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「耐性菌に感染 国内で年間8000人死亡」初めての推計

 抗生物質などの抗菌薬が効かない耐性菌に感染し、日本国内で少なくとも年間およそ8000人が死亡しているとする推計結果を国立国際医療研究センター病院が発表しました。

 国内で死亡した人の数の推計が出されたのは初めてだということで、抗菌薬を適正に使い、耐性菌を増やさないことが重要だとしています。

 抗菌薬の使いすぎなどによって生じる耐性菌によって、アメリカでは年間3万5000人以上死亡しているとされるほか、2050年には世界全体で死亡する人が1000万人に上る可能性があるとされます。

 国立国際医療研究センター病院の研究チームは、医療機関から報告されている2種類の耐性菌に感染した人の数と、過去の研究で報告された血液に細菌が入る菌血症による死亡率などから、耐性菌で死亡した人の数を推計しました。

 その結果、おととし(2017年)には、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による死亡が4200人余り、フルオロキノロン耐性大腸菌では3900人余りと合わせて年間8000人余りが死亡したと推計しています。

 日本国内で耐性菌によって死亡した人の数の推計が出されたのは初めてだということで、抗菌薬を適正に使い、耐性菌を増やさないことが重要だとしています。

 研究チームは、「今後、ほかの耐性菌についても調べるなど、より詳細な情報を集めて対策に生かしたい」としています。

◇菅官房長官「薬剤耐性 影響の大きさ明らかに」
 菅官房長官は臨時閣議後の記者会見で、「国内の薬剤耐性菌による死亡者数の推計は、わが国として初めて行われたものであり、薬剤耐性による影響の大きさを明らかにした点では意義があるものだ」と述べました。

 そのうえで、菅官房長官は、「政府としては、2016年に策定したアクションプランに基づき対策を講じてきた結果、抗菌薬の不適切な処分は減少傾向にあるが、今後もしっかり取り組みを徹底していく必要がある」と述べました。

◎耐性菌で年8千人超が死亡 国内初推計、大腸菌など2種
 (2019年12月05日 18:57 朝日新聞デジタル)

 抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌により、国内で年間8千人以上が亡くなっているとの推計を、国立国際医療研究センター病院のグループがまとめ、5日公表した。耐性菌は世界的な脅威になっているが、国内での推計死者数が示されたのは初めて。

 今回は血液に細菌が侵入して起きる菌血症での2種の耐性菌を調べた。耐性菌が問題になる重い感染症は肺炎や髄膜炎など他にもあり、全体の死者数はさらに多いとみられる。

 感染症を起こす細菌は様々な種類があり、特徴に合わせて抗菌薬も数多く開発されている。しかし薬を使うほど菌は耐性化しやすく、治療で重要な抗菌薬が効かない耐性菌の拡大が問題になっている。米国では、年約3万6千人死亡していると見積もられ、対策をとらなければ世界の死者は2050年に年1千万人に達するとの推計もある。

 国内でも政府が2016年に行動計画を作り、耐性菌対策に取り組んでいる。ただ、どのような病気でどの程度死亡しているか、詳しくわかっていなかった。

 グループは、医療機関でよく見つかる黄色ブドウ球菌と大腸菌の耐性菌に着目した。黄色ブドウ球菌は皮膚や粘膜、大腸菌は腸内にいるが、抵抗力の落ちた人では傷や手術、血管内へのカテーテル挿入の際に血管に入って菌血症という重い感染症を引き起こす。耐性菌だった場合は、薬の選択肢が限られ、治療がさらに難しくなる恐れがある。

 今回の研究では、厚生労働省が約2千の病院から集めた患者の血液から見つかった菌の検出率や、菌血症の死亡率のデータを利用した。ペニシリン系など様々な抗菌薬が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)での推計死者は17年で4224人、フルオロキノロン系に耐性のある大腸菌では3915人だった。合わせて8千人を超す。

 以前から問題になっているMRSAの死者は、医療機関の感染対策の強化などで、2011年と比べて1700人減少。フルオロキノロン耐性の大腸菌は約2倍に増えていた。この耐性大腸菌は近年増え続けており、中にはセファロスポリン系という別の重要な薬にも耐性を持つ場合が少なくない。

 調査した同病院の具芳明・AMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長は、「さらなる耐性菌対策が重要だと示された。菌ごとに傾向が違う要因を探る研究も必要だ」と話す。

 一方、フルオロキノロンやセファロスポリンに耐性を持つ大腸菌が健康な人から見つかるケースも増えている。大腸菌は尿路に入れば膀胱(ぼうこう)炎を引き起こし、若い女性で多い通常の膀胱炎の5%ほどが、耐性菌だったという調査もある。

 耐性菌の場合、最初に使う薬が効かない事態につながり、東京慈恵会医科大学葛飾医療センターの清田浩教授(泌尿器科)は、「以前はゼロだったことを考えると決して少なくはない。どの薬が効くかを調べる検査が欠かせなくなってきている」と指摘している。(阿部彰芳)
| 福祉・医療と教育 | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
全国一斉「パワハラ・過労死110番」
 パワハラや長時間労働などの悩みに弁護士が答える無料の電話相談が7日、全国一斉に行われています。

 「パワハラ・過労死110番」は過労死の問題に取り組む弁護士グループが、全国17の都道府県で一斉に行っていて、東京の事務所では午前10時に受付が始まり、電話が相次いでいます。

 このうち、金融機関の事務職として働いていた女性の家族からは、女性がパワハラに悩んで病気になり、自殺してしまったという相談が寄せられ、弁護士が労災申請などについてアドバイスしていました。

 職場でのパワハラをめぐっては、防止対策を企業に初めて義務づける法律が来年施行されるのを前に、厚生労働省がパワハラにあたる事例を具体的に示した指針案を年内に策定することにしています。

 相談にあたっている川人博弁護士は、「残念ながら過労死はあとをあたず、最近では、パワハラに関する相談が多く寄せられています。何より大事なのは、病気になったり、命を落としたりすることを防ぐことなので、今苦しんでいる人がいたらまずは相談してほしい」と話していました。

 電話相談の受付は一部の地域を除いて7日午後3時までで番号は、

 東京が0120―136―888、

 大阪が06−6364−7272

です。
| 福祉・医療と教育 | 13:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
インフル患者数 今シーズン初めて全都道府県で増加 対策徹底を

 インフルエンザの流行が広がってきていて、国立感染症研究所によりますと、1週間の患者の数は、今シーズン初めてすべての都道府県で増加しました。

 今シーズンは流行の時期が例年より早くなっていて、専門家は「流行のピークに向けて、患者の急増が続くと考えられる。手洗いなど対策を徹底してほしい」と呼びかけています。

 国立感染症研究所によりますと、今月1日までの1週間に、全国およそ5000の医療機関を受診したインフルエンザの患者は、2万7393人でした。

 その結果、1医療機関当たりの患者数は5.52人で、全国の患者数は推計で18万4000人と、前の週に比べておよそ8万人増えました。

 1医療機関当たりの患者数を都道府県別に見ますと、

▽最も多い北海道が16.76人、

▽青森県が15.48人、

▽石川県が10.52人、

▽富山県が10.42人、

などとなっていて、

 今シーズン初めて、すべての都道府県で増加しました。

 今シーズンは流行の時期が例年より数週間から1か月ほど早くなっていて、休校や学級閉鎖は全国で933施設と、前の週の1.9倍、去年の同じ時期のおよそ9倍に上り、子どもを中心に流行が広がっています。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「今後、流行のピークに向けて、患者の急増が続くと考えられる。子どもからお年寄りまで、手洗いやせきのエチケットを徹底し、感染の予防や拡大の防止に努めてほしい」と話しています。
| 福祉・医療と教育 | 20:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
女性の梅毒患者 1割近くが妊婦 初の実態報告

 性感染症の梅毒にかかったとして、ことし前半に報告された女性の患者のうち、1割近くが妊婦だったことが、国立感染症研究所の調査で分かりました。

 国内では近年、梅毒の患者が増えていますが、妊婦への感染の実態が分かったのは初めてです。

 梅毒は、発疹などが出て、治療しないでいると神経のまひや血管の破裂を引き起こす細菌性の感染症で、ことし報告された患者数は、3日に発表された先月24日までのデータで5957人と、この20年間で最も多かった去年に続いて2番目の多さになっています。

 梅毒は、妊婦が感染すると、子どもの目や耳などに障害が出るおそれがあり、ことし1月からの半年間に報告があった女性の患者、1117人について、国立感染症研究所が調べると1割近くの106人が妊婦だったことが分かりました。

 調査の中で、6か月のうちに性風俗産業で仕事をしていたかと質問したところ、61人が回答し、56人はしていなかったと答えたということです。

 また、妊娠初期には感染しているか検査が行われますが、感染が確認されたのが妊娠20週以降の人が26人いました。

 妊婦への梅毒の感染の実態が分かったのは初めてで、国立感染症研究所の山岸拓也主任研究官は、「夫やパートナーから感染した可能性があり、コンドームなどでの予防が重要だ。適切に治療すれば赤ちゃんへの影響を防げる可能性もあるので、症状がある人は早めに診察を受けてもらいたい」と話しています。
| 福祉・医療と教育 | 06:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
児童虐待の相談専用ダイヤル「189」無料に

 児童虐待の相談を受け付ける全国共通の専用ダイヤルが、3日から無料で利用できるようになりました。

 児童虐待の相談を24時間受け付ける全国共通の専用ダイヤル「189」は、4年前に運用が始まって以降、かかってきた電話が担当者につながる前の音声ガイダンスの途中で切れてしまうケースが相次ぎ、大きな課題となっています。

 厚生労働省はこれまでガイダンスの時間を短縮するなど対策を行ってきましたが、今でも全体の7割から8割が途中で切れているということで、さらなる利便性の向上を図るため3日午前8時半から通話を無料にしました。

 また、児童虐待に関する情報提供を受け付ける「189」とは別に、有料の相談ダイヤルも新たに開設し、より幅広い相談に児童相談所が応じることにしています。

 児童虐待に関する無料の専用ダイヤルは「189」、幅広い相談に応じる有料の相談ダイヤルは「0570―783―189」「なやみ、いちはやく」です。

 厚生労働省は、「有料のため途中で通話を切ってしまった人がいるかもしれないが、これからは多くの人に利用してもらい児童虐待の早期発見や迅速な対応につなげたい」としています。
| 福祉・医療と教育 | 05:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
国際学力調査 日本 課題の読解力で15位 前回より下がる
 世界各国の15歳の学力を測る国際学力調査の結果が公表されました。

 日本の子どもは科学と数学はトップレベルを維持しましたが、課題とされている読解力は前回より低い15位でした。

 専門家は、「今の学校は英語や道徳など新たな課題が山積し、読解力の育成が難しくなっている」と指摘しています。

 「PISA(ピザ)」と呼ばれるこの国際学力調査は、OECD(経済協力開発機構)が世界の15歳を対象に科学と数学、それに読解力を測定するため、3年に一度実施しています。

 去年の調査には世界79の国と地域から、日本の高校1年生を含む、60万人の子どもが参加し、その結果が公表されました。

 日本の子どもの結果は、科学が529点で前回の2015年の時と比べて、順位は3つ低い5位、数学は527点で順位は1つ低い6位で、いずれも順位は下げましたがトップレベルでした。

 一方、文章や図表から必要な情報を取り出して文章などにまとめる「読解力」は504点で、順位を7つ下げて15位でした。

 参加した国や地域では、いずれも中国の北京、上海、江蘇、浙江の4つの地域が3つの部門ともトップ、次いで、シンガポールやエストニアなどが上位を占めました。

◇「脱ゆとり教育」へ転換のきっかけ
 日本の教育政策はこの国際学力調査に大きく影響を受けてきました。2003年には、順位が下がったことがPISAショックといわれ、それまでの「ゆとり教育」から「脱ゆとり教育」へと転換し、授業時間や教える内容の増加、さらに、全国学力テストの復活にもつながりました。

 日本の子どもは過去の調査でトップレベルを維持している科学や数学と比べると、「読解力」が低いとされていて、今の「脱ゆとり教育」は、その育成に力を入れてきたものの今回はその成果が見られませんでした。

 結果について、文部科学省は、「読解力の低下については、重く受け止めている。要因の分析を詳細に行うとともに、新たな学習指導要領により、教育の質の向上に取り組みたい」とコメントしています。

◇「読解力」の問題例
 今回公表された「読解力」の問題です。

 試験はパソコンを使って行われました。モアイ像で知られるイースター島をテーマとした大学教授のブログと、本の書評、さらに、科学雑誌の記事の3つの異なる文章を読み比べてもらい、島から大木が消滅した原因について、資料から根拠を挙げて記述するよう求めています。

 正答例は以下のとおりです。

(学説を支持したもの)

▼人々がモアイ像を動かすために大きな木を切り倒した。

▼ネズミが木の種を食べたため、新しい木が育たなかった。

(いずれの学説も選ばず)

▼実際に大木に何が起こったかについては、さらに研究を進めなければならない。

 このように、どの学説を選ぶかは自由ですが、なぜそれを選んだのか、根拠を示しながら自分の考えをまとめる力が問われています。

 日本の読解力の正答率は、全体ではOECDの平均を上回っていますが、この問題については48.6%でOECDとほぼ同じレベルでした。

◇読解力向上 模索する学校現場
 課題となっている「読解力」を伸ばそうと、学校現場では試行錯誤を続けています。

 福岡県久山町の久原小学校ではおよそ20年前から登校後に15分間読書をしたり、保護者らが参加して、本を読み聞かせたりする取り組みを続けています。

 また、児童文学作家、新美南吉の「ごん狐」を題材とした国語の授業でも、子ギツネの「ごん」の心の変化や作者のメッセージについて、互いに意見を交換しながら、自分の考えを文章にまとめるようにしていました。

 児童の1人は、「友達と話し合う中で答えが分かった時は『ああ、そうだ!』とうれしくなります」と話していました。

 小学校では、来年度から英語が教科化されたりプログラミング教育も始まったりするため、読解力の育成ばかりに時間をかけられないなどの課題もあります。

 吉田昌平教諭は、「こうすれば読解力が育つという正解はなく、なかなか目に見えた結果が出ないところに難しさを感じる。子どもはもともと好奇心が旺盛なはずだが、テストで与えられた問題しか答えなくなる。テストで測りえない考え続ける姿勢の土台を育てたい」と話していました。

◇専門家「教員が手いっぱい スリム化を」
 学力問題に詳しい早稲田大学教職大学院の田中博之教授は、「日本ではPISA調査が始まって以来、20年にわたって学習指導要領や学力テストなど読解力の向上に向けた施策を実践してきたが、その効果が、十分出ていないのは残念だと思う」と話しています。

 そのうえで、「PISAで求められる読解力は単なる文章の読み解きではなく理科や社会、総合学習など教科全体の中で育てていく必要がありかなり高度な学力だ。他方、日本の学校現場には英語やプログラミング、道徳など学習内容が過密化し、『スクラップ』がないまま、『ビルド』ばかりが続いている。教員は基本を教えることで手いっぱいで、高度な学力を育てるための授業の準備が十分できていないのが実態だ。今後は、業務や学習内容のスリム化を進める必要がある」と指摘しています。

◇日本の順位の水位
 国際学力調査で、日本の子どもは「科学的リテラシー」と「数学的リテラシー」については第1回の2000年から今回の2018年まで、7回の調査すべてでトップクラスを維持しています。

実施年           科学・数学
2000年・・・・・・・・・ 2位・1位
2003年・・・・・・・・・ 2位・6位
2006年・・・・・・・・・ 6位・10位
2009年・・・・・・・・・ 5位・9位
2012年・・・・・・・・・ 4位・7位

ーー(調査方法変更)ーー
2015年・・・・・・・・・ 2位・5位
2018年・・・・・・・・・ 5位・6位

 一方、読解力については、ほかの2つの部門と比べて、低い順位が続いています。

 2000年が8位、2003年は14位に下がり、教育関係者などの間で、ゆとり教育による学力低下が裏付けられたとして、PISAショックと言われました。

 2006年は15位、2009年は8位と推移しましたが、2012年に4位に順位を上げると、授業時間や教える内容を増やすなどした「脱ゆとり教育」の成果とされました。

 しかし、2015年は8位、そして今回の2018年は15位と再び低下傾向が続く結果となりました。
| 福祉・医療と教育 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
難病のパーキンソン病 超音波使った新治療法の治験開始 阪大
 手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病のパーキンソン病について、大阪大学の研究グループは、弱い超音波を使って異常を起こしている神経細胞を焼き切る新たな治療法を、一般的な治療として確立させるための治験を今月から始めました。

 パーキンソン病は、ドーパミンという神経の伝達物質を作り出す脳の神経細胞の異常で手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病で、国内におよそ15万人の患者がいるとされていますが、現在、根本的に治療する方法はありません。

 大阪大学大学院医学系研究科の望月秀樹教授を中心とした研究グループは、弱い超音波を使った新たな治療法の治験を今月から始めました。

 新たな治療法は、特殊な装置を使っておよそ1000か所から、異常を起こしているとみられる脳の神経細胞の一部に弱い超音波を集中して照射する手法で、脳のほかの部分への悪影響を避けることができるということです。

 この治療法は、症状が比較的軽い患者を対象にスペインで研究が進められ、根本的に治すことはできないものの、症状を改善させる効果が期待されるということです。

 研究グループでは、健康保険が適用される一般的な治療法として確立することを目指して、今後1年かけて10人の患者を対象に、安全性や効果を確認することにしています。
| 福祉・医療と教育 | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
修学旅行が高額化、親子葛藤
◎修学旅行が高すぎる…30万超もザラ、葛藤する親と子
 (2019年11月28日 11:30 AERA dot.)

 高校生活を締めくくる修学旅行が高額化している。海外に行った場合、1人あたりの平均額は公立校が約14万円、私立校で約25万円。経済的な事情で参加できない生徒も少なくない。AERA 2019年12月2日号から。

*  *  *

 大分県の会社員男性(46)の長男(16)は、県立高校の1年生だ。今年6月、長男が持ち帰ったアンケートを見て、男性は言葉を失った。修学旅行の行き先の希望をとるものだった。

 「オーストラリアとベトナムが候補で、値段にびっくりでした。どちらに行っても、20年前に妻とマレーシアに行った2人分の新婚旅行代と同じくらいです」

 オーストラリアは23万円、ベトナムは18万円、国内を含めて希望地を申請できる「その他」を入れて3択だった。オーストラリアとベトナムが拮抗したため、後日、あらためて2択のアンケートがあり、8月になってベトナムに決まった。

 高校は地元では名の知れた進学校で、最近は修学旅行で海外に行くことを特色の一つにしている。

 男性は6月以降、3度にわたり学校側と話し合いの場を持ち、「10万円程度の行き先を選択肢に入れてほしい」と訴えたが、聞き入れられることはなかった。男性は、長男を旅行に参加させられない場合、高校で自習させることまで想定した。

 「家庭の経済状況を伝えることは恥ずかしいと感じましたが、今後の家計を考えると余裕があるとも思えないので、意見せざるを得ませんでした」

 結局、長男を旅行に参加させるため、月々の積み立てを始めた。だが、心のモヤモヤは晴れない。この金額でなければだめなのか、ほかに悩む保護者はいなかったのか。

 修学旅行の高額化が進んでいる。全国修学旅行研究協会(東京)は毎年、主に全国の自治体を通じて高校の海外修学旅行の状況調査を行っている。

 2017年度は、公立私立合わせ全国で895校が実施、15万6千人以上の高校生が海外修学旅行に出た。

 1人あたりの平均額は公立校で14万3872円、私立校で25万4414円。高額なケースでは、公立でアメリカ38万7千円、オーストラリア31万4090円、私立でハワイ120万円、イギリスやイタリアで69万8千円という例もある。

 一方、子どもの貧困率は13.9%(2015年)で7人に1人が貧困状態にあり、ひとり親世帯の貧困率は50.8%に上る。経済的な事情で修学旅行に参加できないケースは決して少なくない。

 中学卒業後、大阪府の定時制高校に進学した飲食店従業員の女性(23)も、修学旅行に参加できなかった一人だ。3人きょうだいの末っ子。母子家庭で、母親は病気がち。生活保護でなんとか生活が成り立っていた。修学旅行の行き先は北海道で7万円ほど。月々数千円の積立金は、払えたり払えなかったりだったから、母親はなんとか行かせようとしていたはずだ。

 「行きたい気持ちはありましたが、母はしんどいやろなと思って、私から『もういいよ』と言いました。無理して払っても、旅先で遊ぶお金のことも考えると私も気持ちがしんどかったので、行かないことにしました」

 日本修学旅行協会(東京)も毎年、修学旅行に関する抽出調査を実施している。

 2017年度の高校の調査では、全国の国公私立から3048校にアンケートし、1078校が回答。うち、修学旅行を実施していたのは1042校で、国内が917校、海外は125校。実施しない高校も36校あった。

 国内で修学旅行を行った高校917校のうち、77.3%にあたる709校に不参加の生徒がいた。内訳は、健康上の理由が24.1%、部活や試合への参加は21.7%、経済的な事情は20.4%に上った。

 経済格差が、修学旅行の行き先に表れる例もある。神奈川県立高校の男性教諭(60)は、かつて勤務していた高校で、参加できない生徒が毎年数人はいたのを記憶している。いくつかの行き先から生徒が選んで旅行するスタイルで、ある年の行き先はグアムと沖縄、群馬県の水上温泉。群馬県は、家庭に経済的な事情のある生徒に配慮した行き先だった。旅費は5万円足らずだ。

 それでも、母子家庭のある女子生徒は母親が旅費を支払えずに参加できなかった。教諭は旅行の1カ月前まで母親と連絡を取り、参加への道を探った。自分が立て替える提案をしようとしたが、校長に止められた。返ってこなかった場合に誰も責任をとることができない、というのが理由だ。

 「旅行中、彼女はずっと学校で自習でした。しばらくしょんぼりした様子が続きました」

 (編集部・小田健司)

 ※AERA 2019年12月2日号より抜粋
| 福祉・医療と教育 | 14:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
全国の公立高校 40%超が定員割れ 教育の質に影響も
 少子化に伴って生徒の確保に悩む高校が増える中、ことし春に行われた入試で、全国の公立高校のうち43%余りに当たるおよそ1400校の学科などで募集人数を下回る「定員割れ」となっていたことが分かりました。

 このうち18の道と県では半数以上の高校が「定員割れ」となる事態となっていて、専門家は「定員割れが続くと授業など教育の質に影響が出かねない」などと指摘しています。

 少子化に伴って全国の公立高校では、入学者などが募集人数を下回る「定員割れ」となるケースが相次いでいて、今回、NHKは、ことし春に行われた入試について、全国の教育委員会に取材しました。

 その結果、ことし募集のあった分校を含む全日制の公立高校のうち、43%余りに当たる1437校の学科やコースなどで「定員割れ」が生じていたことが分かりました。

 さらに、18の道と県では半数以上の高校が「定員割れ」となる事態となっていました。

 その割合が最も高かったのは高知県で、およそ91%と県内34校のうち31校が定員を満たしていませんでした。

 次いで、島根県と鹿児島県がおよそ88%、熊本県や沖縄県でも70%を超えていました。

 一方、全国で最も低かったのは東京の10%でした。


「定員割れ」が深刻化している背景には少子化が影響しているとみられ、文部科学省によりますと、ことし春の国公私立を含む中学の卒業生はおよそ111万人と、この30年で半数ちかくにまで減少しています。

◇30年で633校減
 深刻化する「定員割れ」の事態を受けて、全国の自治体では近隣の学校を統合したり廃止したりする、高校再編の動きが加速しています。

 その結果、文部科学省によりますと全国の公立高校の数は30年前は4183校でしたが、ことし5月の時点では3550校と、633校減りました。

 一方、こうした再編の動きに対し地元が懸念を示すケースも少なくありません。福島県では4年後までに25の県立高校を13に再編する計画ですが、これに反対する地元の関係者らが27日、県教育委員会に高校の存続を求める署名を提出しました。

▽統合して生徒たちが新たに通う高校の校舎は、通学に片道1時間以上かかる場合があるほか、

▽冬場の豪雪の中で安全に通学できるのか不安を抱える生徒がいることが反対の理由で、

5700の署名が集まったということです。

 一方、福島県教育委員会は、「少子化が急激に進み、学級数を減らすだけでは対応が難しい」と話していて今後、統合に理解を求めていきたいとしています。

◇募集定員が卒業生上回る 高知
 高知県では公立高校34校のうち31校で「定員割れ」が生じていて、その割合は91%あまりと全国で最も高くなっています。

 県教育委員会によりますと、この春に行われた入試では

▼公立高校の全日制の募集定員が5330人だったのに対し、

▼卒業した公立中学校の生徒数は4835人と、

募集定員が卒業生の数を上回るなど、少子化による影響が深刻化しているということです。

 このうち、高知県北部の本山町の県立嶺北高校でも定員割れが長年続いています。嶺北高校は、本山町とその周辺の2つの町と1つの村からなる「嶺北地域」のただひとつの高校で、去年、創立70年を迎えました。

 3学年合わせた定員、240人に対して、現在の生徒数はその3分の1にあたる80人で、中でも、2年生は15人しかいません。学校では生徒の減少で、部活動では野球などの団体競技が出来なくなったり、多様な考え方を生かした授業がしにくくなったりするなど影響がでているということです。

 一方で、この高校では、生徒を全国から募集していて生徒獲得に向けてカヌーの世界選手権で金メダルを獲得したハンガリーの元代表選手をカヌー部の外部コーチに招くなど魅力ある学校作りに取り組んでいます。

 山田憲昭校長は、長年続く定員割れについて、「主に進学する2つの中学校の卒業生の数が50人前後の状態で、少子化が一番の原因です」と分析しています。

 そのうえで、山田校長は、「目の届きやすい教育が出来るなど少人数だからこそのメリットもあります。嶺北高校のよさを知ってもらえるような取り組みを続けていきたい」と話していました。

 また、嶺北高校の卒業生で隣町に住む83歳の男性は、「高校は楽しい思い出でした。子どもの数が少なくなっていますが、ぜひ残して欲しいです」と話していました。

◇公立と私立が一緒に 北海道
 深刻な少子化で生徒の確保が困難になっている北海道幕別町では、道立高校と私立高校が一緒になるケースまででてきています。

 北海道立の幕別清陵高校は、ことし4月に北海道の十勝地方の幕別町に開校しました。幕別町にはもともと、道立の幕別高校と私立の江陵高校の2つの高校がありましたが、少子化が続く中、生徒数の確保が難しく、道立高校への入学者数も定員割れの状態が続いていました。

 このため、町は、2つの高校を再編し新たな道立高校を地理的な条件もよい江陵高校の校舎を利用して開設するよう北海道教育委員会に要望し、その結果、ことし4月に、道立の幕別清陵高校が誕生しました。道立の幕別高校と私立の江陵高校はいずれも再来年に閉校することになっています。

 新しく誕生した道立の幕別清陵高校は、私立の江陵高校の校舎を使用していて、現在、校舎には幕別清陵高校の1年生100人余りのほか、江陵高校の2年生と3年生が通い、同じ校舎で道立と私立の生徒が学校生活を送っています。

 学級数は幕別高校は1学年1学級でしたが、幕別清陵高校では3学級となり、江陵高校に置かれていた福祉科は新しい高校では福祉コースとして設置されています。

 学校によりますと、2つの学校は2年後までは学校施設を共有しながら、一部の学校行事や部活動は一緒に行っていくということです。

◇専門家「定員割れをチャンスに」
 高校の定員割れなどに詳しい大正大学の浦崎太郎教授は、「定員割れで生徒数が減少すると、部活動が維持できなくなったり教員の数が減らされて授業など教育の質が下がったりするおそれがある」と指摘します。

 そのうえで、「一方で、定員割れしているからといって安易に学校の統廃合を進めても解決策にはならない。今の時代は同質の教育ではなく、子どもたち一人一人の個性を伸ばし、社会と豊かに関わる教育が求められている。定員割れした小規模校こそこうした教育には有利で、地域に応じて学びの多様性を提供できる。そのためには、学校だけで問題を抱えるのでなく、地域と一緒に特色ある学校作りをしていくことが大事で、結果的には将来、地元に人材を根付かせることにもつながると思う。定員割れの事態をチャンスと捉えて見直すことが必要ではないか」と話しています。
| 福祉・医療と教育 | 03:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
ほめる育児を勘違い? 失敗体験
◎”ほめる子育て”で我が子がワガママに。責任があるのは、育児書の著者?
 (2019年11月26日 17:01 ママスタジアム)

 子どもを育てる中で迷ったとき、育児書を頼りにすることもあるかもしれません。ちょっと調べただけでも『◯◯な子育て』『子どもは△△で育てよう!』などなど、じつに多様な子育て法が出てくるものです。その中でもよく知られるのが、「ほめて育てる」「叱らない育児」といったもの。

 ママスタBBSにはそれを実践したために失敗したという、怒りの投稿がありました。

◇「すごい、すごい!」とほめ続けた結果、子どもがワガママに
 「ほめる」「叱らない」を主軸にした育児法は、「子どもはきびしく叱ってしつけるもの」といったひと昔前のやり方とは対照的。それだけにセンセーショナルで、世の中に浸透しやすかったのかもしれません。

 『育児書に「ほめて育てる」って書いてあったから実践したけど、失敗だった。2歳差の兄弟、どちらも小学校中学年のころにまったくいうことを聞かなくなり、軌道修正した。泣かれるわ大声出されるわで大変だったけど、1年たってなんとか子どもはまともに。でもこれを書いた著者だけは、絶対に許さない』

 具体的にどんなふうに育てていたのかといえば、

 『いつも「すごい!」ってほめていたし、食べこぼしをしても怒らずにダンナが黙って床を拭いてた。今でも食べこぼしを注意すると「なんで自分で床を吹かないといけないわけ?」って、真顔で言う』

 どうやら叱らずほめ続けたことで、お子さんたちがかなりワガママに育ってしまったようです。

 似たような体験をしたママたちからの、共感の声もありました。

 『私もほめて育てていたけど、子どもが問題ばかり起こしている。しまいには「お宅のお母さんが甘いって、ほかのお母さんも言ってますよ」と言われてしまった。怒らないのもよくない』

◇”ほめる育児”は、子どもをおだて続けることじゃない?!
 しかし、寄せられた多くは、投稿主さんの考え方に驚くコメントでした。

 『”ほめる育児”は、ただほめるだけの育児ではないよね……』

 『”ほめて育てる”を、”怒らない叱らない育児”と勘違いしてる人が多すぎる。私の知り合いもほめるところだけほめて育てたから、子どもは悪いことがわからない。公園でケンカしてケガさせたり、誰彼かまわず物を投げたり蹴飛ばしたり。それでも母親は「今日も元気ねぇ」とニコニコ。毎年1回は同窓会的な感じで会わなきゃいけないんだけど、毎回イラッとするわ』

 育児についてたくさん調べたり勉強しているママも多いようで、具体的な指摘もありました。

 『「すごい!」ってほめるのは、よくないんだよね。子どもが勘違いするから。「がんばったね!」とか、やったことに対してほめるのがよいんだってよ。あと、こぼして汚したなら怒らなくてもいいと思うけど、自分で拭かせなきゃ。なんか”ほめて育てる”をいろいろ勘違いしている感じ』

 『才能や素質をほめるのは、よくない。努力や過程をほめるのはグッド。ほめられるために何かをする子にならないように、注意が必要。うちは「いつも努力してるね、偉いね」って言っているかな』

 『”ほめて育てる”とか”叱らない育児”というと好き勝手にさせる人が多いけど、実際はより手間と根気のいる育て方だと思う。ダメなことを許すんじゃなく、ダメなことを止めて正しい行動まで誘導してほめないと。たとえば「こぼれちゃったから、一緒に拭こうか」って誘って拭いたら、「ありがとう、ちゃんと拭けたね」とほめる。失敗したとしたら、それをどう取り戻すか。次の行動までできたことを、ほめる。投稿者さんも子どもたちが小さなころに、そこまで手間をかけていれば違ったと思う』

 子どもをほめるということは、ただ「すごい!」「えらいね!」と繰り返すこととは違う。子どもがやったこと、がんばったことを認めてあげることが本来の”ほめる育児”なのでは? コメントをくれたママたちは、こうした考え方をしているようです。

◇育児法はひとつじゃない。ときには疑うことだって必要
 また、「著者だけは絶対に許さない!」と息巻く投稿者さんでしたが、それに対しても疑問が寄せられました。

 『”ほめる育児”というものが流行ってから、すぐに”ほめるだけじゃ、ダメ”って意見もたくさん出てきていたよね。いろんな情報が溢れているのにそこしか見ていなかった、投稿者さんの選択ミス。調べたりしなかったのは、自分の責任。育児は自分がするもので、他人のせいにするのはおかしいよ』

 『育児書を読む人もいるだろうけど、みんな自分なりに解釈したうえで納得したところだけを取り込んでいると思うんだけど。あなたは疑問に思わなかったの? 本に書いてあることを全部うのみにするのは、違うと思う』

 たしかにたくさんの子育て情報があふれている今、どれを信じたらよいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。子育てに真剣に向き合うほど、その迷いも深くなってしまうかもしれません。

◇情報があふれる時代。子育てについては”我が子に合う方法か”を見極める目を持ちたい
 とはいえママたちがいうように、我が子を育てるのは”情報”でも専門家でもなく、ほかならぬママ自身でしょう。納得できるところだけを取り入れて、「おかしいな」と思ったときには軌道修正をして……。

 と、この投稿者さんも、今はそれをちゃんとやっているわけですよね。激しい反発にあいながらも根気よくしつけをしてきたなんて、本当に立派なこと。それと同時にひとつの情報だけをうのみにするリスクにも、体験を通して気づいたのではないでしょうか?

 たくさんの情報を取捨選択して、自分なりの育児法を見つけていく。情報過多の今の時代に生きるママたちに必要なのは、我が子に合う方法を見極める目なのかもしれませんね。

 文・鈴木麻子 編集・しのむ
| 福祉・医療と教育 | 04:22 | comments(0) | trackbacks(0) |