度の高い関西に集中し、原発停止が広がれば生産はままならない。
・揺らぐ輸出
製造業への逆風は、日本の産業構造そのものを揺るがす。財務省が8日に発表した5月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字額が前年同月比51.7%減で、3カ月連続減少した。東日本大震災で自動車や半導体の製造、輸出が落ち込んだうえ、原発停止にともなう火力発電所へのシフトで、原油や液化天然ガス(LNG)などの燃料の輸入が増えたのも原因だ。
定期検査終了後の原発が再稼働できなかった場合、来春にはすべての原発が止まり、電力不足がさらに生産の足を引っ張る。少ない電力しか使えなければ「生産量を落とさざるをえない」という企業も多く、SMBC日興証券は、来年8月には節電で生産が約4%落ち込むと試算する。
エネルギー資源に乏しい日本は燃料を輸入に頼らざるをえないが、全原発が停止すれば平成24年度の燃料費は今年度よりも3.5兆円増えるとされ、経済産業省幹部は「それだけの国富が海外に流出するということ。穴埋めは国民負担になる」と指摘する。
火力発電シフトは二酸化炭素(CO2)の排出量も増やす。日本エネルギー経済研究所は、国内で原発が新設されなければ、同62(2050)年の年間CO2排出量は原発推進のケースよりも2.5億トン多くなるという。1トン当たり9.7万円の削減コストも国民負担だ。
・負の悪循環
こうした負担増の行き着く先は、消費の冷え込みや失業率の悪化だ。5月の消費者物価指数は、電気料金の値上げなどで前年同月比0.6%増と2カ月連続上昇し、消費の冷え込みにつながる恐れがある。
一方、5月の完全失業率は、岩手、宮城、福島の被災3県を除き、前月比0.2ポイント下がって4.5%になったが、被災3県を含めれば震災で急増した求職者に求人が追い付かず、「恒久的な雇用を生む産業振興が急務」(厚生労働省)になっている。雇用の落ち込みを放置すれば、個人消費をさらに冷え込ませ、景気を落とし込む悪循環に陥る。
「原発推進は国策だったはずだが、全国どこでも電力不足。『海外に出て行け』ということか、これでは雇用など守れない」。大手自動車メーカー幹部はこう吐き捨てる。21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹は「工場が国内に残っても生産の多くは海外に移り、国内の関連企業の受注は減る。産業空洞化はすぐそこにある危機だ」と訴える。
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地震や津波などへの耐性と安全性を机上で実験する。欧州連合(EU)が域内で6月から実施し、最終報告まで7カ月かかる見込み。日本の自治体には、テスト結果が出なければ再稼働を認めないとの動きもある。
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