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高齢者の1人暮らしの割合 2040年の東京では約3割に
 21年後の2040年の世帯数などについて、都道府県別の推計を国の研究所がまとめました。すべての都道府県で高齢者に占める1人暮らしの人の割合が上昇し、とくに東京ではおよそ3割に上るとしています。

 「国立社会保障・人口問題研究所」は5年に1度、国勢調査をもとに将来の日本の世帯数などを推計していて、今回は21年後の2040年までの結果を都道府県別にまとめました。

 それによりますと、2015年に5333万世帯だった全国の世帯数は、2040年には5075万世帯に減少すると推計しています。

 全世帯のうち世帯主が65歳以上の割合は、2015年に36%だったのが2040年には44.2%まで上昇し、東京と愛知を除く45の道府県で40%以上になるとされました。

 このうち、秋田で57.1%、青森で53.6%、山梨で51.9%など、合わせて10の県では50%を超えるということです。

 また、65歳以上の高齢者に占める1人暮らしの人の割合もすべての都道府県で上昇し、2015年に18.5%だったのが2040年には22.9%になるとしています。

 都道府県別で最も高かったのは東京で29.2%と、高齢者のおよそ3割が1人暮らしになるということです。

 背景には結婚したことがない未婚の高齢者の増加もあげられ、家族の支援がない1人暮らしの高齢者をどう支えていくかが大きな課題となっています。

◇専門家「地域で支え合う仕組みを」
 高齢者の1人暮らしの割合が上昇していくことについて、政策研究大学院大学の松谷明彦名誉教授は、「単身だと病気になったり介護が必要になったりした時に対応できなくなるおそれがあり、経済的にも精神的にも厳しい状況に陥りやすい」と指摘しています。

 そのうえで、松谷名誉教授は、「若い人が減り高齢者が増えていくため、年金などの社会保障で高齢者のすべてを支えることが限界になってくる。家族や親戚も頼れない人を支えるために地域の中でお互いに助け合う仕組みを考えて、新たに構築する必要がある」と話しています。
| 福祉・医療と教育 | 19:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
死の定義変わるか 死後も脳の一部機能回復 ブタで実験

 アメリカなどの研究グループが、死んだブタの脳に血液の代わりとなる液体を流したところ、脳の一部の細胞が動き始め、機能が回復しているのが観察されました。

 意識や感覚など、脳の高度な機能は働いていませんでしたが、死後も脳の一部が機能していたことで、何をもって死とするのか、その定義が変わることにつながる可能性もあるとして注目されています。

 この研究は、アメリカのイェール大学などのグループが17日、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に発表しました。

 それによりますと、研究グループが特殊な装置を使って、死後4時間たったブタの脳に血液の代わりとなる液体を流し始めたところ、死後10時間の時点で海馬と呼ばれる部分など脳の一部で細胞が動き、酸素やぶどう糖を消費して神経の信号の伝達に関わる部分が働いていたのが観察されたということです。

 ただ、意識や感覚など脳の高度な機能は働いていなかったということです。

 脳細胞は、血液が流れず酸素が供給されなくなるとすぐに破壊されると考えられていましたが、研究グループは、その過程はこれまで考えられていたより緩やかだとしています。

 哺乳類のブタで死後も脳の一部で機能が回復したのが観察されたことで、将来、脳梗塞などのあとに脳の機能を維持する治療への応用が期待される一方、何をもって死とするのか、その定義が変わることにもつながる可能性があるとして注目されています。
| 福祉・医療と教育 | 07:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
社会福祉士登録証

 社会福祉士登録証が届きました。

 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験が平成31年2月3日(日曜日)に行われて合格しました。

 2年前に日本福祉大学の通信教育を受けて受験資格を取りました。

◇受験資格(第31回)

(1)4年制大学で指定科目を修めて卒業した方(平成31年3月31日までに卒業見込みの方を含みます。)

(2)2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方(平成31年3月31日までに従事する見込みの方を含みます。)

(3)社会福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方(平成31年3月31日までに卒業(修了)見込みの方を含みます。)

(4)社会福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方(平成31年3月31日までに卒業(修了)見込みの方を含みます。)

◇試験科目(第31回)(18科目群)

1)人体の構造と機能及び疾病、
2)心理学理論と心理的支援、
3)社会理論と社会システム、
4)現代社会と福祉、
5)地域福祉の理論と方法、
6)福祉行財政と福祉計画、
7)社会保障、
8)障害者に対する支援と障害者自立支援制度、
9)低所得者に対する支援と生活保護制度、
10)保健医療サービス、
11)権利擁護と成年後見制度、
12)社会調査の基礎、
13)相談援助の基盤と専門職、
14)相談援助の理論と方法、
15)福祉サービスの組織と経営、
16)高齢者に対する支援と介護保険制度、
17)児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度、
18)就労支援サービス、更生保護制度

 50を半ばを過ぎると中々覚えられなくなり苦労しました。人の2倍3倍勉強しました。学生時代よりも勉強したと思います。

 お陰様で、現場で実践経験のある先生や志を同じくした良き仲間に恵まれ一発合格出来ました。心から感謝をしております。今後は地域福祉発展のために生涯を捧げたいと思います。
| 福祉・医療と教育 | 21:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
タブレット端末使ったデジタル教科書 今年度から使用開始

 学校のデジタル化は加速するのでしょうか。今年度から、タブレット端末を使ったデジタル教科書を学校で子どもたちが使用できるようになりました。普及にはまだ課題もありますが、今後、教育現場が大きく変わる可能性があります。

 デジタル教科書は、これまでの電子黒板やデジタル教材と違い、検定を合格した紙の教科書と同じ内容が子どもたちが使うタブレット端末に取り込まれています。

 今年度から全国の学校で使用が認められました。

 埼玉県戸田市は教育のデジタル化にいち早く取り組み、市内のすべての小中学校にタブレット端末やノート型パソコンを導入しています。

 このうち戸田東小学校は、昨年度から教科書会社と協力してデジタル教科書の研究を始め、現在、4年生と5年生の授業で活用しています。

 15日は、5年生の国語で児童文学作家、新美南吉の「飴だま」という物語を題材とした授業が行われました。

 子どもたちは端末上で、気になった文章やことばを切り取って、一人一人自由にまとめて、その内容をクラスメイトと共有していました。

 また、文字のフォントも読みやすい字の大きさにしたり、色も記述の内容に合わせて変えたりしていました。

 デジタル教科書は、タブレット端末を使うことで学習を深めたり子どもたちが互いに学び合ったりできるのが特徴です。

 女子児童の1人は、「ノートを作りやすくて分かりやすいです」と話していました。

 一方で先生には、従来のように知識を教えるだけでなく、子どもたちに議論を促したり、意見などを引き出す力が求められます。

 授業を担当した岡田恵美教諭は、「タブレットがあることで子どもたちの集中力が全然、違うなと感じました。教員も説明するだけの授業だけではなく、子どもたちの自主的な力を引き出すような進行役としての役割が求められていると思いました」と話していました。

 デジタル教科書はまだ自治体による端末の整備が進んでいないため、今年度から導入した学校はまだわずかとみられますが、今後、普及が進めば、教育現場が大きく変わることが予想されます。

◇デジタル教科書とは
 子どもたちは、タブレット端末を使うことで、紙の教科書に書かれた内容だけでなく、学習を深めたり、子どもたちが互いに学び合ったりできます。

 文部科学省は、来年度から本格実施となる新しい学習指導要領が掲げる「主体的」かつ、「対話的な深い学び」や、ICTと呼ばれる情報通信技術の学校教育での活用などに役立つとしています。

 使用にあたっては、学校や教育委員会が判断しますが、子どもたちに1台ずつ端末が用意されているのが条件です。

 授業で使えるのも、健康面などへの配慮で各教科の授業時数の半数未満に制限されているため、従来の教科書と適切に組み合わせて使うことが求められています。

◇導入は全国で数十校
 今年度、デジタル教科書は12の教科書会社が小学校から高校までの国語、英語、理科などの教科で、合わせて200点ほど制作しています。

 これに対して、紙の教科書は全部で1200点ほどあるということです。

 しかし、すでに導入した学校は主に教科書会社などと連携しているところにとどまり、文部科学省が把握しているだけで全国で数十校だということです。

◇低い無線LAN整備率
 デジタル教科書の利点は、動画によって算数や理科などで実感を持って理解できるため、子どもたちの学習意欲が高まったり、正確な音声を聞くことで英語のヒアリング力向上に効果が期待できるといいます。

 さらに、文字の色や大きさを変更できたり、障害のある子どもたちに細かい配慮ができたりするともいわれます。

 一方、課題としては、通常の教科書のように無償で配布されないため、財政が厳しい自治体では、普及が進まないおそれがあります。

 また、学校のインターネットに接続する無線LANの整備率も全国で34.5%にとどまっています。

 また、動画などにより、子どもたちが受け身の姿勢で学ぶようになると逆に理解が浅くなる可能性や、視力の低下など健康面への影響が出る可能性も指摘されています。
| 福祉・医療と教育 | 07:13 | comments(0) | trackbacks(0) |
訪問介護のヘルパー 半数がハラスメント被害経験
 訪問介護のヘルパーのおよそ半数が利用者から暴力などのハラスメントの被害を受けた経験があることがわかりました。

 これは民間のシンクタンク「三菱総合研究所」が厚生労働省の補助金を受けてことし2月に行った実態調査で、「訪問介護」や「特別養護老人ホーム」などの介護現場で働く人1万人余りが回答しました。

 調査結果によりますと、このうち「訪問介護」ではおよそ半数のヘルパーが利用者からハラスメントの被害を受けた経験があると答えました。

 被害の内容は攻撃的な態度や人格の否定など「精神的暴力」が81%と最も多く、物を投げつけるといった「身体的暴力」が42%、不必要な体の接触などの「セクハラ」が37%となっています。

 また、ハラスメントを受けて仕事を辞めたいと思ったことがあるという人がおよそ3割に上りました。

 シンクタンクでは調査結果とともに被害を防ぐための事業所向けのマニュアルも作成し、複数で訪問することや何がハラスメントに当たるかあらかじめ利用者に伝えること、悪質なケースは契約を解除することなど対応策を示しています。

 厚生労働省は、「マニュアルを介護現場で活用して職場環境の改善につなげてもらいたい」としています。
| 福祉・医療と教育 | 03:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
去年 10月の待機児童 4万7000人余 前年より8000人減
 保育所などの空きを待つ「待機児童」は、去年10月の時点で全国で4万7000人余りと、前年に比べて約8000人減少しました。

 保育所などの空きを待つ待機児童の数について、厚生労働省は、年に2回、半年ごとに取りまとめて公表しています。

 それによりますと、去年10月の時点での待機児童は、全国で4万7198人と、前年の同じ時期よりも8235人少なくなり、4年ぶりに減少しました。

 都道府県別では最も多かったのが東京で1万53人(前年同期比2416人減)、次いで埼玉が3825人(同438人減)、神奈川が3793人などと(同618人減)首都圏で特に多くなっています。

 待機児童がゼロだったのは、前年と同じ富山、石川、山梨でした。

 半年前の去年4月と比べると、約2.4倍に増加していて、4月以降に入所を希望しても空きがなく待機児童となってしまうケースが目立っています。

 政府は、来年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げていて、保育の受け皿をさらに拡大する方針ですが、必要な保育士が確保できない事例も各地で生じていて、人材の確保などが引き続き課題となっています。
| 福祉・医療と教育 | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
生徒全員が免職求めた教諭 減給処分に 嘆願に関与の教諭も訓告
 繰り返し暴言を受けたり丸刈り頭にされたりしたなどと男子生徒が訴え、クラスの生徒全員と保護者が嘆願書を出して懲戒免職を求めた山口県の県立高校の教諭について、県教育委員会は、不適切な指導で体罰にあたるなどとして減給の懲戒処分にしました。

 山口県の県立下松工業高校に通う現在2年生の男子生徒は去年、担任だった男性教諭から「お前は病気だ」などと暴言を繰り返されたり、バリカンで丸刈り頭にされたりした、などと訴えました。

 そしてことし2月、同じクラスの生徒40人全員と保護者39人が、教諭を懲戒免職にするよう求める嘆願書を県教育委員会の教育長に提出しました。

 山口県教育委員会は12日記者会見を開き、教諭が生徒たちに不適切な発言を繰り返していたと認め、丸刈りは体罰にあたると指摘しました。

 そのうえで、「言動によって生徒を傷つけ、嘆願書が提出されるなど混乱を招き、教職員の信用を著しく失墜させた」として12日付けで、減給1か月、10分の1、の懲戒処分にしたと発表しました。

 嘆願書の作成には、2人の女性教諭が関わっていたことも明らかにし、「教育現場を混乱させた」などとして、当時の校長と合わせて3人をいずれも文書による訓告としました。

 山口県教育委員会の徳田充教職員課長は、「県民の皆様に深くおわび申し上げます。信頼回復に全力を尽くしたい」と述べました。

◇男子生徒「納得できぬ 女性教諭処分はおかしい」
 男性教諭から暴言を受けたという男子生徒は処分について、「正直、甘いと思います。納得できないし、懲戒免職にしてほしかった」と話していました。

 また、嘆願書の作成に関わっていた2人の女性教諭については、「僕たちにとって必要な先生が処分を受けたことはおかしいと思う」と話しました。

◇「救った先生まで処分とは…」生徒の父親
 男性教諭から暴言を受けたり丸刈り頭にされたりした生徒の父親は、「教師の言動を県教育委員会が認めてくれたことはよかったですが、息子を救ってくれた先生も訓告処分となったのは申し訳ない気持ちです。二度とこのようなことが起きないよう対処してほしい」とコメントしています。

◇校長「保護者におわび」
 下松工業高校の松本理校長は、今月15日に全校生徒の保護者を対象にした説明会を開き一連の問題について謝罪や説明を行うことを明らかにしました。

 松本校長は、「教員による不適切な指導があったことや、生徒たちの学校生活に混乱が生じたことを保護者におわびしたい。再発防止に向けて研修を重ね、体制の見直しを行いたい」とコメントしています。
| 福祉・医療と教育 | 23:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
低所得世帯の高等教育負担軽減法案 衆議院通過 今国会で成立へ
 所得の低い世帯を対象に来年4月から大学など高等教育の負担を軽くするための法案は、11日の衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られました。

 この法案は所得が低い世帯を対象に来年4月から消費税率の引き上げ分を財源にして大学などの入学金や授業料を減免し、給付型の奨学金を支給するというもので、学生や生徒の成績が著しく悪い場合は減免が取り消されます。

 11日の衆議院本会議では、まず討論が行われ、立憲民主党の会派は、「制度の対象が住民税の非課税世帯などに限定されていて中間所得層に恩恵がない。無償化とはかけ離れた偽看板だ」と批判しました。

 一方、公明党は、「真に支援が必要な低所得者世帯に対し質の高い教育を実施する大学などでの就学を支援するもので、大変意義のある制度だ」と主張しました。

 このあと採決が行われ、自民・公明両党と国民民主党、日本維新の会、希望の党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

 また、11日は国立大学の経営効率を高めるために1つの法人で複数の大学を経営できるようにするための法律の改正案なども可決されました。法案はいまの国会で成立する見通しです。
| 福祉・医療と教育 | 01:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
介護職員の平均給与が1万円余増 月額30万円余 厚労省調査
 介護職員の人手不足が課題となる中、厚生労働省が職員の去年の平均給与について調べたところ、月額で30万円余りと前の年より1万円余り増加したことがわかりました。

 厚生労働省はおととし4月から介護現場の人手不足を解消するために昇給制度を作った事業所に対して介護報酬を上乗せするなど、職員の待遇を改善するための加算を行っています。

 こうした効果を検証するため、厚生労働省が去年10月に調査をしたところ回答のあったおよそ8000の事業所のうち、加算を取得していたのは9割にのぼり、月額の平均給与は30万970円でした。

 これは前の年より1万850円増えたということですが、すべての産業の平均に比べると依然として低い水準となっています。

 介護職員の待遇改善をめぐって厚生労働省はほかにもことし10月の消費税の増税に合わせて、現場のリーダー役を担うベテランの職員について月額8万円引き上げることにしています。

◎介護職、月給30万円に でも全産業平均マイナス6万円
 (2019年04月10日 19:11 朝日新聞デジタル)

 厚生労働省は10日、昨年9月時点で常勤の介護職員の平均給与は月額30万970円で、前年同期より1万850円増えたと発表した。

 同省は昨年度行った介護報酬引き上げの効果などとみるが、全産業平均と比べると約6万5千円低い。

 調査は昨年10月、1万670の介護施設・事業所を対象に実施し、7908施設・事業所(約74%)から回答を得た。平均給与月額には賞与なども含まれる。

 厚労省は、平均給与が上がった要因として、3年に1度の介護報酬改定により介護報酬が0.54%引き上げられたことや、人材不足で有効求人倍率が全国平均で約4倍と高止まりしていることなどを挙げる。

 政府は今年10月、消費税引き上げによる増収分1千億円と介護保険料1千億円の計2千億円を使った臨時の報酬改定を予定している。

 一定の要件を満たした事業所を対象に、10年以上の経験を積んだ介護福祉士のうち少なくとも1人について月約8万円以上賃上げする加算を設ける。
| 福祉・医療と教育 | 04:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
「着床前診断」対象拡大へ 生活に著しい影響の遺伝性の病気も
 体外受精させた受精卵の遺伝子などを調べ、異常がないものを子宮に戻す「着床前診断」について、日本産科婦人科学会はこれまで、命に危険が及ぶ遺伝性の病気の子どもを出産する可能性がある場合などに限って認めてきましたが、生活に著しい影響が出る遺伝性の病気にも対象を広げる方針を決めました。

 どのケースが認められるかは個別に判断することになりますが、実施する病気の範囲の拡大に歯止めがかからなくなるのではないかと、懸念する声もでています。

 「着床前診断」は体外受精させた複数の受精卵の染色体や遺伝子を調べ、異常がないものを選んで子宮に戻す医療行為です。

 日本産科婦人科学会が医療機関から申請を受けて審査を行い、これまでは成人になるまでに命に危険が及ぶ遺伝性の病気の子どもを出産する可能性がある場合や、特定の習慣流産に限って認めてきました。

 しかし、一部の患者団体や医療機関から、目が見えなくなる病気などへの拡大を望む声が寄せられたことから、学会では生活に著しい影響が出る遺伝性の病気にも対象を広げる方針を決めました。

 どのケースを認めるかは個別に判断されることになりますが、「着床前診断」は命の選別につながると指摘する意見があり、今回の変更で拡大に歯止めがかからなくなるのではないかと懸念する声も出ています。

 学会の小委員会の榊原秀也委員長は、「無制限に拡大するのではなく、患者や家族の置かれた状況を慎重に検討し、患者を支援する選択肢の一つとしていきたい」と話しています。

◇着床前診断とは
 「着床前診断」は不妊治療で体外受精させた複数の受精卵の遺伝子などを調べ、異常がないものを選んで子宮に戻す医療行為です。

 受精卵の細胞の一部を取り出して病気の原因として明らかになっている遺伝子などを調べます。

 日本産科婦人科学会は医療機関から実施の申請を受け、1件ごとに承認するかどうかを審査していて、承認するための基準を『重篤な遺伝性の病気の子どもを出産する可能性がある場合』と、流産を繰り返す『特定の習慣流産』に限られると規程しています。

 このうち、『重篤な遺伝性の病気の子どもを出産する可能性がある場合』については、これまで学会は「成人になるまでに命に危険が及ぶ病気の子どもを出産する可能性のある場合」と解釈して運用してきました。

 平成27年までの18年間に120件が認められ、筋肉の異常で心臓や呼吸器にも影響が及ぶ筋ジストロフィーの一部や、骨の異常で呼吸ができなくなる難病、それに、重い代謝異常で、アンモニアが蓄積してこん睡状態になる病気などのケースで認められてきました。

 そのため、これまで、目が見えなくなることにつながる遺伝性の病気が申請された際は、成人になるまでに命が危ぶまれることは少ないという理由で『重篤』とされず、承認されませんでした。

 しかし、一部の患者や医療機関からは患者の生活に大きな影響が出る病気も含めてほしいという声が寄せられたことから、学会は解釈を見直すべきか議論を進めてきました。

 そして、病気の『重篤さ』は患者の意見も踏まえる必要もあるとして、命の危険は少なくても、日常生活に著しい影響が出る病気を対象に加え、今後、どのようなケースを認めるのか、個別に判断していくことになったということです。

 そして、学会が承認すれば、申請を行った施設で改めて第三者を交えた倫理委員会が開かれ、最終的に各施設で実施を判断することになるということです。

◇拡大を望む患者は
 大阪市内に住む野口麻衣子さん(36)と次男の七誠くん(2)。

 麻衣子さんは生後まもなく目の奥にある網膜のがんの「網膜芽細胞腫」になり右目を摘出しました。

 この病気は特定の遺伝子の異常と関連しているため遺伝することがあり、七誠くんも生後3週間で同じがんであることがわかりました。

 抗がん剤やレーザー照射などの治療を1年半にわたって行ってきました。

 今は2か月ごとに東京の病院で診察を受けていますが、視力が大きく低下して近くのものもぼやけてしか見えていない可能性があるほか、再発の不安もあるとということです。

 麻衣子さんは、弟や妹がいたほうがいいと、考えていますが、これ以上、子どもには自分と同じ不安や悩みを抱えてほしくないと考え、着床前診断を希望しています。

 今は患者団体を作り、情報を共有して同じような状況の患者を支える取り組みも始めました。

 麻衣子さんは、「子どもが大きくなって家族を作る時に、『自分の遺伝子によって子どもが病気になる』という、自分を責める気持ちを持たなくて済むようにしたい。病気の人を否定しているのではなく、切実な理由で希望する人には認められるようになってほしい」と話していました。

◇範囲の広がりに懸念の声も
 生命倫理に詳しい明治学院大学の柘植あづみ教授は、「生活に著しい影響が出る病気」では「著しい影響」の範囲が広く、歯止めがかからなくなるおそれがあるとしていて、「希望する患者とそれに応えたいと思う医師にこうした議論を任せてしまうのは危険で、応用する範囲が際限なく広がるおそれがある」と話しています。

 そのうえで、「この医療行為を希望する人の背景には、社会の中に病気に対する無理解や差別、それに就学や就労の支援の不足などの問題があることが関わっていて、広く議論をして、どのような社会を目指すのかこの医療行為が問いかけていることを知ってほしい」と話しています。
| 福祉・医療と教育 | 04:08 | comments(0) | trackbacks(0) |